県内にある特別支援学校高等部23校が、各校の独自の取り組みと文化系部活動の成果を発表する作品展「茨城県高校総合文化祭 第8回特別支援学校部門大会」が12日から、土浦駅西口前の土浦市民ギャラリーで開かれている。身体や視覚、聴覚、知的などに障害のある生徒たちによる絵画や木工などの力作200点余りが展示されている。
水戸盲学校の生徒による粘土の立体像は、短距離走のスタートを切る瞬間や、グラウンドソフトボールでボールを打つ瞬間など、選手が力を込める瞬間が筋肉の細かな動きとともに生き生きと再現されている。水戸支援学校の生徒が描く「夜明け」と題された油絵は、水平線上に現れた朝日が、空を覆う雲と雲を映す水面を徐々に赤らめる姿を、乾いた赤色と群青のグラデーションで微細に描き込んだ作品だ。
ゲームイベントで「視覚入力装置」体験も
同文化祭は、文化部のある高校が加盟する県高校文化連盟による作品発表の場として毎年開催されており、特別支援学校部門は今年で8年目。企画は毎年、県内の各特別支援学校の生徒が集まる実行委員会が主体となり進められる。今年は23校から49人が集まり、本番に向けて9月からオンラインで交流を重ねてきた。
16日と17日には、実行委員のメンバーと、県内の一般校に通うボランティアメンバーらが集まり、街頭に立って、イベントPRや来場者に対する会場案内をしたり、ゲームイベントの進行などを実施する。
ゲームイベントでは、人間の目の動きをコンピュータが感知することで、パソコンやタブレット端末などを操作する「視線入力装置」を利用し、塗り絵や射的のゲーム体験会を開く。水戸特別支援学校が約5年前から授業に導入している装置で、手足を動かすことができなかったり、言葉を話すことができないなど、障害により意思表示に困難がある際に、モニターを見つめることでキーボードをクリックしたり、伝えたいものを指し示したりなどすることができる。同校の勝二あすか教頭は「技術の発達により、これまで気づけなかった意思を周囲がくみ取れるようになった。生徒も楽しみながら授業に参加し、学習意欲の向上につながっている」と話す。
同文化祭特別支援学校部会事務局の田中雅人さんは「作品を通じて、いろいろな障害のある人がいることを知ってもらう機会になるとともに、彼らが自分たちと変わらないと知ってもらいたい」と話す。また「こうした学外活動への参加を通じて、普段、学校では静かな生徒が、展示に訪れた一般校の高校生に自分が学んできたことを力強く語りかけるなど、同じ高校生として交流を深めていた」と、障害のある生徒の変化について語り、「さまざまな障害のある生徒らが日頃の活動の成果を見ていただきたい。土日には、実行委員会のメンバーとして企画を進めてきた生徒たちが会場を案内するので、是非、多くの方に足を運んでいただければ」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔)
◆「茨城県高等学校総合文化祭 第8回特別支援学校部門大会」は17日(日)まで、土浦市大和町1-1、土浦市民ギャラリー オープンギャラリーで開催。開館時間は午前10時から午後6時。最終日は午後3時半まで。入場無料。問い合わせは電話029-247-5924(同事務局)へ。