【コラム・西川菜緒】6年前の話になりますが、幼稚園児だった娘が持ち帰ってきた「宍塚大池のお知らせ」をきっかけに、親子で里山散策がはじまりました。初めて参加した月例テーマ観察会「きのこ」で見つけたのが、大きなアカヤマドリ(食用キノコ)。「これ食べたい」という娘の熱意に押されて持ち帰り、切るたびに出てくる白い虫と格闘しながら作った天ぷらを、目をキラキラさせながら食べていた娘を思い出します。
その後も、月例テーマ観察会と里山子ども探偵団に参加し、専門家やベテランスタッフとの交流を通して、娘はたくさんのことを学び、自然への興味を深めています。里山にはマムシやスズメバチなど危険な生き物もいます。逆に、毛虫でも毒のない種類もおり、触ってみるとフサフサと心地よい感触だったりします。
里山には、食べることのできる山菜もたくさんありますが、勝手に採取してはいけない場所もあります。会のイベントに参加することで、里山のルールを学ぶことができますので、初めは親子で参加することをお勧めします。
目で見て触って耳を澄まして
今の時期、娘の楽しみは、山芋のつるについたムカゴ取りです。角度を変えながらじっくり眺めて、無心で取っていきます。ムカゴはご飯と一緒に炊くと、ホクホクとした食感がおいしいです。
親子で里山を楽しむコツは、①汚れることを気にしない=ぬかるみも多いので長靴は必須、②時間を気にしない=道端に生えているノビルを見つけ、引っ張っては抜いて、イモムシのお食事タイムを観察、③持ち帰った山菜は子供と一緒に調理する=自分で採取して作った料理の味は格別―です。
里山を歩いていると、独特の匂いを放つスッポンタケの香りを感じて鼻をくんくんさせたり、コンコンと木をつつくコゲラを見つけたり、いろいろな楽しさを味わうことができます。
スマホでなんでも調べることのできる時代ですが、目で見て触って、耳を澄まして、深呼吸しながら匂いを感じて、里山の恵みを味わう。素敵な体験のできる宍塚の里山に親子で遊びにきてください。(宍塚の自然と歴史の会 会員)