水曜日, 3月 11, 2026
ホーム土浦障害があっても海外で夢をかなえる 米国で1年研修へ 八木郷太さん

障害があっても海外で夢をかなえる 米国で1年研修へ 八木郷太さん

国内初、公費の障害福祉サービス利用し

障害に対する啓発活動をする土浦の当事者団体「DETいばらき」(高橋成典代表)のメンバーで、水戸市の当事者団体「自立生活センターいろは」事務局長の八木郷太さん(28)が、重い障害のある人に公費でヘルパーを派遣する「重度訪問介護」を利用し、米国の障害者団体で約1年間、研修を受ける。長期間の国外滞在時に国内の福祉サービスの利用が認められるのは全国でも初めての事例。八木さんの挑戦が、障害者運動の歴史に新たな1ページを刻む。

土浦市内の飲食店で22日、DETいばらきの障害当事者メンバーやヘルパーらが集まり、米国に向かう八木さんの壮行会を開いた。会の冒頭で八木さんは「大変なことはまだあるが、楽しみたい」と話すと、同団体の代表の高橋さん(59)は「素晴らしい活動。たくさんのことを吸収して、次の時代につないで欲しい」と語った。

「DETいばらき」で活動する仲間たちとの壮行会で乾杯する八木さん(中央)

八木さんは中学3年の時、柔道の練習中の事故で脊椎を損傷し、首から下を全く動かせなくなった。現在は、ヘルパーによる24時間の介助を受けながら水戸市内で一人暮らしをする。自立生活センターいろはでは当事者として障害者の地域生活を支援し、DETいばらきでは障害への理解啓発に取り組んでいる。

米国で障害者のパレードに参加

八木さんは、海外で活動することを子どもの頃から夢見ていた。事故に遭った時は現実を受け止められず、何度も涙がこみ上げたという。その後は周囲に支えられ、「どんな重い障害があっても自分らしく生きることができる」という理念を掲げる障害者の自立生活運動に出合い、20歳からヘルパー制度を利用して一人暮らしを始めた。

一度は諦めかけた海外への夢が再燃したのは2017年。世界で初めて「障害者差別禁止法」が制定された米国での記念イベントに、日本全国の障害者や介助者らと参加した。現地では、米国以外の若者たちとも交流し、パレードにも参加した。さらに、保険制度改悪を阻止するため逮捕者を出すのもいとわず座り込む米国の当事者らに接し、「熱いムーブメントを肌で感じた。彼らと一緒に活動したいと思った」と振り返る。

2023年に日立市で開かれた「茨城県障害者権利条例」制定8周年を記念するパレードで先頭中央を歩く八木さん

「国内で前例がない」

八木さんに今年、渡米のチャンスが訪れた。障害者支援に取り組むダスキンによる「障害者リーダー育成海外研修派遣事業」に応募し、八木さんが立てた、米国で運動を学ぶという研修計画が採択されたのだ。約1年間の八木さんの現地滞在費が助成されることになった。これで夢への扉が開くと思ったが大きな壁に突き当たる。米国で八木さんの生活を支えるヘルパーに支払う「介助料」は助成の対象外だった。

自分で体を動かすことができない八木さんの暮らしには、常にヘルパーの介助が必要になる。日本では、障害福祉サービス制度を利用することで、ほとんど自己負担なく24時間の介助サービスを受けることができる。しかし、1年に及ぶ長期の国外滞在に対し、サービスの支給決定権を持つ水戸市は当初「国内で前例がない」と態度を保留。のちに「国内に1年間不在となると、居住実態が日本から現地に移るため、ヘルパー制度を利用できなくなる」と八木さんに伝えた。

八木さんが受けている重度訪問介護は、半分を国が負担し、残りを茨城県と水戸市が負担している。ヘルパー派遣費用は年間で約2000万円。制度が適用されなければ、全額が八木さんの自己負担となる。現地でヘルパーを雇用すれば時給は約30ドル(日本円で4000円超)になる。個人でまかなえる金額ではなかった。「障害がなければ、現地滞在にかかる費用の助成だけで夢に向かうことができるはずなのに…」。計画を断念することも八木さんの頭をよぎった。

「DETいばらき」で活動する仲間たちと写る八木さん(左から3人目)

全国の障害者が動き、厚労省交渉

そこで動いたのが、全国で活動する障害者たちだった。調べると、1年未満の滞在であれば、国外にいても税金は日本に収める必要があるとわかった。納税するなら、制度も国内にいるのと同様に使えるべきだ―。これを根拠に当事者らが交渉すると厚生労働省は「海外滞在が1年未満の場合は転居届を提出する必要がなく、渡航前の市町村が引き続き居住地となると推定される。したがって、障害福祉サービスの利用は可能」との見解を示した。厚労省が認めたことで水戸市は八木さんに対して「国外滞在中でも1年未満であれば、今利用している介助サービスを継続して使用できる」と認めた。夢を実現するための大きな壁が取り去られた瞬間だった。

現地では、1日に必要な3人のヘルパーのうち、2人は日本から渡航するヘルパーが制度を利用する。もう1人は現地で雇用する予定だ。制度外となる現地雇用分のヘルパー費用は、クラウドファンディグで301人から寄せられた約500万円を充てる。

八木さんは「たくさんの方に助けられここまで来られた。絶対に1人では無理だった」と話し、「海外に憧れる障害がない人と同じように『海外で学びたい』という強い気持ちが私にはある。しかし夢を実現するための障壁が、障害者であることが理由になるのはフェアじゃない」と述べる。

「かつては障害者が一人暮らしするのが大変だった。それが今はヘルパー制度があることで可能になった。そしてようやく『海外へ』というところにきた」と当事者運動の積み重ねによる時代の変化を八木さんは実感する。

現地の障害者運動に飛び込みたい

米国では、西海岸カリフォルニア州のサン・ラファエル市にある障害者の自立生活を支援する当事者団体で、研修員として現地スタッフと共に活動し、団体の運営や権利擁護活動を学ぶ。早ければ11月中にも渡航する予定だ。八木さんが現地で一番やりたいのは「現地の障害者運動に飛び込むこと」だ。日々、現地の当事者と同じ空気を吸い、暮らしを共にする中で、障害者としての権利や権利意識をどのように獲得しているかを学び、障害者が生きる街や文化を体感したいと話す。7年前に感じた熱が、今も八木さんを突き動かしている。

「将来、若い障害者が今の時代を見て『昔は海外に行くのがこんなに大変だったんだね』と笑い話になるような社会になっていたらうれしい。障害者が健常者と同じように、どんどん海外を志せる社会になってほしい。自分の経験が、他の障害者にとって一歩を踏み出すきっかけになれば」と八木さんは語る。

厚労省障害福祉課は取材に対し、八木さんの事例を踏まえて「滞在期間が1年未満なら海外でも障害福祉サービスを利用できることを、全国の自治体に、事務連絡としてなるべく早期に、わかりやすい形で周知する」とした。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

学生宿舎値上げめぐり紛糾 筑波大 大学側の強行姿勢に学生ら批判や撤回要求

平均1.4~1.5倍に 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)が今年4月1日から実施するとしている学生宿舎の寄宿料値上げをめぐって、大学側の強行姿勢に学生や卒業生らから批判が高まり、学生たちから値上げ撤回を求める動きが相次いでいる。 値上げ幅は平均で1.4倍から1.5倍近くで、最大2.1倍。金額ベースでは7210円から最大で4万8750円の値上げになる。学生宿舎の居室は全部で3517室あり、例年新入生の約4割が入居している。賃料と分離して新たに共益費8600円を徴収する。 昨年12月10日、大学側が学生たちに向け、学内情報システムの掲示板で値上げを発表した。宿舎賃料値上げは2008年にも実施されたが、値上げ公表後に学生への意見聴取会を3回行うなど約2年かけて丁寧に実施した。しかし今回は発表が値上げの約4か月前と突然だ。 12月10日の発表について、複数の筑波大生は「事前予告も何も無かった。大学から『決定事項』と伝えられた」といい、大学公認の学生代表組織「全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議」(全代会、大学の学生会や学生自治会に相当)にも大学側から事前通告は無かったと話す。 大学側が昨年12月発表した「学生宿舎寄宿料改定のお知らせ」によると、値上げの理由は▽維持管理費および光熱水費の高騰▽宿舎施設の老朽化に伴う修繕費の増加▽生活環境の維持、向上のための設備更新(居室へのエアコン設置)など。 大学の発表を受けて全代会は12月中、急きょ全学生を対象にアンケートを実施。回答した831人のうち現在宿舎に住んでいる学生が512人と約60%を占めた。 アンケート結果は、82%が通知時期について「遅かった」と答え、宿舎に住む学生に限っては83%が「通知が遅かった」と回答した。 宿舎に住む学生への質問では、大学への要望(複数回答)として、値段の維持(65%)▽値上げ幅の縮小(50%)▽学生との合意形成(36%)▽値上げの延期(34%)▽宿舎設備の改善(29%)と、値上げの凍結や値上げ幅縮小、値上げ延期を望む意見が多く寄せられた。 アンケート結果を受けて全代会は、今年1月7日付で学生担当の千葉親文副学長に対し▽値上げについて学生と議論を通じての合意の形成▽寄宿料、共益費の値上げを2027年4月1日まで延期▽経済的に困窮している学生に対して、援助の方法を用意し周知を行うことによって保護を与えること―の計3項目からなる要請書を提出した。 全代会とは別に、学生有志の団体「筑波大問題を考える会」も永田学長宛てに、値上げに関する事項などの質問状を提出している。 録音録画やSNSでの公表禁止 こうした状況を受けて1月20日、大学構内で初の学生向け説明会が行われた。学生によると、約4時間にわたり紛糾したが、説明会に関する録画録音やSNS上での公表禁止など、内容を非公開とすることを求められた。 その後2月15日、同大学OBで人権派弁護士として知られる指宿昭一弁護士が、筑波大生有志から相談を受け、説明会のやりとりの内容を自身の弁護士事務所の公式サイトで公表した。 公表文書などによると、千葉副学長は説明会では終始高圧的な態度で「学生さんが入る会議とか、ミーティングっていうのは存在しません」などと、学生軽視ともとれる発言をしたという。また賃貸住宅・アパートなどに住む借主の権利を定めた借地借家法の適用に関し「借地借家法の適用はノーです」などと話したという。 さらに、全代会が1月7日付で出した値上げ延期などを求める要望については、対応は行わない旨の発言があったという。 内容公表に踏み切った指宿弁護士はサイト上で「学生の言論の自由に対する不当な制限であり、憲法21条1項に違反する人権侵害行為」だと、外部への公表禁止を強いた大学当局を強く批判した。その上で今回の賃料値上げを「学生の生活の基礎となる寄宿料を一方的にしかも大幅に値上げすることは許しがたいことであり、しかも、その説明会の内容について批判する言論すら封殺するという行為は真理探究の場である大学がやってはならないこと」と、反対の姿勢を示した。 その後、2月16日に2回目の学生向け説明会が実施された。出席した学生によると、2回目は前回と違って副学長の態度は丁寧だったが、説明内容は前回と同じで、値上げ時期の延期や値上げ額の見直しは無かったという。NEWSつくばは取材を申し込んだが、大学側は「学内の事なので」などの理由で説明会の取材を拒否した。 学生有志が「撤回求める会」結成 大学側の強硬姿勢に対し、学生有志らは「筑波大学学生宿舎寄宿料増額の撤回を求める会」を結成。3月2日に大学側に賃料値上げ撤回や値上げ延期を求める要求書と交渉申入書を提出した。 申入書は、賃料値上げ撤回や値上げ実施延期の他に、学生宿舎入居者代表や全代会との協議や同意なしで値上げを行わないことや、学生が申し入れをしたことを理由に学業や生活上の不利益を一切与えないことの確約などを求めている。 同会代表の男子大学院生(22)は取材に対し「決して世間知らずの学生が騒いでいるわけではなくて、今回の(賃料値上げ)問題は大学の自治のあり方、運営費交付金を巡る国の教育施策のあり方にもつながってくる問題」だと話す。 同会ではネット上で署名活動も展開しており、同会の大学院生は「関心のある方は署名してくださるとうれしい」と呼び掛けている。 同会の申し入れに対し、同大広報局は取材に「学生からの要望について、大学の対応状況は公表しておりません」と回答している。(崎山勝功) 【メモ】学生宿舎は民間アパートと違い、敷金礼金などの費用や保証人、家賃保証会社の保証が不要で、初期費用が保証金3万円と入居月分の賃料で済むことから、地方出身の学生や外国からの留学生などの需要が大きい。ただしどの宿舎に入居するかは学生本人が選べないため、設備が古い宿舎に入居する事もあるという。▽4月1日からの値上げでエアコン未設置の居室については、エアコン設置までの間は月々の賃料から2500円を減額する。▽値上げ幅が最大の「ショートステイハウス一の矢32・33号棟」には、身体障がいを持つ学生向けのバリアフリー対応居室があるといい、筑波大生によると「つくば市内でも(民間アパートの)エレベーター付き物件は極めて少なく、電動車いすでの入居は困難」という。

がん治療で読んでおきたい本《ハチドリ暮らし》59

【コラム・山口京子】がん治療をする上で知っておきたい情報が整理されている3冊の本を見つけました。 最初のお勧めは「国立がん研究センターの がんになったら手にとるガイド」(国立がん研究センター・がん対策研究所著、小学館クリエイティブ)です。がんと診断されてからの検査、治療、生活、仕事、お金、体験談などがまとめられており、これからどうなるのだろうという不安に対して、見通しを立たせてくれる本です。 次のお勧めは「専門医が教えるガン克服の21カ条 ガンとわかったら読む本」(佐藤典宏著、マキノ出版)です。医師からがんと告知されたあと、患者本人がどのような選択をするのかによって治療の進展が違ってくるので、標準治療、非標準治療、西洋医学、東洋医学などにこだわらず、自分がよいと信じる治療法を組み合わせることがよいと書かれています。 また、告知されたときに知っておくべきこと、手術前にしておくべきこと、手術後に心がけるべきことなど、貴重なアドバイスが載っています。 恐ろしい「多重複合汚染」 3冊目は「がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし」(西尾正道著、旬報社)です。この本では、がんと医療の問題を考える一つのきっかけとして、近藤誠医師(がん放置療法の提唱者)の主張の誤りを指摘しつつ、日本の医療の問題点を述べています。 また、放射線によるがん治療の意義と今後のがん医療の在り方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が日本の医療や食物の安全に与える影響、福島原発事故による放射性物質が健康に与える影響、低線量被ばくがもたらす健康被害などが語られます。 さらに、化学物質と放射性物質の「多重複合汚染」が子どもの発達障害の原因ではないかとの脳神経科学者・黒田洋一郎氏の指摘を読むと、がんの増加やさまざまな病気の原因に「多重複合汚染」があるのではないかと考えてしまいます。そして、放射線の核種と線量の公開を求めるなど、福島原発事故対策のあり方を明記しています。 1945年の原爆投下以来2000回以上と言われる核実験、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故などで、健康被害が静かに進行しているのでは!(消費生活アドバイザー)

「第二の人生」という言葉《続・平熱日記》190

【コラム・斉藤裕之】そろそろ、燃やしても構わない1年分の紙切れをストーブにくべてしまおう。そう思って、封筒やレシートを一応広げてみる。すると、クリアファイルの中からちょっと懐かしいものが出てきた。それはスケッチブックの切れ端に生徒が描いた私の似顔絵。随分古いものもある。描いてくれと頼んだことはないけど、くれたものを捨てずに取っておいた。 大学院のころから続けてきた日雇い先生の仕事がもうすぐ終わる。最低限の生活の糧として止むに止まれず始めた仕事だったが、我ながら随分長い間続いたものだ。 聞かれれば答えるが、学校で自らプライベートな話をすることはない。しかし、最近の子は悪気もなく既婚か否かを聞いてくる(先生もプライベートな話をするらしい)。「孫がいるよ」というと、たいがいの生徒は驚く(年齢のことではなくて独身にしかみえない?)。 妻が数年前に他界したことを言うのが面倒臭いこともあって、そう答える。そうすると、やれどこで知り合っただのクリスマスはどうするだのと聞いてくるから、適当にお茶を濁す。だから、生徒は私が今も夫婦仲良く暮らしているものだと思っている。 私の似顔絵を描いてくれた生徒 人生を逆算して生きるのにはどうも抵抗があったが、両親が届け出の期限ぎりぎりまで思案した末に「馨」というイカした名前を授けられた孫娘が生まれたことで、この子の年齢に今の自分の歳を足して将来をイメージせざるを得なくなった(20歳になるころまではギリ大丈夫か?)。 1人目、2人目と孫が生まれて、すぐに絵を描いて、それは長女の家に飾ってある。さて馨のも描いてやろうと試みたが、どうもうまくいかない。女の子だからちょっとかわいらしくと思うのがいけないのか、生まれて間もない赤子というのは文字通り赤いごろんとしたもので、大人の顔を描くようにはいかない。 「第二の人生」という言葉は、私のようにずっと日雇いで暮らしてきたものには当てはまらない。途中、何度か就職することも考え、試みたこともあったが、それはかなわず家族に苦労ばかりをかけたと思う。それが良かったのか悪かったのかを考えてもしょうがない。 今思えば、どこにも属さず束縛されることなく、今も絵を描き続けられているということと引き換えだったんだろう。そのツッパリも無意味ではなかったのか、有り難いことに、ここにきて私の絵を応援してくれる人たちがいる。第一も二もない私の人生の続きは、いつものように朝牛乳パックのパレットに絵具を出すことから始まる。 日雇いとはいえ、随分たくさんの子供たちと過ごした。〇〇世代とか、今の子供たちは…とか、いつの時代も言われてきたけれど、50年前の私たちと今の子たちは何も変わらない。同じようなことを話し、同じように悩み、同じように笑って。 コロナ禍以降はマスクをしていたせいで、しばらく私の似顔絵を描く子はいなかったが、先日、1人の生徒が、描いたものをうれしそうに渡してくれた。最後の授業が終わったとき、その子に私が独り身であることを打ち明けてもいいかなとも思ったが…。(画家)

ロボッツ、第4Qで崩れ名古屋Dに悔敗

来季に向けアリーナ改修終わる 男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは7日と8日、改修したばかりのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)に名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎え、2連戦を戦った。7日は69-97、8日は69-72でともに敗北。これで茨城の通算成績は12勝29敗で東地区11位。次節は11日、首位の宇都宮ブレックスとアウェーで対戦する。 2025-26 B1リーグ戦(3月8日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 69-72 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ茨  城|19|24|22| 4|=69名古屋D|18|12|11|30|=72 茨城は第3クオーター(Q)終了時点で65-42という23点もの大差をつけながら、第4Qに名古屋Dの猛迫を許し、最後はわずか3点シュート1本差で敗れた。 第1Q、茨城は立ち上がりでやや出遅れたが、メンバーを入れ替えながら対応し、残り2分ほどから赤間賢人の3点シュート2本とドライブシュート1本などで追い上げ、残り6秒からロバート・フランクスの3点シュートで逆転に成功した。赤間は今季のBリーグドラフトで茨城に指名され、2月から特別指定選手として加入したばかり。「タフな時間で自分が体を張ったプレーを見せたかった。特に得点は考えず、空いたところで打とうという意識だった。スリーをよく打った分、ドライブも行けると思った」との振り返り。 この日の茨城の好調の要因について「昨日から何かを変えたというよりは、やるべきことをやりきるマインドを持ってプレーしようと話していた」とクリス・ホルムヘッドコーチ(HC)。守備では一度止めてからしっかり守りきろう、攻撃ではオープンな状況を作ったら迷わず打とうという意識で、それが第3Qまではしっかり遂行できていた。 だが第4Qで状況ががらりと変わった。名古屋Dは守備をプレスディフェンスに切り替え、さらにテンポを上げて茨城の攻撃時間を削りに来た。「相手はオープンな攻撃ができているように見えても、あせりが出て集中力がなくなり、第4Qはうちのものになった。勝ちに慣れているチームが、慣れていないチームに最後の30秒で勝った試合だった」と名古屋Dのショーン・デニスHC。 「第4Qで一気に攻め込まれたときに、私たちが解決策を見つけられず、プレッシャーをそのまま受け失速してしまった。あのようなシチュエーションでの戦い方を学ばなければいけないと感じた試合だった」とロボッツのホルムHC。だがそんな中でも新規加入の赤間やティム・シュナイダーの活躍が見られたことは、今後に期待が持てる良い材料だった。 特別席を設置 茨城の本拠地であるアダストリアみとアリーナは、昨年5月から進められていた改修工事が終わり、今節から使用が再開された。主な改修内容はホスピタリティエリアの設置で、10室102席のスイートルームと180席のラウンジシートが用意され、高級感ある観戦体験を可能にしている。 「改修は来季からのBプレミア参入のための必須条件であり、そこにロボッツならではの魅力も加えた。スポーツを通じて夢や感動を共有し、人と人が深くつながることができる。ロボッツにとっても水戸の街にとっても誇りになるものにしたい」と、茨城ロボッツスポーツエンターテインメントの川﨑篤之社長。 スイートルームの窓にはあえてガラスを入れず、会場の熱気や一体感を取り込んでおり、フリードリンクやフリーフードを取りに行きながら、隣の人との対話や交流も生まれやすい構造。基本的には年間パスポートの形で、スポンサーや協力企業を中心に販売が始まっている。ラウンジシートは、従来の1.5席分のスペースを使ったゆったりサイズの席で、1試合ごとに7300円~13200円で発売される。(池田充雄)