【コラム・小泉裕司】「花火な旅2024」の前半戦が終了。台風の迷走やゲリラ雷雨など、今まで経験のない気象変化との戦いが続いた。9月から後半戦に突入、11月2日(土)の「土浦」まで、怒濤(どとう)のごとく「いばらきの秋花火」が続く。
ということで、今回は、秋花火開幕戦、9月14日(土)に境町の利根川河川敷で開催された第37回利根川大花火大会の所感を連ねたい。
秋の夜空に、スターマインや尺玉など迫力ある約3万発の花火が打ち上げられ、30万人の観客を魅了した。 土浦と大曲の両競技大会で内閣総理大臣賞の受賞歴を誇る野村花火工業(水戸市)、山崎煙火製造所(つくば市)、紅屋青木煙火店(長野県)、マルゴー(山梨県)の「4大花火師」が匠(たくみ)の技を披露。音楽は安室奈美恵さんの「ヒーロー」などで知られる作曲家、今井了介さんがすべてのプログラムを音楽プロデュースした。
通常、花火師が選曲も打ち上げもプログラムするが、いわば分業制を採用。今井さんが、スターマインや10号玉(尺玉)の競演すべてを選曲、各花火師はそれに合わせて打ち上げをプログラミングした。大会初の試みに、まずは敬意を表しよう。
駐車場予約システムの効果
花火大会主催者への取材で聞こえてくるのは、異常な混雑の中、安全を確保するための警備体制の強化など、人的にも費用的にも苦労が大きいというということ。花火会場のキャパシティは限界を超えており、これ以上観客が増えることは、正直、勘弁してほしいという。
特に地方の場合、移動は車中心となるため、会場への少ないアクセス道路に車が集中し、早い時間から渋滞が発生。打ち上げ開始までに会場に着けないとか、帰路は駐車場から出られないとか、出場後も渋滞で深夜着といった状況が各大会で発生している。
境町も、都市基盤や公共交通の脆弱(ぜいじゃく)さから、同様の状況があったという。これらの課題を打開するため、他の花火大会で実績を残す軒先(株)と駐車場シェアサービスを共同開発・実践した成果が認められ、今年度、第1回全国シェアリングシティ大賞2024(シェアリングエコノミー協会主催)の大賞を受賞した。
会場周辺の駐車場は、民間も公設もすべてネットからの事前予約制で有料。合計約4000台を収容する駐車場は、1台1万円以上と高額でも、会場近くから満車になったという。
私は今回も、渋滞に巻き込まれながらも空き駐車場を探して彷徨(ほうこう)することなく、予約した駐車場に到着した。不正駐車も見当たらないのは予約システムの効果だろう。同時に、主催者側のコスト削減と運営スタッフの負担軽減にも効果が生じているに違いない。
観覧席の高額化
観覧席は、近隣の大会に比較し、超高額な価格設定にもかかわらず、早期に完売。転売防止策とのことだが、今年も転売サイトはにぎやかだった。本大会初のラグジュアリー席は、打上現場の真っ正面最前列に2人用のリクライニングシートを設置、価格は8万円。それでも即時完売。こうした「境価格」は、他の大会からも注目されている。
マナー知らずの浴衣美女
観客の目の前で、打ち上がる花火を背に、時にはライトをつけて記念撮影に及ぶ迷惑集団が出現。何度もポーズを変えて、さらに交代して、最後は、みんなで集合写真に及ぶ。ここ数年の現象だが、やめるよう注意するのは私だけではない。周辺の観客や係員も参戦する。この行動自体がストレス、しかも二度と見られない花火作品を見逃すことになる。
今回も私の前のテーブルは、浴衣を着た外国語を話す男女4人が着席。とにかく落ち着きがなく、自撮りはもとより、男女のふれあいを繰り返す。我慢の限界が来たところで、遅れて到着した予約客に席の間違いを指摘され、目の前から消えた。
美しい花火を見ると、喜びや感動、興奮などの上向きな感情が喚起され、ポジティブな気分や心の開放が促進されると言われるが、こうして原稿を書いている最中も、思い出してイライラ感が募るばかり。この上は、ラグジュアリー席の購入しかないようだ。本日は、この辺で「打ち留めー」。「シュルシュルシュル どどーん」(花火鑑賞士、元土浦市副市長)