木曜日, 1月 22, 2026
ホームつくばつくば市選管「実施見送り」を最終決定 市長選・市議選のオンデマンド投票

つくば市選管「実施見送り」を最終決定 市長選・市議選のオンデマンド投票

三たび審議、いずれも不可

つくば市選挙管理委員会(南文男委員長)が2日開かれ、ワゴン車に投票箱を積んで自宅前まで行く「オンデマンド型移動期日前投票」を10月のつくば市長選・市議選で実施するか否かについて審議が行われ、実施を見送ることを決定した。4月24日、6月3日に続いて3度目の審議となり、いずれも全会一致で不可とする判断が出された。今回が最終判断となる。

実施見送りの理由について4人の委員からそれぞれ「選挙事務にミスは許されない。市民一人一人のニーズに対応するのは大事で、そことの兼ね合いになるが、ミスを無くすため事務を煩雑にすることは避けた方がいい」「実証実験と本番は違う。実証実験の検証報告では選挙本番での利用者を多く見積もって80人と推定しているが、80人を超えた場合、対応できるのか。リスクを排除して万全を期した方がいい」「衆議院の解散総選挙と期日前投票の日程が重なることも想定される。市長選・市議選はオンデマンド投票ができるが、衆院選はできないということにはならない」などの見解が示された。

これに対し五十嵐立青市長は「これまで選管の提言を受け、それに対応して課題を解決してきたという認識だったので最終的にこのような決定がされたことに驚いている。期待してくださった障害当事者や家族に非常に申し訳ない。今後も引き続きあらゆる可能性に挑戦し誰一人取り残さない社会の実現を目指していきたい」などとするコメントを発表した。

市執行部が実施する計画だったオンデマンド投票の対象者は、自力で立ったり歩いたりすることができない高齢者や障害者。8月6日から9日に実施した実証実験には対象者約3000人のうち35人が参加した。実施見送りが決まったことで、対象となる高齢者や障害者は、市から配布される無料のタクシー券を利用し福祉タクシーを使って投票するか、寝たきりの場合などは郵便投票を実施することになる。

総合的に検討を

2日開かれた選挙管理委員会で、市政策イノベーション部は、8月6日から9日に実施した実証実験(8月6日付)の結果を報告した。利用者のニーズとして実証実験に参加した35人のうち91.4%が「10月の本番もオンデマンド投票を使いたい」と回答したなどと報告した。

これに対し市選管の委員から「雨の日は時間がかかるが(期日前投票所設置の時間内に)対応できるのか」「選挙公報をどこで読んでもらうのか」「(予約に応じて自宅まで迎えに行き期日前投票所まで送迎するサービスを実施しないなら)もはやオンデマンド(要求に応じて)という名称ではなく期日前移動投票になる」などの質問が出て、市政策イノベーション部が対応策などを一つひとつ答えていった。

選管の委員からはさらに、オンデマンド投票がネット投票へのステップになると位置付けることへの疑問が前回に続いて出され、「(オンデマンド投票を通して)どうやって公選法の穴をこじ開けようとするのか、8月6日から9日の検証結果にはネット投票に向かうステップが入ってない」「オンデマンド投票とインターネット投票とでは対象者が違うのではないか」などの意見も出た。オンデマンド投票ありきではなく、郵便投票のやり方など制度面も含めて総合的に再検討することが必要だとする意見も出た。

市議会からも懸念

同市は2022年、インターネット投票を看板事業に掲げ、政府からスーパーシティに指定された。インターネット投票にはなりすましや強要などの懸念があるなど総務省の理解を得られないことから、代わって市執行部は、オンデマンド投票をインターネット投票に向けたステップだと位置づけてきた。

オンデマンド投票実施に向けて市執行部は今年1月、市北部で実証実験を実施。今年3月議会で、市北部の一部地域で実施する計画で予算を計上した。一方市議会からも、公平性の観点から一部地域でのみの実施に疑問が出された。一部地域のみでの実施について市選管は4月24日、公平性の観点から時期尚早だとする判断を出した。

市議会からはタクシー券配布の提案も出ていた。市議会の意見や提案を受けて市は、市全域の移動困難な高齢者や障害者に期日前投票のタクシー券を配布する予算を計上(5月30日付)。タクシー券配布については選管で異議無く了承された。

その後、市執行部は計画を改め、市北部だけでなく市全域で、自力での歩行が難しい高齢者と障害者を対象にオンデマンド型移動期日前投票を実施する計画を立て、6月3日の選管に再提案した。これに対し市選管は再び「時期尚早」だとする結論を出した。

時期尚早の理由の一つに「市内全域で実証が必要」との意見があったことから市執行部は6月の市議会常任委員会で、市全域で実証実験をする計画を示し(6月25日付)、市は対象者約3000人にダイレクトメールを出し、8月6日から9日まで、申し込みがあった35人の自宅に投票箱を積んだワゴン車が出向く期日前移動投票の実証実験を実施した。市議会からは「どうやっても突き進むのか」など懸念の声が出ていた。

退職金でネット投票

一方で、インターネット投票をめぐって五十嵐市長は、自らの2期目の退職金約2039万円についてネット投票を実施し金額を決める条例案(8月26日付)を、3日開会の市議会9月会議に提案する。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

17 コメント

17 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ごみピット内で出火 一時白煙が充満 土浦市清掃センター

21日午後3時ごろ、土浦市中村西根、市清掃センターで、集められた可燃ごみを一時的に貯蔵する可燃ごみピット内から出火し白煙が発生、ピット内は一時白煙が充満した。 施設の運転管理委託業者が初期消火活動をしたが白煙の発生が止まらず、午後3時2分に119番通報。駆け付けた消防隊員が水をかけるなどして消火活動を実施し、午後4時55分に鎮火が確認された。けが人はいない。 同清掃センターによると、ピット内でごみの一部がくすぶった状態になり、白煙によりピット内を目視するのが難しいほど充満したという。 どのくらい焼けたかや、出火原因は現在のところ特定できていない。鎮火後、ピット内の可燃ごみを調べたところ、ごみ自体に大きな焼け跡などはなかった。ごみ処理施設の設備や建物の躯体にも損傷はなく、同センターは、22日以降のごみの受け入れや処理に支障はないとしている。

立憲の青山氏「中道」に加わらず 衆院選茨城6区 4氏が立候補へ

23日の解散に伴い、27日公示、2月8日投開票が予定されている衆院選で、茨城6区から立候補を予定している立憲民主党現職の青山大人氏(46)が21日つくば市内で開かれた記者会見で、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」に加わらず、無所属で立候補すると話した。 青山氏は「政治家としての私の信念の中で今回は無所属を選んだ。単純に選挙戦だけを考えれば厳しいことは承知している」とし「有権者の視点から見た場合、有権者が本当にそういうことを求めているのか。自分自身も直感的に違和感を覚えた」と新党結成に疑問を呈した。「我々は有権者から選ばれる立場。信頼される政治という根本の部分を大事にしたい」と述べ、「私の考え、政治姿勢が大きく変わったわけではないし、これからもぶれることはない」などと話した。 青山氏は、立憲の離党と新党の入党届け提出期限となる20日に立憲民主党を離党し、同日、つくば市西大橋で開いた衆院選の事務所開きで、無所属で立候補することを支持者らに明らかにした。無所属だが連合茨城の推薦を受けて選挙戦に臨む。立憲の衆院議員146人のうち新党に加わらなかったのは青山氏と原口一博氏の2人だけ。 共産が新人を擁立 一方、共産党県委員会は20日、茨城6区に、新人の稲葉英樹氏(58)を擁立することを発表した。稲葉氏は土浦市出身、同市在住。半導体製造会社勤務を経て、現在、党南部地区副委員長。 6区にはほかに、自民党現職の国光あやの氏(46)、昨年12月に立候補を表明した参政党新人の堀越麻紀氏(53)を含め計4氏の立候補が予定されている。 前回2024年10月の衆院選茨城6区は、立憲現職の青山大人氏、自民現職の国光あやの氏、共産新人の間宮美知子氏の3氏が立候補し、青山氏が12万票超の得票を得て小選挙区で初めて国光氏を破り、国光氏は比例復活した。青山氏は前回、6区の土浦、石岡、つくば、かすみがうら、つくばみらいの5市すべてで国光氏を上回った。(鈴木宏子)

昨日までの邸宅を脱ぎ捨て、「駅前」という自由をまとう《人生100年時代》

広告【コラム・岩本将哲(サンヨーホームズ)】街を歩けば、庭木の手入れに精を出す紳士淑女の姿をよく見かける。現役時代に築いた広大な邸宅は人生の勲章であり、家族の記憶が染み込んだ聖域だ。しかし、あえて問いたい。その「聖域」が、いつのまにかあなたから「軽やかな自由」を奪ってはいないだろうか? 人生100年時代。私たちはあまりに長く「家を守ること」に縛られ過ぎている。階段の上り下り、冬の廊下の寒さ、駅までの億劫(おっくう)な距離。それらを「年相応の我慢」として受け入れるのは、いささか早計だ。本当の意味で人生を謳歌(おうか)する知的なシニアたちは、今、鮮やかに住まいを「最適化」し始めている。 駅前マンションで人生を2度、恋させる その象徴的な舞台が、JRひたち野うしく駅直結の「サンミットひたち野東ステーションフロント」である。ここを「老人ホーム」と呼ぶのは、野暮(やぼ)というものだ。ここは、自立した大人が自分の意志で選び、自分の資産として登記する「分譲マンション」である。 コンシェルジュによるホスピタリティと、建物1階にクリニックや調剤薬局を備える安心感は、いわば「見えない執事」が常に寄り添っているようなものだ。それでいて、一歩外へ出れば駅に直結するペデストリアンデッキ。都心の観劇へも、なじみのショップへも、雨に濡れず、誰の手も借りずに繰り出せる。 特筆すべきは、入居に際して「身元引受人」や「保証人」を必要としない潔(いさぎよ)さだ。子供に負担をかけたくない、誰にも依存せず自分の人生を完結させたい。そんな現代的なプライドを、この建物は優しく、そして力強く肯定してくれる。所有権分譲だからこそ、将来の売却や相続も思いのままだ。 「今の家が一番」という頑(かたくな)な思いを、少しだけ解いてみてはどうだろう。思い出は、場所を変えても色褪(あ)せない。むしろ、煩わしい維持管理から解放されたとき、夫婦の会話は新婚時代のような軽やかさを取り戻すかもしれない。 「終の棲家」を我慢の場所にしない 人生の後半戦、家はもう「守るもの」ではなく「遊び場」であっていい。「終(つい)の棲家(すみか)」を我慢の場所にしないほうがよい。駅前で、新しい自由を手に入れた人々の顔は、驚くほど若々しい。次は、あなたの番だ。昨日までの重たい邸宅を脱ぎ捨てた先に、見たこともないほどチャーミングな「明日の自分」が待っているはずだ。(福祉住環境コーディネーター・終活カウンセラー) <サンミットひたち野東ステーションフロント>▽所在地:茨城県牛久市ひたち野東1-32-8▽形態:シニア向け分譲マンション(所有権方式)▽特長:駅直結、入居者専用レストラン・大浴場、365日24時間有人管理で緊急対応、身元引受人(保証人)不要▽見学会・相談会:随時受付中(予約制)▽資料請求・見学希望:🆓0120-555-712、または『サンミット』で検索

生物多様性保全、情報発信で協力 つくば市と実験植物園が連携協定

つくば市と国立科学博物館筑波実験植物園(同市天久保)は19日、「相互協力の促進に関する基本協定」を締結し、同植物園で締結式を行った。生物多様性の保全や研究成果の活用、市民への理解啓発など幅広い分野で連携し、今後、企画展や情報発信などを共同で進めていく。 協定では①自然環境の保全②相互の情報・資源・研究成果の活用③市民の安全・安心に関する情報共有④学術研究・科学技術の振興⑤学校教育・社会教育の増進⑥市内大学・研究機関との連携促進⑦これらの目的達成のための必要な事項など7項目を掲げた。 筑波実験植物園は14ヘクタールの敷地内に、日本の植生や世界の熱帯・乾燥地などの自然環境を再現し、絶滅危惧種を含む約7000種類の植物を保有する。そのうち約3000種類を自然に近い形で公開する国内有数の研究施設。企画展やイベントを通じ、年間9万から10万人が訪れている。 市の担当課は今回の協定締結の目的について「昨年3月に市が策定した『生物多様性つくば戦略』が掲げる『生物多様性を守り育むことが当たり前になる社会』という理念は、植物園の『知る・守る・伝える』という方針と合致する」と説明。昨年12月に開催した蘭(らん)展の共催や、今月27日まで開催されているインターネット投票を活用した写真コンテスト「全国に自慢したい!つくばの植物」を協力して実施しており、「市民の理解促進と、子どもたちが自然を身近に感じ継承できる取り組みをさらに進めたい」と述べた。 五十嵐立青市長は「生物多様性は言葉だけでは実感しにくいが、植物園は肌で感じられる場所」だとし、約3000種の蘭を保有する世界有数の保全施設としての同園の特徴を生かし「『蘭のまち』としての発信も検討できる」と述べた。また、市民団体と専門家が協働する循環づくりや、生物多様性センターを拠点としたツアー開催などの構想をあげながら、「都市の中の生態系づくりを専門家の助言のもと進めたい」と語った。 筑波実験植物園の遊川知久園長は「まずつくば市民の皆様に植物園を知っていただきたい。そのために、研究・保全活動、学習支援活動、企画展やイベントの情報発信で市と協力していきたい」とし、「市内にも絶滅危惧種がある。その保護、繁殖に植物園のデータを生かすなど、課題に筑波実験植物園の職員が貢献していくことを考えている」と展望を語った。(柴田大輔)