水曜日, 4月 2, 2025
ホームつくば生徒が入試の出題者に 「よい問」巡り教員と熱論 茗渓学園

生徒が入試の出題者に 「よい問」巡り教員と熱論 茗渓学園

新コースのアカデミアクラスが設立されて4年目を迎える茗渓学園中学校高等学校(つくば市稲荷前、宮崎淳校長)のアカデミアクラスの生徒が、グループに分かれて入試を想定した問題を作り、内容の良し悪しを教員と議論し合う公開シンポジウムが17日と18日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開かれた。

同クラスはアカデミックな研究活動と受験指導を両立させて、次世代を生き抜く力を育成し、国内外の難関大学進学を実現させることを目的に2021年に設立された選抜コース。

公開シンポジウムは今年で4回目。昨年までは教員が作る問題に、生徒が意見を投げ掛けるものだったが、今年は初めて生徒と教員がそれぞれ作題者として同じ立場で意見を交わし合う場を作った。同校の教育構想推進部の谷田部篤雄部長(36)は「生徒が出題者の目線に近づくことで、難しい問題でも作題者の意図を考え、解く力を付けさせることが一番の目的。能動的で自発的な学習を目指すアカデミアクラスの目的にもつながる」と話す。

3カ月前から始まった生徒による「よいとい」作りでは、中学1年から高校3年まで、約300人いるアカデミアクラスの生徒が「感動するくらい、『よい問』」をテーマに各クラスでグループごとに入試を想定した問題を作った。さらに内容を吟味しながら最終的に中1から高3の生徒が混合する8つのグループをつくり、数学、理科、英語、国語の4科目で10個の問題を提案した。

シンポジウム初日の17日は生徒が作った問題をグループごとに紹介し、18日午前は、グループごとに作った問題に対して、同校の教員や、大学教員らによるゲスト審査員からの指摘に、生徒が回答しながら「よい問」とは何かについて考えを深めた。

18日午後からは、教員が作った問題に対して生徒が疑問点を指摘した。英語や国語の長文の問題に対しては「長文の問題なのに、全体を読んで答える問題が少ないと感じた。全体を把握しなければ答えられない問いにするべきでは?」「注釈の付け方が作題者ごとに異なる」「注釈の付け方をもう少し工夫はできないのか」など生徒から率直な疑問が出て、熱を込めて思いを伝える教員の姿に、会場からも熱い視線が注がれた。

シンポジウムに参加した生徒と関係者らによる記念写真

総評に立った国文学研究資料館研究部の栗原悠准教授は「(長文問題では)読んだ経験が残ることが重要。出題者の意図をつかむことと共に、学ぶことの楽しさを知ってほしい」と語った。

発表資料を作成するなど運営にあたった組織委員のメンバーで、ファシリテーター(司会)を務めた同高校1年の矢島千歳さん(16)は「努力家が多く、皆が頑張り刺激し合う中で、生徒同士だけでなく、教員と生徒の間でも本当に色々なことを伝え合えるイベントだと思っている。ファシリテーターとしてそれぞれの考えをよく見て、その人が本当に考えていることをひろえるよう意識した」と話した。

茗渓学園の谷田部部長は「生徒の良い発表もあった。教員と生徒の間で問題の弱点も指摘し合い議論できたのは良かった」とし、「作った問題の検討を教員同士ではよくやる。色々な指摘もあり緊張感がある。今回の取り組みでは生徒も教員と同じ目線に立てるということがわかった。今後、我々も、教員に出すような気持ちでより緊張感を持って作っていきたい」と話すと、「教育現場では教員が万全の準備をした上で、失敗がないように物事を始めることが多いが、子どもたち自身が大きな可能性に気づかせてくれた。彼らの成長に私たち教員も引っ張られて成長することができる」とし、「今後はより多くの参加を期待し、来年以降につなげたい」と語った。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

あるだけ使っちゃう《続・気軽にSOS》160

【コラム・浅井和幸】小遣いをあるだけ使ってしまう。おやつをあるだけ食べてしまう。そのようなことで、子供のころに親に怒られた経験は誰にでもあると思います。ですが、大人になってもその癖(くせ)はなかなか治らない。 それどころか、優秀な人が集まっているはずの官僚制を俯瞰(ふかん)した法則で、パーキンソンの法則が70年ほど前に提唱されました。英国の官僚制の話らしいですが、予算や人や時間がある分だけ、官僚たちは増長していくという法則です。 具体的には2つの法則が提唱されました。第1法則:仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。第2法則:支出額は収入の額に達するまで膨張する。税金は、年度区切りの短期的な考え方、その年の収入は使い切るとの考えがあるからかもしれません。 私が法人や個人で対応している生活困窮者でも、短期的に物事を捉えて月の収入をその月で使ってしまい、数年に一度の車検やアパートの更新料、突発的な病院代が払えなくなる人がいます。また、毎日のガソリン代は工面できるけれど、家賃は払えなくなる人もいます。 さらに、月収をその月に使い切るだけでなく、給料の週払い・日払い、そして来月の収入を見越したクレジットカード払い、借金、給料の前払いになります。お金の計算は結構難しいもので、なかなか教育されない分野です。 まじめにやっていればよいというイメージだけで金銭収支を捉えている人も多いことでしょう。このように考え、借金は悪として受け入れない、上記とは反対の間違いにはまってしまっている人も多いはずです。財務諸表などの中の資産と負債の勉強まではなかなか手が出ないものですよね。 タイムパフォーマンス 話をパーキンソンの法則に戻して、皆さんも日々の動きに当てはめて考えてみてください。お金をあるだけ使っていないでしょうか。時間もあるだけ自分の意図しない使い方をしていないでしょうか。この法則の中では、1時間で終わる会議を2時間に設定すると、同じ内容で2時間使ってしまうとも言われているようです。 「タイパ」という言葉を使う方もいます。時間に対する満足度=タイムパフォーマンスの略です。映画や動画を3倍速で見る若者は、そこで浮いた3分の2の時間を何に使っているのでしょうか。もちろん、それが楽しい時間であればよいと思います。浮いた時間で、嫌な人のことや嫌な仕事のことを考え続けるよりはずっとよいでしょう。 短期・中長期的に、自分も周りも笑顔になれるような時間の使い方は何かと悩む時間をつくるとよいかもしれません。(精神保健福祉士)

成田山書道美術館を訪ねて《ふるほんや見聞記》3

【コラム・岡田富朗】このほど、大東文化大学教授で成田山書道美術館(千葉県成田市成田)の非常勤学芸員を務めている髙橋利郎さんを訪ね、お話を伺いました。同美術館の開館は1992年ですが、髙橋さんが学芸員に着任したのは1999年のことです。 着任したころの収蔵点数は約2000点程度で、古いものでも江戸時代の作品でした。その後、近現代の書道作品を収集している美術館が少ないことを踏まえ、いずれ近現代書家の作品が必要になると見越して、今日まで収集してきたそうです。 収集作品には、作家が資料として持っていた古筆など、貴重なものも含まれており、現在では収蔵点数が約7000点に増加しました。近現代書道の重要性を浮き彫りにしたコレクションは、同美術館の大きな特徴になっています。 代表的な作品としては、古写経手鑑『穂高』、青山杉雨の『書鬼』、小山やす子の『伊勢物語屏風』、貫名菘翁の『茶香酔趣』、赤羽雲庭の『凛厳』などが所蔵されています。「赤羽雲庭の『凛厳』はその美しさで有名で、急いで引き取りに行った」とのことです。 「書道の技術は身体的な経験を通じてこそ知り得る。機械で美しい文字を再現するのとは大きく意味が異なり、人の手の動きや字を書く技術が、プロセスとして作品を見る人に感じさせることができる。日本では学校で書道の授業があり、一度は書を書く経験をした人が多いからこそ、書を見て美しいと感じられる文化がある」 書道への造詣が深かった漱石 最近、書道がユネスコの無形文化遺産候補として正式に提案され、その重要性が認められました。書道は、芸術作品にとどまらず、生活美術として日常に深く結びついています。 髙橋さんは「書道が歌舞伎や能などの伝統文化のようになってしまうのは違う。より身近なものであり、各家庭にさりげなく飾ることが日常であるような、書道文化として日本に残っていってほしい」と話してくれました。 近年、前衛書と呼ばれる書家たちの中で、井上有一や篠田桃紅などの作品は、美術市場における草間彌生などの作品と同様、世界的に注目が高まっています。 最後に、夏目漱石の書道への造詣の深さを示す本として、漱石の代表作『草枕』を教えてくれました。この本では、文房四宝(ぶんぼうしほう=筆、すずり、紙、墨)について触れられています。最近、カナダのピアニスト・作曲家のグレン・グールドを扱ったラジオ番組で、彼も漱石の『草枕』を愛読していたことを知りました。(ブックセンター・キャンパス店主) ◆「幕末明治の下谷文人展」が4月26日~6月15日 、成田山書道美術館で開催されます。

Astemoリヴァーレ茨城 ホーム最終戦 勝利飾れず

チャンピオンシップ進出決定 バレーボールの最高峰カテゴリーSVリーグ女子のAstemo(アステモ)リヴァーレ茨城は29、30日の2日間、ひたちなか市総合体育館でホーム最終戦を行い、今季からSVリーグに加わった群馬グリーンウイングスと対戦した。1日目の29日は群馬をセットカウント3ー0で破り、レギュラーシーズンの上位8チームによるチャンピオンシップ進出を決めた。2日目の30日はセットカウント2−3で敗れ、ホーム最終戦を勝利で飾ることが出来なかった。Astemoリヴァーレの通算成績は22勝20敗。レギュラーシーズンの順位は8位。 大同生命SVリーグ2024-25女子 2025年3月30日@ひたちなか市総合体育館Astemoリヴァーレ茨城 2-3 群馬グリーンウィングス21ー2525ー1125ー2015−257ー15 2日目30日のホーム最終戦。Astemoリヴァーレは、前日の29日にチャンピオンシップ進出を決め、「試合内容を含め明日頑張らないといけない」(中谷宏大監督)と試合に臨んだ。対する群馬は35戦目で初勝利し3連勝して勢いに乗り挑んだ。29日は敗れ、連勝がストップした。 Astemoリヴァーレは第1セット、一進一退の接戦の末に群馬に先取を許した。第2セットは、鹿嶋市出身(日本ウェルネス高校)の生井澤美海華がサービスエースを決め、筑波大学出身の高間来瞳がアタックを決めた。その後もサーブから点差を広げ25ー11で2セットを取った。第3セットは高間がブロック、キャプテン上坂瑠子やマッケンジーメイがアタックを決め、最後は高間が決めて連取した。 しかし第4セットは群馬の攻撃とブロックに苦しめられ、ミスもありセットを落とすと、最終第5セットも相手に傾いた流れを止めることができず連取された。 試合後、Astemoリヴァーレの中谷宏大監督は「ゲームの初めからうまくかない展開が多く続き、勝敗以上に内容としては完敗だった。数字では見えない勇敢さ、大胆さとか、両チームを見ると相手の方が圧倒的に押しているように見られた」とし。「1年間チャンピオンシップで勝つことを目標にやってきた。チャンピオンシップでは自分たちがやらなくてはいけないことをやり、相手に立ち向かいベストを尽くしてやり尽くさないと勝てない。やり尽くす準備をみんなでやり遂げたい。はいつくばっでも最後までしがみついて勝ちをもぎ取りたい」と力を込めた。 筑波大出身のアウトサイドヒッター 高間は、今季3年目の40試合に出場し210得点を挙げた。今シーズンを振り返り「個人的には波があるシーズンだった。準備していたのをしっかり出せた時もあるし準備してきたのに出せなかった時もあった。来シーズンは波のないような安定したシーズンにしたい」と話し、「(チャンピオンシップで4月19日から対戦する)大阪マーヴェラスは(レギュラーシーズに優勝するなど)強いチーム。みんなでコミニケーションをとって練習し、粘り負けない強いチームをつくっていきたい」と意欲を話した。 筑波大出身で2年目のセッター 倉田朱里は「スキル、気持ちの面でも変化があるシーズンだった。昨年は出場機会が少なく今シーズンは大幅に出場機会を増やすことが出来てセッターとしてどうゲームメークしていくかだったり、スパイカーとのコミニケーションだったり、試合を通していろんなことに気づけたシーズンだった。自分のキャパを知ることが出来たので、スキル、気持ちの部分でも来シーズンの取り組み方につなげていけるシーズンだった」と述べ、チャンピオンシップでは「チーム力として全力でプレーし、試合に向けて勝つイメージをチームで持ちながら練習に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。 レギュラーシーズンの最終戦は4月5日、6日にアウェーの上尾市民体育館で行われ、埼玉上尾メディックスと対戦する。 レギュラーシーズンは最終戦を前に大阪マーヴェラスの優勝が決まり、Astemoリヴァーレの順位は8位。チャンピオンシップはトーナメント方式で実施され、Astemoリヴァーレの対戦相手は優勝した大阪マーヴェラスに決定した。4月19日からアウェーのグリーンアリーナ神戸で対戦し、先に2勝したチームが準決勝に勝ち進む。(高橋浩一)

男性消防士を休職処分 つくば市消防本部 不同意わいせつ罪で起訴 

つくば市消防本部の男性消防士(26)が2月20日、不同意わいせつの疑いで逮捕された事件(2月20日付)で、市消防本部は28日、男性消防士が不同意わいせつの罪で起訴されたことを受けて、3月27日から判決が確定するまで、同消防士を休職処分としたと発表した。 男性消防士は昨年10月24日午前2時ごろ、市内の消防施設で当直勤務中、20代の女性消防職員にわいせつな行為をした疑いで、今年2月逮捕された。逮捕時、容疑を否認していた。 市消防本部消防総務課によると、男性消防士は3月12日に不同意わいせつの罪で起訴され、今後公判が開かれる。現在、罪を否認しているか否かについて市消防本部は、把握していないとしている。 男性消防士は逮捕後の2月20日から出勤していないという。同消防士に対する市消防本部としての処分は、判決が確定してから改めて判断される。