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懸念相次ぐ中、市全域で実証実験始まる オンデマンド型移動期日前投票 つくば市

市議会や市選挙管理委員会から懸念が相次ぐ中(6月3日付同25日付)、今年10月のつくば市長選・市議選での実施を目指し、市内全域を対象とした「オンデマンド型移動期日前投票」の実証実験が6日始まった。

9日までの4日間、申し込みがあった37人を対象に、投票箱を積んだワゴン車2台が自宅前まで出向くなどし、車内で模擬投票が実施される。4日間の実証実験の事業費はシステムの小規模改修が約200万円、車両の手配が約220万円の計420万円という。

自分で立ったり歩いたりすることが困難な市内の要介護3 ~5の高齢者と身体障害者など計3072人に案内を出して参加を募り、1.2%の37人から申し込みがあった。内訳は要介護3と4の高齢者が15人、身体障害者が22人。

同市は今年1月、高齢者が多い市北部の臼井、筑波地区で最初の実証実験を行った。3月時点では、両地区で実施する計画で予算を計上したが、公平性の観点から市議会や市選管から懸念が出て、6月議会では、市全域の移動困難な高齢者や障害者計約4000人にタクシー券を配布することが決まった。

一方、ワゴン車が自宅に出向く同期日前投票に対してはこれまで、市選管から2度も「時期尚早」だとする見解が出されている。これに対し五十嵐立青市長は、スーパーシティの看板事業だったインターネット投票導入につながるステップだと位置づけ、今回の市全域での実証実験となった。

移動投票車の車内の様子

今回、自宅に出向く車両は、市内の介護タクシー事業者が所有するワゴン車のリフト付き福祉車両とした。2台が市北部と南部に分かれて37人の自宅などを回る。車いす利用者は、後方からリフトに乗って車いすのまま車内に入れるようになっている。ワゴン車の運転手は介護ヘルパーの資格を持ち、乗り降りをサポートする。

移動投票所となるワゴン車では1台に付きそれぞれ、投票管理者1人、投票立会人2人、受付1人、補助1人の計5人が立ち会う。パソコン1台が設置され、ネットの利用で選挙人名簿を確認などする。文字を書くのが困難な場合は代理投票も行う。1月の実証実験で試された立会人ロボット「オリヒメ」は今回採用を見送った。

市選管からは、各所10分間という移動投票所の設置時間が厳守できるかなどの指摘があったことから、1カ所に付き30分間の予備時間を確保する。さらに次の移動投票所の設置時間に間に合わない場合を想定し、ワゴン車1台を待機させる。1月の実証実験では自力で歩ける人がほとんどだったため所要時間を計測しなかったが、今回は各所で時間を計測する。

自宅敷地内にワゴン車を駐車できるスペースがない場合は、乗用車タイプの福祉車両が送迎などする。

10月の本番で実施することが決まった場合は、改めて参加者を募集するが、現在のワゴン車2台体制の場合、期日前投票が実施される6日間で最大84軒くらいを回ることができるという。

6日、実証実験に参加した同市洞下の五十嵐心音さん(18)の自宅前には投票箱を積んだワゴン車が到着し、五十嵐さんは介助を受けながら無事投票を済ませた。心音さんは腕や手に機能障害があり、歩くことやしゃべることが困難だ。母親の純子さん(47)によると、音声を合成する機器を利用して心音さんと意思疎通を図っている。「選挙が出来る18歳になって、本人から選挙をやってみたいという意思の確認がとれたので、今回の模擬投票に参加することになった。あきらめてしまう人は多いけれど、出来ることはチャレンジしていきたい」と話した。介護タクシーの利用について純子さんは「介護タクシーはまだ利用したことはないが、機会があれば使ってみたい」と付け加えた。

五十嵐さん宅では、市選挙管理委員のほか五十嵐立青市長も同行し実証実験を見守った。五十嵐市長は「今回はスムーズな運営が出来てとても良かった。あきらめてしまう人が多い中、意思表示をし、参加できるというのはとても大事なこと。市としてはこういう機会をどんどんつくっていきたい」と話した。

今回の実証実験の結果は市選管に報告する。10月の市長選・市議選で実施するか否かの最終判断は、9月2日開催の市選挙管理委員会で改めて協議される。

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