火薬研究の第一人者で産業技術総合研究所の元研究者、松永猛裕さんが開発した教材「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ色火剤(いろびざい)」(2023年6月22日付)を用いた特別授業が3日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)である茗溪学園高校で行われた。
茗溪学園高校1年生の化学の特別授業の講師を務めた松永さんは「(熱した金属によって異なる色が出る)炎色反応は(中高生の)皆が知っているのに、なぜ炎色が出るかを説明できる人はいません。研究する人がいないからです。でも『なぜ』を知ることは科学への扉になる。花火でわかる化学の面白さを伝えたい」と語った。
同教材は、手持ち花火と分光シートがセットになっており、分光シートをスマートフォンのカメラに貼り付けて撮影することで、花火がどのような光を発しているかを分解して観察できる。つくばで生まれた優れた商品やサービスを市が認定する23年度のつくばクオリティ認定品にも選ばれている。教材は松永さんが社長を務める産総研発ベンチャー「グリーン・パイロラント」が開発、販売している。
茗溪学園高校で実施された1年生の化学の特別授業は、教室でなく、吹き抜けの1階ピロティで行われた。後半は芝生広場に移動してグループごとに実験し、分光シートを貼ったスマートフォンでさまざまな花火のスペクトルを観察した。実験終了後、松永さんに光の性質などについて質問する生徒たちもいた。
特別授業を受けた1年のキム・スジンさんは「教材が素晴らしく、楽しく体験することが出来た。自分の目で見る経験が出来てとても良かった。星が好きなので、星のスペクトルなども学んでいきたい」と感想を述べた。
松永さんは「生徒たちの反応も素晴らしく、興味をもってもらえてとても良かった」と述べた。(榎田智司)