つくば市議会つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会(塩田尚委員長)が26日開かれ、市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、つくばセンタービル内、内山博文社長)が2023年度決算(23年4月-24年3月)と24年度の見通しなどについて報告した。通常事業の収支である23年度の経常損益は約188万円(税引前)の赤字で、設立以後3年連続の赤字となった。内山社長は、貸しオフィスのテナントが退去し空き区画が発生したほか、「黒字化させることを目指したが(ロボット配送の)受託事業が1月で中止となった」ためだとしている。
24年度は、つくばセンタービル4階の吾妻交流センター跡地にオフィスを整備する改修工事などのため経常損益は2450万円の赤字を見込む。
一方、つくばセンタービル1階を貸しオフィスなどに改修する際に調達した社債約3億1600万円の元本返済が24年度から始まり、24年度は500万円、25年度は2000万円の返済が新たに求められる。
売り上げ1.7倍
23年度の売上高は前年度の1.7倍の約1億4900万円となり、売上高から売上原価や販売費及び一般管理費などの経費を差し引いた、本業で稼いだ営業利益は約600万円になった。一方、利息などの返済に約862万円かかり、約188万円の赤字となった。これにより23年度末の負債残高は約3億4600万円、純資産合計は約6650万円となった。
各事業の内訳は、貸しオフィスやコワーキングスペース(共同オフィス)、カフェなどつくばセンタービル1階のco-en(コーエン)事業は、売上が約4630万円、粗利益は約52万円になった。コワーキングスペースは月額会員が23年度末で56人、ビジター会員利用者は1375人と増えているのに対し、貸しオフィスは急きょ退去したテナントがあった。
地下駐車場は、新型コロナが5類に移行しイベントなどが多数開催されたことから、売上は月100万円を超え計約1360万円となり、粗利益は630万円となった。
つくばエキスポセンターのカフェは、夏休みなど学校の長期休暇期間を除いて週末のみの営業となっていることから、施設としての売上は約2100万円、同社の粗利益は約53万円となった。
23年4月からつくばセンター広場の指定管理者となり、つくばセンタービルのペデストリアンデッキなどを活用したにぎわいづくり事業として、市民がイベントを開催しやすくするためのアドバイスや物品の貸し出しなど29件を支援したほか、イベントが少なくなる夏季にウォータースライダーやプールなど子供が水遊びを楽しめる自主事業を開催し6日間で1454人が利用した。
コンサルタントなどの受託事業は前年度に引き続き、新規建設のマンションに隣接する吾妻1丁目のろくまる公園についてマンション開発事業者から公園リニューアル案の作成業務を受託したほか、スーパーから各家庭などに商品をロボットで配送するサービスの運営を受託した。ほかにつくば駅周辺で実施の実証実験のアドバイザー、県外のまちづくりに関するアドバイザーを受託し、計約6400万円の売り上げがあり、71%の4600万円の粗利益があった。
ほかに、中心市街地のイベント情報を発信するSNSのリニューアル、駅周辺マンションの入居を共同でPRする移住サイトの立ち上げ、県内の飲食店の加工食品を販売する冷凍自動販売機の運営、地域通貨の運営などに取り組んだとしている。
オフィス増設、こども実験教室やカルチャースクール
24年度については、co-enの2期工事に着工し、4階の吾妻交流センター跡地約550平方メートルに20~80平方メートル程度の貸しオフィス7区画などを整備する。ほかに1階を一部改修し、コワーキングスペースを拡張するほか、新たに研究者や企業と連携し子供たちに科学を体験してもらう「こども実験教室」や、ヨガ、親子イベント、スポーツ教室、アート体験などの「カルチャースクール」を開催する計画という。
2期工事の事業費は5000万円弱で、9月に着工、4階のオフィスは12月にオープンし、1階の科学教室などは来年4月から開講する予定だ。(鈴木宏子)