木曜日, 2月 19, 2026
ホームつくば議会から懸念相次ぐ 8月につくば市全域で実証実験 オンデマンド移動期日前投票

議会から懸念相次ぐ 8月につくば市全域で実証実験 オンデマンド移動期日前投票

最終判断は9月2日 市選管で

ワゴン車に投票箱を積んで自宅前まで出向くオンデマンド型移動期日前投票について、つくば市は10月の市長選・市議選での導入を目指し、8月に市全域で実証実験となる模擬投票を実施する方針を25日開かれた市議会総務文教委員会(木村修寿委員長)で明らかにした。オンデマンド移動期日前投票に対してはこれまで市選挙管理委員会が2度も「時期尚早」だとする見解を出している(5月30日付6月3日付)。25日の委員会では「(市は)どうやっても突き進むのか」など懸念の声が相次いだ。10月の選挙で実施するか否かの最終判断は、9月2日開催の市選挙管理委員会で出される。

五十嵐立青市長は2021年5月、内閣府の国家戦略特区ワーキンググループに「3年後(2024年)の市長、市議会議員選挙で、必ずネット投票を導入したい」とアピールし、市は22年4月、インターネット投票を看板事業に、国からスーパーシティ型国家戦略特区の認定を受けた(22年8月3日付)。一方、投票の秘密を守る環境の確保や、買収や強要の懸念などネット投票に対する課題が解決されず、今年10月の選挙では導入することができない。これに対し五十嵐市長は、ネット投票導入につながるステップだと位置づけ、オンデマンド移動期日前投票を10月の選挙で実施したい意向だ。今年1月には市北部の筑波と臼井地区で実証実験を実施した(1月26日付)。

7月1日から2000人超に案内を発送

市政策イノベーション部によると、8月の実証実験に向けて7月1日から、自力で歩くことが難しい市全域の要介護度3や4などの対象者2000人から2500人にダイレクトメールで、管理番号を記載した案内を送る。7月4日から18日に電話または市ホームページの電子申請により事前申請を受け付け、併せて市職員が申請者宅に行き、ワゴン車が自宅敷地内に入れるか、自宅からワゴン車までの介助の有無や動線、ニーズなどを確認する。

さらに7月22日~8月2日まで模擬投票の予約を受け付け、8月6~9日までの4日間、ワゴン車2台が北部と南部に分かれてそれぞれ申請者宅を巡回し模擬投票を実施する予定だ。ワゴン車はリフト付きで、申請者は車椅子のまま乗り込み、車内で投票する。

ワゴン車が自宅に駐車できない場合などは、近くの駐車スペースにワゴン車を駐車し、介護タクシーが自宅から送迎などする。申請者は100人程度を想定している。市全域での検証結果や対策を8月中にまとめ。市選管の判断を仰ぐ。

これに対し25日の委員会では委員から「選挙は、失敗は許されない。かなりタイトな日程で、9月2日の1回の選管で協議して判断できるか疑問というか大変」という意見や、「実証実験は周知期間がほとんど無いが、本番は全国に報道されると思うので申込者はもっと増えると思う。実証できても実装できるとは限らない。コストをどこまでかけるか考えた時、このやり方は無理がある。タクシー券を配るので、自力でタクシーに乗れない人は介護福祉タクシーに手伝ってもらって期日前投票所に行くのはどうか。通常の選挙でもミス無くやるのは難しいことは実証されている。選管本来の業務にほころびが出ないか」など、ほぼ全員の委員から懸念が出された。

1月の実証実験は9000万円

さらに実証実験の予算について、今年1月26日に市北部の筑波地区と臼井地区で実施されたオンデマンド型移動期日前投票の実証実験では、予約システムと運行ルートの最適化システムの構築や、影響評価などに計約9000万円の国の事業費をかけていたことが明らかとなった。

8月の実証実験の予算について市は、10月の選挙と一体のものとして、当初予算で計上されている市長選・市議選の予算の中で実施するとし、8月の実証実験に関する予算を別途計上し市議会に諮るべきだとする委員との間で議論になる場面もあった。8月の実証実験にいくらかかるかは委員会で明らかにされなかった。市は当初予算として市長・市議選オンデマンド型移動期日前投票事業に約1300万円を計上している。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

21 コメント

21 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最新記事

【ファクトチェック】外国人「優遇」制度とヨーロッパの治安めぐる発言は本当か 衆院選’26

2月8日投開票が行われた衆院選で、参政党から茨城6区に出馬した堀越麻紀氏は選挙戦最終日の7日、TXつくば駅前での街頭演説(8日付 全文掲載)で、外国人に関する制度や海外の治安について複数の発言をした。公的機関の資料と統計をもとに事実を確認した。 【検証1】外国人「優遇」制度めぐる発言は本当か 発言①「与党は、外国人を雇うと企業に最高72万円の助成金を渡している」➡誤り この発言は、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を指していると思われる。ただしこの制度は「外国人を雇ったこと」への報酬ではなく、就業規則の多言語化や相談体制の整備など、職場環境を整備した費用の一部を補助するものだ。支給上限も1事業主あたりの額であり、雇用した外国人1人あたりに支給されるものではない。 また制度はすでに2025年4月に改定済みで、街頭演説当時(2026年2月)、上限は80万円(1取り組み20万円、最大4取り組み)に変わっており、「72万円」という数字はすでに旧制度のものだった。 ▶ 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html) 発言②「外国人は5年払えば年金がほぼ全額戻る。帰国と再入国を繰り返して得をしている」発言②-1「5年払えば年金がほぼ全額戻る」➡不正確 外国人が10年未満で帰国する場合に利用できる「脱退一時金」という制度があるが、これは年金ではない。将来の年金受給権を放棄する代わりに、本人が払った保険料の一部を受け取る仕組みだ。 また、「ほぼ全額」は誤り。会社負担分(保険料の約半分)は戻らず、受取時には税金も差し引かれる。計算の上限も原則5年分(60カ月)だ。受け取ると年金加入記録が消え、老齢年金の受給資格(10年)からも遠ざかる。 発言②-2「帰国と再入国を繰り返して得をしている」➡一部事実・「得をする」は言い過ぎ 複数回受給が制度上可能だったことは事実。2025年に成立した年金制度改正法では、再入国許可を持って出国した外国人について、再入国許可の有効期間内は脱退一時金を受け取れないと定めた。また、支給額の計算に使う期間の上限をこれまでの5年から8年に延ばした。技能実習(3年)を終えて特定技能(5年)に移行し、計8年間日本で働く外国人が増えていることへの対応で、長期滞在者が将来きちんと老齢年金を受け取れるようにすることが目的とされている。 ただし「得をする」とは言い切れない。受け取るたびに加入期間がゼロに戻るため、長期的には老齢年金の受給資格を失うリスクを伴うからだ。発言は制度の一面を捉えてはいるが、「ほぼ全額」「得をする」という表現は誇張と言える。 ▶ 日本年金機構「脱退一時金について(FAQ)」 https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/index.html▶ 厚生労働省 第20回社会保障審議会年金部会 資料2(2024年11月15日) https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001332275.pdf▶ 年金制度改正法の概要(令和7年) https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf 【検証2】ヨーロッパの治安めぐる発言は本当か 発言③「移民が10%を超えたヨーロッパの国は明らかに治安が悪化している。先ほど池田議員がお伝えした通り、(スウェーデンでは)レイプの件数が恐ろしく多い」※堀越氏に先立ち演説に立った同党の水戸市議・池田悠紀氏による「スウェーデンは性犯罪件数が世界2位」という内容の発言を受けて発言③-1「移民が10%を超えたヨーロッパの国は治安が悪化している」➡誤り 移民比率と治安悪化の因果関係を示す根拠はない。EU統計局によると、2024年1月時点でEU全体の人口に占める外国出身者の割合は13.3%に達しており、加盟27カ国のうちルクセンブルクをはじめドイツ、フランス、スペイン、スウェーデン、オーストリアなど11カ国がすでに10%を超えている。「10%超」はEUでは珍しい状況ではない。 ドイツのifo経済研究所が2018年から23年の警察統計を分析した結果、「地域内の外国人比率の上昇と犯罪率との間に明確な相関関係は見られない」と結論づけている。EU全体の殺人による犠牲者数も2013年比で約15%減少しており、この間に外国出身者は約50%増加している。治安が長期的に悪化している傾向は確認されない。 ▶ NEWSつくば 2月3日付 【ファクトチェック】外国人労働者は日本人の雇用を奪っているのか 衆院選'26 https://newstsukuba.jp/59822/03/02/ 発言③-2「スウェーデンはレイプが恐ろしく多い」➡根拠不十分 統計上は高いが、発生率の高さとは言えない スウェーデンの人口あたりレイプ被害届件数は国際比較で高い数値を示している。しかしスウェーデン犯罪防止委員会(BRÅ)はこの統計について「各国の統計は単純比較できない」と指摘している。主な理由は3点ある。第一に、2018年の法改正で同意のない性行為を「犯罪」としたこと。第二に、同じ加害者による継続的な被害を1件とせず、行為ごとに起きた被害を1件と計上していること。第三に、被害を届け出やすい制度環境が整っており通報率が高いことだ。したがって、スウェーデンでレイプ被害届件数が多いことを持ってして「世界的に性犯罪が多い」と発生率の高さを断定することは、統計上、適切ではない。 ▶ BRÅ「Reported and cleared rapes in Europe」2020年  https://bra.se/download/18.45e4b8e192705389a364af/1729670248064/2020_13_Reported_and_cleared_rapes_in_Europe.pdf (柴田大輔)

つくば駅前の樓外樓学園本店《ご飯は世界を救う》71

【コラム・川浪せつ子】樓外樓(ろうがいろう)学園本店(つくば市吾妻)は、つくば駅前の商業施設「トナリエつくばスクエア」にある中華料理店です。かなり前、ここで開かれた立食パーティーに参加したことがありました。立体駐車場横にあり、ランチの看板が出ていますが、宴会中心のお店と思っていましたので、入ったことはありませんでした。 私、茨城県建築士会・女性部の新年会幹事になり、みなさんが集まれる場所を、昨年秋から探し回っていました。ところが、昨今の食料品の値上がりで、予定額に見合うようなお店がなかなか見つかりません。女性ばかりの会なので、「デザートとお茶、頼むよ!」との要望に応えてくれるお店を見つけるのは難しいのです。 いろいろなお店に電話して訪問。私たちの予算では無理だわ~と思っていたところ、たどり着いたのが樓外樓さんでした。12月初めに皆さんに連絡する必要があるので、下見をする時間もなく、とりあえず11月に日程を押えました。 それでも少し心配になって、ランチに行ってみました。そうしたら、お手ごろ価格! それに、上のイラストのようなバリエーションに富んだメニュー。私は「小龍包セット」を頼んだのですが、焼きそば、スープ、サラダ、コーヒーなどが、食べ・飲み放題。ほかに、ポット入りの温かいウーロン茶や杏仁豆腐まで。 餃子と小龍包、夫とシェアできず 皿数が多いと、食べる前に線でスケッチするのには、とても時間がかかるのです。スケッチブックに全部収まるかなぁ~。やっと、どうにか描けました。それに、描き終えてから気がついたのですが、こんなことに…。 餃子定食を頼んだ連れ合いと、私の小龍包と一個ずつシェアすることにしていたのに、餃子は1個も残っていません! 私が絵を描くのに時間がかかり過ぎ、つい食べてしまったようでした。あらら…。 肝心の新年会は、お部屋も取れて、皆さんに好評でした。予定人数が少し増えるとか、デザートの追加注文もあり、お店に何度も連絡することになりましたが、とても気持ちよく対応していただきました。食べられなかった餃子、またの機会に注文しようかなと思っています。(イラストレーター)

12本中半数に空洞 ソメイヨシノ6本を伐採 つくば 桜の名所 農林さくら通り

森林総合研究所第2樹木園 つくば市の桜の名所、同市観音台、農林さくら通りで16、17日の2日間、森林総合研究所第2樹木園の敷地内に植栽されているソメイヨシノ12本のうち6本の伐採作業が実施されている。12本の幹の内部などを調べたところ、空洞があり、倒伏の恐れがあることが分かったためだ。 伐採後は土壌改良し、早くて来春、八重咲きのサクラ「はるか」と野生種の新種「クマノザクラ」を植栽する予定だ。はるかは同研究所が開発し、俳優の綾瀬はるかさんが命名した。クマノザクラは同研究所などが紀伊半島で発見し2018年に命名された。 50年前に植栽 農林さくら通りは、農林関係の国立系研究機関が集積する約1.5キロの通り。通り沿いに約500本の桜が植栽され、各研究所が管理している。戦時中、谷田部海軍航空隊の飛行場跡だったところで、戦後、開拓地となり、その後、筑波研究学園都市の一角として農林研究団地が造成された。桜は約50年前の1975年ごろに植栽されたと見られている。同研究所第2樹木園は、筑波学園病院から常磐車道に架かる橋を渡ってすぐの、さくら通り入り口に位置する。 同研究所の佐藤保企画部長によると、さくら通り沿いの第2樹木園にはもともと13本のソメイヨシノが植えられていた。桜が散った後の昨年4月、そのうちの1本が2車線のうち片側1車線をふさぐように道路側に倒伏した。朝、出勤した職員が発見、倒伏した時刻は深夜か早朝だったとみられ、幸いけが人はなかった。 同研究所は、残りの12本に倒伏の恐れがないか調査。森林微生物が専門の研究者が目視と特別な機器で樹木の健全性を調査した結果、12本中6本に空洞があることが分かり伐採を決めた。近年、全国各地で落枝や倒木による人身事故が多発しているほか、ソメイヨシノは樹齢50年ほどを過ぎると枯れ枝が目立つようになるという。一方、昨年4月に倒伏した1本は、幹の空洞が原因ではなく根の一部が腐っていた。当日吹いた強風により根が地上部を支えられなくなったと考えられるという。 伐採する6本はいずれも幹の直径が70センチ程度、高さは10~12メートル程度で、歩道を覆うように桜の枝が伸び、桜の名所の一角を形成していた。 来春以降、植栽する桜は現在、同研究所の多摩森林科学園で育てられている。佐藤部長によると、花を咲かせるのは植栽してから3~4年後、桜並木を形成する大きさに成長するのは10~20年先になるという。(鈴木宏子)

思いやりのデザイン《デザインを考える》29

【コラム・三橋俊雄】昨年の春のことです。UR住宅で一人暮らしをされている97歳のMさんが、ビルの出入口前にある2段の階段でつまずき、仰向けに倒れて頭を少し打ってしまいました。ちょうど近くの遊び場にいた女の子たちがその様子に気づき、そのうちの1人がスマートフォンで救急車を呼んでくれたそうです。ところが、Mさんが「救急車を呼んじゃったの!」と言ったためか、その子は姿を消してしまったとのことでした。幸い、Mさんは病院で手当てを受け、その日のうちに無事に帰宅することができました。 翌日、この話をMさんから伺った私は、救急車を呼んでくれた子どもたちの気持ちがどうだったのか、心にひっかかりました。善意から行動してくれた子どもたちが、Mさんの一言によって「迷惑だったのかもしれない」と感じ取ってしまったのではないかと思うと、そのときの出来事が子どもたちの心に残ってしまいそうで気がかりだったのです。 そこで私はMさんと相談し、「救急車を呼んでくれてありがとう。私が階段で倒れていたところを、みなさんが心配して救急車を呼んでくれました。おかげさまで、病院で頭の傷の手当てを受け、その日のうちに退院できました。みなさんのおかげです。ありがとう! 97歳のおばあちゃんより」と書いた手紙を作り、遊び場にある滑り台の脇に貼りました。 次の朝に見に行くと、その手紙の下に「無事退院できてよかったです。お体に気をつけてください! by 中1の7人より」という小さな書き込みが添えられていました(上の写真)。それを目にしたとき、私は、子どもたちの善意とMさんの気持ちが、ようやくひとつにつながったように感じました。それは、小さな「思いやり」が確かに行き交った瞬間でした。 「お礼」でなく「手立て」 この出来事を振り返ると、親切心から行動した子どもたちでしたが、Mさんの一言によって、かえって不安を抱くことになったと感じたとき、私たちはどうしたらよいのか。ここでは、こどもたちが誰なのかも分からない状況のなかで、子どもたちとMさんの気持ちがもう一度寄り添えるようにと、手紙というかたちで「ありがとう」を伝えることにしたのです。 子どもたちへの手紙は単なる「お礼」ではなく、状況をより良い方向へ導くための小さな「手立て」だったと思います。途切れかけた人と人との関係を、もう一度そっとつなぎ合わせるための「きっかけ」でありました。 こうした行動こそ、小さな問題に気づき、状況を読み取り、より良い関係へとつなぎ直していく、そして素敵なコミュニティにしていくための「思いやりのデザイン」だったと感じています。(ソーシャルデザイナー)