月曜日, 3月 2, 2026
ホームつくば自分の性に向き合う 「ヴィーガン」で「クイア」の2人が贈るレシピ集(下)

自分の性に向き合う 「ヴィーガン」で「クイア」の2人が贈るレシピ集(下)

3月につくばで出版されたヴィーガン料理のレシピ集「韓国フェミめし:光州とヴィーガンを巡って」。作者のユミさんとヨニイさんは同書で、ヴィーガンのことだけでなく、性的マイノリティである自身がこれまでに感じた性自認についても触れている。2人は自身の性を、全ての性的マイノリティを広く包みこむ概念である「クィア」だと表現する。2人は周囲の無理解から悩みを感じてきたという。

「いつも自分のことを相手に隠したり、頑張って自分のことを説明したりしなければいけなかった。理解して欲しくてたくさんの感情とエネルギーを使ってきた。私はただここに存在していいはずなのに」とヨニイさんが思いを吐露する。ユミさんは「自分は間違っていないというのはわかっていた。でも生きづらさを感じてきた。隠さなければいけないという思いが少しずつ自分の心の中に積もっていくのを感じていた」と語る。

カミングアウト

ヨニイさんが初めて自身の性を周囲に伝えたのは中学時代、韓国でのことだった。「女子中学だったので、かっこいい先輩がいるとみんなが『きゃー』ってなるんですよ。それで自分も(女性に好意を持つことは)自然なことだと思っていた」。

自分の気持ちを隠さず伝えていたヨニイさんは、高校でも「隠さずカミングアウトをしていた」と話す。否定的な反応もあったけど、気にはしなかった。

「自分のセクシャリティを隠したまま人と出会っても、後から伝えて嫌がられると辛い。それなら最初から『私はこんな人です』と言った上で仲良くなる方が楽」。そう明るく話すヨニイさんだが、両親には最近まで伝えられなかった。

「両親に伝えたのは去年の春頃。すごく保守的な家なので、嘘をつき隠していた。でもそれが嫌で、隠すのをやめて全部話した。否定的なことも言われてその瞬間だけは辛かった。でも、両親も慣れてきた様子。結婚や子どもの話をされる度にプレッシャーを感じていたが、それがなくなりすごく楽になった」

近所の公園を散歩するヨニイさん(左)とユミさん

髪を切り、本当の自分に出会う

ユミさんは自分の性にどう向き合ってきたのか。家族と暮らしていた幼少期をこう振り返る。

「小さい頃から男の子と遊びたかった。でも、歳を重ねるごとに難しくなった。小学校に入って男の子と遊んでいると『お前、あいつの彼女なの?』とか、『なんでここに女がいるの?』と言われて、『ああ、私って女なんだな』って思うようになった。でも、女性的な振る舞いや遊びに馴染めなかった」

周囲に「女性」としての形を押し付けられたユミさんは、自分の性に違和感を感じ始めた。「私はボーイッシュな髪型にしたかった。でも実家のある郊外では、周りにそんな女性はいなかった。好きな髪型にしていいなんて思えずに大学生になった。ただ、ずっと実家に住んでいたので、私のことに家族もなんとなく気付いていた気がする。私は隠すつもりはなかったけど、わざわざ言うのも気まずい。それで結局、隠している状態になっていた。それがストレスだった」

大きな変化は大学生の時に訪れた。短髪にしたのだ。「思い切ってメンズカットにして『これが本当の自分だ!』って思えた。これで隠れずに生きられるって」

一歩を踏み出したきっかけは、あるテレビドラマだった。「アメリカのハイスクールドラマで、様々なマイノリティが出てくる。アジア系の人、車椅子の人、セクシャルマイノリティーの人。みんないきいきと自分を表現していた。『私もこうしていいんだ』って思えた。それで、似合わないかもしれないけど私も髪を切ってみようって思えた。それがきっかけになり、どんどん勇気を振り絞れるようになった」

短く整えられたユミさんのヘアースタイルに思いがこもる

自分の体を取り戻す

テレビドラマを通じてユミさんは、性的マイノリティとして生きる自分以外の人を知り、背中を押された。一方でヨニイさんは、今も複雑な自身の性について答えが出せずにいると話す。

「まだ悩んでいる。私は昔から女性に好意を持ってきたから、男性になった方がいいんじゃないかとずっと悩んでいた。でも、やっぱりそれは違う気がしていた。私は男になりたくないって思った。大学では周囲と英語でやりとりしているが、自分の代名詞が『He(彼)』なのか『She(彼女)』なのか考えると、『He』だと違和感があるけど、『She』なら大丈夫だと思える。『They(彼ら、性別を問わない)』でも違和感はない。でも正直なところ、私は自分をラベリングするのに疲れている。今は『クイア』という言葉が一番しっくりきている」と、今の気持ちを率直に語る。

自身の性に向き合うヨニイさん

ユミさんは、揺らぐ自身の性認識に向き合う中で、次第に「自分は何者なのか」という問いへの答えを見つけ始めている。

「私は自分が男になりたいわけではないけど、女性としての役割を担うのはキツかった。それじゃ男なのかなってめちゃくちゃ悩んでいた。そんな時にある本と出会い、男女どちらの性別でもない『ノンバイナリー』という存在を知って、自分は男でも女でもないんだって気がついた。すごくスッキリした。『これが私だ。こう名乗っていいんだ』って思えて自分に自信を持てるようになった」

もう一つ、大きなきっかけになった出来事として、大学を卒業し実家を離れて経験したあるエピソードがある。

「私、就職してからタトゥーを入れたんです。腕と手首に、五百円玉サイズの太陽と雲を。その時、本当にうれしかった。『私は自分の体のことを自分で決めたんだ。その権利を証明できたんだ!』って。『これが私の人生だ』って思えた」

ユミさんの手首には初めて入れた雲のタトゥーがある

そう話すとユミさんは、「性」に対する考えをこう言葉にした。

「性別は社会的なもの。本当はスペクトラム(連続した境界のない状態)なはず。私は周りに自分が何者なのかを決められてきた。でも、自分が男でも女でもない『ノンバイナリー』だと思えるようになって、性の呪縛から解放された気がした。心地よかった。『もう他人から女性と呼ばせない』という思いが湧いてきた」

「大丈夫」と伝えたい

ヴィーガンでクィアである2人にとって互いの出会いが持つ意味は大きかった。ヨニイさんがユミさんとの出会いを振り返りながら、こう呼び掛ける。

「私はユミと出会えたことでとても楽になった。クィアでヴィーガンの人には本当に出会えない。マイノリティーの中の、さらにマイノリティーなので。1人で暮らしていると『私だけがおかしいんじゃないか?』と思ってしまうこともあった。でも同じ価値観の人に出会えて『私はおかしくないんだ』と思えるようになった。もし今、悩みを抱えている人がいたら『大丈夫』と伝えたい。安心してほしい」

ユミさんは、今後についてこう話す。

「私はヴィーガンのハードルを下げたいと思っている。そして、クィアカップルがいることが自然になるように、私たちも自然に暮らし続けたい。私たちはこんな存在で、ただここに存在していい。そんな場所が増えるといいと思っている。そのために自分の経験が誰かの役に立てばいい」

「自然に暮らし続けたい」と話すユミさん

光州事件のパネル展開催

冊子で2人は、ヨニイさんの故郷である韓国・光州市の歴史にも触れている。光州では、韓国が軍事政権下にあった1980年5月18日、民主化を求める学生デモに対して政府が武力で応じ、以降10日間で多数の市民が犠牲になる「光州事件」が起きた。光州では今も、忘れてはいけない悲劇として日常的に語り継がれている。

今回、冊子の発行元である、つくば市天久保のブックカフェ「サッフォー」では、冊子発売を記念して「光州5.18民主化運動を記憶する」として関連書籍の特設コーナーを設けるとともに、4月27日から始まった光州事件を紹介するパネル展が開催中だ。

冊子の企画・編集を手がけたサッフォー店主の山田亜紀子さんによると「韓国フェミめし:光州とヴィーガンを巡って」は同店にとっては2冊目の出版企画となる。山田さんは今回の冊子制作について、「人権の向上を願っての企画。2人の想いは、日常をシェアすることで『私たちはナチュラルに生きている』と知ってほしいということ。地方で、楽しみながらヴィーガンをやっているクィアカップルがいるんだよと、多くの人に知ってもらいたい。色々な人に届くといい」と語った。(柴田大輔)

「本と喫茶サッフォー」の店主・山田さん(右)と、ハンガン・ビーガンの2人 =本と喫茶サッフォー

終わり

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