「要配慮者」の避難に課題
土浦駅西口前の県内最高層マンション、ソリッドタワーで13日、マンションの管理組合が主催して火災発生を想定した避難訓練が行われ、住民約60人が参加した。この日は初めての取り組みとして、県防災航空隊の防災ヘリコプターによる救助訓練のほか、土浦消防署による煙体験ハウスを使用した避難体験が実施され大規模な訓練となった。
同市大和町のソリッドタワーは土浦駅に直結する地上31階、高さ109メートルのマンションで、戸数180戸。マンションとしては県内で最も高層で、建築物としては県庁(水戸市笠原)に次ぐ2番目の高さになる。地下1階から地上6階は土浦市役所、県南生涯学習センターのほかスーパー・カスミなどの商業施設が入っている。
午前9時45分、22階の一室からの火災発生を想定し、初期消火の模擬実施とともにマンション内にサイレンが鳴り響く。「避難してください」という管理組合員の呼び掛けで避難が始まった。9階駐車場に避難者が集まり点呼をとると、間も無く防災ヘリコプターが飛来しマンション上空で静止、防災航空隊員がマンション屋上へとゆっくり降下し救助訓練を開始した。
参加した80代の男性は「これだけの規模のものは初めて。(煙が充満した)煙ハウスは先が全く見えず怖かった。東日本大震災ではガスが止まり風呂にも入れなくなった。改めて水や食料など備品を用意したい」と語った。模擬消火器による消火体験に参加した照屋秀明さん(6)は「(消火器体験は)2度目だけど、少し怖かった。ヘリコプターは迫力がありかっこよかった」とこの日の印象を話した。
この日の訓練に立ち会った土浦消防署副署長の飯田浩さんは「地震が起きた際には揺れが収まってから避難してほしい。火災発生時はまずブレーカーを落とすこと。東日本大震災では通電による火災が発生していた。避難の際には延焼を防ぐ意味でも(火元につながる)扉を閉めることが重要。近隣の年配の方に手を貸しながら、転ぶなど二次被害にも気をつけてほしい」と注意点を呼び掛けた。
普段から声掛け合えれば
この日の避難訓練を主催したウララ管理組合住宅部の北田弘巳部会長(67)は「毎年やってきた避難訓練だがこれほどの規模は初めて。より多くの人に関心を持って参加してもらいたいとの思いで実施した。能登や台湾での地震があり防災意識は高まっているが、どうすればいいかわからない人もいる」と言う。
また同マンションには、高齢や病気、障害があるなどして災害時に一人で避難することが難しく周囲の支援が必要になるとして、管理組合や市に届け出をしている「要配慮者」が18世帯ある。しかし、届け出がされておらず、プライバシー保護の観点などから把握できていない世帯はさらに多いと北田さんは話す。
「市の防災課や老人福祉課とやりとりをしているが、(要配慮者を把握するために)どうするのが正解なのか答えは出ていない。防災意識を高めることで、自分の身は自分で守るという『自助』の意識と共に、同じフロアの人同士で普段から声を掛け合うなど、災害時に助け合えるよう意識を持ってほしい」と今後の課題を語った。(柴田大輔)