火曜日, 7月 7, 2026
ホームコラムコロナ後 県南がまたベッドタウン化する? 《遊民通信》86

コロナ後 県南がまたベッドタウン化する? 《遊民通信》86

【コラム・田口哲郎】

前略

コロナ禍では国土開発について、首都一極集中からの脱却と地方再生が謳(うた)われました。テレワークの推進や移住の促進で首都圏から地方への人口移動がなされた感じがします。阿見町は人口が5万人を突破しましたね。

でも、コロナ禍が一応の収束をみて、改めて見るとどうでしょうか。テレワークもとりあえずなんとなく減っている感じで、出勤が増えているような気がします。3月のダイヤ改正で、常磐線の品川駅〜土浦駅間は、10両編成の列車から15両編成列車への輸送力増強がなされたそうです。東京に通う人が増えているということなのでしょう。

そうなると、また常磐線の取手駅から土浦駅あたりは東京中心のベッドタウン化してしまうのではないか…。そんな予感が頭をよぎります。

たしかに、コロナ禍という災禍によってテレワークという、ずいぶん前から実用可能だった技術によって、物理的な人間の移動が不要な画期的な便利さが世に知らしめられたのは大いに良いことです。東京の街を歩いていても、以前のような全体的で慢性的な混雑はなく、インバウンドの旅行客で観光スポットは混んではいるものの、日本人の数は減っているようにも見えます。

それでも、首都東京の特権的な地位というのが、またじわじわと復活しているのは確かだと思います。この流れは止められないものなのか、とモヤモヤしていたのですが、東京を中心とする地方と中央の間の移動はいまに始まったことではなく、江戸時代にもあったことを知り、そうか仕方ないか、と思いました。

人の移動は経済効果を生む

ご存知の通り、江戸時代には参勤交代があり、外様大名は1年おきに国元と江戸を行き来しました。今のように数時間で東京に着ける時代ではないので、大名行列は道中、いくつもの宿場町に泊まり、そこで多額のお金を落とす。宿場町がある藩はその恩恵にあずかることができます。

人間が移動することは経済を動かすという視点に今さらながら気づかされました。逆に人間が移動しないと、経済圏がブロック化して、金の回りが鈍くなるような気がします。

コロナ禍は新たな可能性を示す結果になりました。でもそれを追求するばかりでは良くない。古来の人間の移動が経済のためにも大切だ。そもそも人間は「動」物なのだから。そんな必要性がまたじわじわと再認識されて、アフター・コロナのテレワークの減少につながっているのかもしれません。

そう考えると、人間の移動も無駄ではないし、茨城県南の街がベッドタウンとしての本領を発揮するのも悪いことではないと思えてきます。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「つちまるを引き上げて」土浦駅前に第3弾のトリックアート

土浦駅西口前のうらら大屋根広場の床面に、同市のイメージキャラクター「つちまる」のトリックアートが出現した。地面に空いた穴に落ちそうな「つちまる」を描いた作品で、同市が2024年度から取り組む市役所本庁舎のシャッターや壁面を活用したトリックアートの第3弾になる。 作品の大きさは縦約2メートル、横約3メートル。トリックアートの制作で知られる栃木県那須町の企画制作会社エス・デーのアーティストが、6月22日から24日まで、3日間かけて制作した。制作費は55万円。 シャッターや壁面に描いた第1弾と第2弾の作品は見て楽しむことが中心だが、今回の床面のトリックアートは、作品の上に立ったり、ポーズをとりながら写真を撮ったりすることで「作品の世界に入り込んだような体験ができる」と市商工観光課はPRする。 安藤真理子市長は「土浦市、頑張ろうよ、という気持ちを込めた。高校生が写真を撮っている様子も見られ、壁面の作品より受けている感じがする。ぜひみんなに、つちまるを引き上げてほしい」と話している。 街中に彩りをつくろうと同市は2016年から、高校生が中心市街地の空き店舗のシャッターに絵を描くなどしてきた。24年からはトリックアート制作専門会社が市役所1階のシャッターに、つちまるがシャッターを持ち上げているようなトリックアートを描き、昨年は市役所1階の壁に、つちまるが壁を突き破って飛び出してくる作品を描いた(25年9月1日)。

常陽史料館「妖怪展」を訪ねて《ふるほんや見聞記》18

【コラム・岡田富朗】水戸市備前町にある常陽史料館は、1995(平成7)年に常陽銀行の創立60周年を記念して設立されました。郷土の歴史や芸術文化、金融経済に関する資料を収集・保存し、広く一般に公開しています。館内では8月29日まで「妖怪展」が開催されています。「百器夜行絵巻」や、「相馬の古内裏」(歌川国芳画)をはじめ、妖怪を描いた和書や絵巻、浮世絵、さらに妖怪をテーマにした現代の陶芸作品など、計44点が展示されています。 本展の担当学芸員である千葉隆司さんは「現在では妖怪はキャラクターとして親しまれることが多いですが、その成り立ちや伝承を調べていくと、その土地の歴史や人々の暮らし、信仰のあり方が見えてきます」と話してくださいました。今回の展示にあたっては、県内各地に伝わる昔話や民話を改めて読み返し、物語に登場する妖怪について調査を重ねたそうです。 古い文献に目を向けると、奈良時代の713(和銅6)年に編さんされた「常陸国風土記」には、蛇の体に角を持つ神・夜刀神(やとのかみ)や巨人の伝説が記されています。これらは現在では妖怪のような存在として語られることもありますが、当時は神として人々に認識されていました。千葉さんは「神様と妖怪は紙一重の存在です」と話します。 そして「どちらにも共通しているのは、目に見えない存在を信じる日本人の精神文化です。その背景には、自然界の森羅万象やあらゆる事象に神々が宿ると考える『八百万の神(やおよろずのかみ)』という信仰が根付いており、こうした価値観が妖怪文化の形成にも大きく影響しているのではないでしょうか」と語ってくださいました。 茨城県は、県内最高峰の八溝山でも標高約1000メートルと比較的低く、山や海、平野など変化に富んだ自然環境が広がっています。そのため、古くから人々は山や川、里山など自然と密接に関わりながら暮らしてきました。また霞ケ浦や利根川をはじめ、多くの河川や水辺があることも茨城県の特徴です。 千葉さんは、こうした豊かな自然環境が、県内各地に妖怪伝承が数多く残る背景の一つではないかと話します。例えば、水辺では子どもたちを水難事故から守るための戒めとして河童の伝説が語られ、山では遭難や危険への警鐘として天狗や鬼の伝承が生まれたとも考えられています。そのため、茨城県には河童や天狗、鬼をはじめ、地域ごとに特色あるさまざまな妖怪の話が今も語り継がれているそうです。(ブックセンター・キャンパス 店主) <千葉隆司さんのギャラリートーク>・日時:8月8日(土)午後1時半から約1時間・場所:芸文ギャラリー(水戸市三の丸、「妖怪展」の第2会場)、予約不要、無料

合同チーム同士が対戦、麻生・国際が勝利【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城県大会3日目の6日、ノーブルホームスタジアム水戸の第2試合は、麻生・国際(麻生・つくば国際)と茨城連合(茎崎・茨城東・結城一・総和工・笠間・わせがくPURE・岩瀬)という合同チーム同士の対戦となり、麻生・国際が6-3で勝利し2回戦へ駒を進めた。 6日第2試合、ノーブルホームスタジアム水戸茨城 連合 100000002 3麻生・国際 10004010X 6 麻生・国際が5回裏の大量点でペースを握った。茨城連合は最終回に追い上げたが届かなかった。「互いに我慢する展開で、点を取れなくてもあせらず、自分たちの野球ができるかが課題だった」と麻生・国際の岩知道裕生監督。 初回は互いに相手のミスを突き1点ずつを奪い合った。1回表の茨城連合は2番・梅山昊(茎崎)が中前打で出塁し、盗塁と内野ゴロで三塁へ進み、相手投手の暴投により先制のホームを踏んだ。1回裏の麻生・国際は2番・矢口大聖(つくば国際)が遊ゴロで出塁、3番・布施大翔(つくば国際)の内野安打で1死一・三塁とし、こちらも相手投手の暴投で矢口が生還した。 麻生・国際の先発投手、飯島壮次朗(麻生)は3・4回に5四死球と乱れ、4回途中から矢口に交替。「急に出番が来たが、スイッチを入れ直してしっかり投げられた。緩い変化球で相手の打ち損じを誘い、リズムに乗って流れをつくれた」と矢口の振り返り。捕手の布施大も「矢口の今日一番の球を見極め、それでカウントを取って相手を打ち取ることができた。特に変化球で空振りを取った後のまっすぐがいいコースに決まっていた」と評した。 そして5回裏、「大振りが目立っていたので、球を引き付けてコンパクトなスイングをしよう」との岩知道監督のアドバイスが麻生・国際に流れを呼んだ。7番・川口翔大(つくば国際)の中前打を皮切りに、9番・布施維士(つくば国際)のバントヒットなどで1死一・三塁とし、1番・羽生倭(麻生)の右前打で2点を追加。続く矢口の内野ゴロでチャンスを広げ、4番・菅沢蓮の左翼への二塁打でさらに2点を加えた。 麻生・国際は7回裏にも5番・飯島の中前打で1点を追加。茨城連合は9回表に4連打と犠飛で2点を返すもののそこで力尽きた。4打数3安打と善戦した梅山は「監督がたくさん指導してくれたのでその成果が出せたのは良かった。2年半努力してやって来たが、上には上がいて1つ勝てなかったのが悔しい」と残念がった。 麻生・国際はキャンパスが離れているので平日は合同練習ができないが、土日の練習試合やその後の特別練習などで連携を磨いてきた。「互いの個性が混じり合い、バランスの良いチームになった」と岩知道監督。次戦は12日、J:COMスタジアム土浦の第2試合で常総学院に挑む。(池田充雄)

土浦一、コールド勝ちで2回戦へ【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は3日目の6日、1回戦が行われた。ノーブルホームスタジアム水戸では土浦一が水戸三と対戦、土浦一は7回コールド13ー2で勝ち、2回戦進出を決めた。水戸三は創部3年目で初勝利を目指したが、かなわなかった。 6日第1試合 ノーブルホームスタジアム水戸土浦一 1102603   13水戸三 0001001 2 土浦一の荒木理行監督は「勝ち慣れてなく3日前の練習から緊張していたので、緊張をほぐすための声掛けを意識して『思い切り楽しんでやれ』と選手にアドバイスした」と話した。土浦一は投打で水戸三に圧勝した。 土浦一は初回2死2塁で岡田侑樹が、水戸三先発の永山遼から真ん中高めのストレートをとらえ、センター前にタイムリーを放ち先制する。岡田は「1打席目でヒットが出て安心した。投手を楽にすることが出来た」と振り返る。 2回には2死2塁で渡辺安道がレフト前にタイムリーを放ち、2点をリードした。4回にも2点を追加。5回には北原律の2点タイムリーなどで打者一巡し、大量6点を追加、試合を決めた。北原は「点差が開いていたが気を緩めることなく追加点が取れて良かった」と話した。 土浦一先発のエース白根大輝は5回を投げ、水戸三打線を3安打1失点に抑える好投を見せた。白根は「いつもの練習通りのような気持ちと、自分のピッチングをすることを意識してマウンドに上がった。ストレート、カットボールが調子よく決まった」と振り返り、その後は渡邉颯太、上崎大輝がランナーを出しながらも要所を締めた。 荒木監督は「先発の白根がしっかり落ち着いて投げられたので、打線も落ち着いて攻撃が出来た。水戸三先発の永山君が良い投球をしていたが、徐々に目が慣れて中盤で捕まえられたので楽に試合を進めることが出来た。次の境との対戦では、自分たちのベストを尽くしてしっかり勝ち切れるように頑張る」と意気込みを語った。 松橋隆太郎主将は「この日のためにチーム全体で調整、準備してきたことができて良かった。緊張感を持ちながら自分たちの力が発揮出来て良かった。次の境は格上なので厳しい試合になるけど、チャンスをものにして勝ちたい」と力を込めた。(高橋浩一)