第29回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス(1月15日、宇都宮ろまんちっく村で開催)で優勝した、つくば市ゆかりの選手3人が5日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。3人は勝利の喜びや来季の抱負などを語った。
3人のうち、男子エリートの部優勝の織田聖選手(25)と、女子エリートの部優勝の小林あか里選手(22)は、市と連携協定を締結している「弱虫ペダルサイクリングチーム」に所属。男子17歳未満の部で優勝した山田駿太郎選手(15)は市立谷田部東中学校の3年生だ。
織田選手は2016年に弱虫ペダルサイクリングチームに加入。同年からつくば市内にある同チームの寮で生活し、筑波山周辺を拠点に練習活動に励んできた。全日本シクロクロスではジュニアの部やU23の部でも優勝経験があり、エリートの部では昨季に続き2連覇を達成した。
ヨーロッパ遠征から帰国した直後で疲れが取れず、ストレスで睡眠の質が悪かった中で臨んだ大会だったが、2週目でトップに立つと、2位に1分40秒の大差を付けてゴール。「連覇できて正直ほっとした。取れてよかったという安心感のほうが強い」との感想。次の目標は全日本3連覇と、ロードレースでも日本タイトルを獲得すること。
小林選手は2022年にチーム加入。夏季は実家のある長野県安曇野市、冬季はつくば市を拠点に活動している。今季はシクロクロスとマウンテンバイクでトップカテゴリー優勝、ロードレースはU23の部で優勝し、3冠を達成した。
「シクロクロスでは今まで一度も勝ててなく、万年2位と呼ばれていた。ここまで来たら後はメンタルの問題、ここで勝つために練習してきたんだという思いで臨み、勝ててめちゃくちゃうれしかった。これからは追われる立場になるが、自信を持って一つ一つのレースを大切に走り、毎回トップで帰ってこられるようにしたい。ロードレースだけはU23のタイトルだったので、来季はトップカテゴリーで優勝し、五輪代表選手にも勝ちたい」
山田選手は4歳からシクロクロスを中心にレースを開始。小5から長野県富士見町を拠点とするマウンテンバイククラブチーム「TEAM GRM」に参加、夏は月1回のペースで長野に通い、地元では小貝川リバーサイドパーク(取手市)や筑波山周辺で練習に励んでいる。「つくば周辺は平地ばかりで登坂の練習ができないが、筑波山はパワー系を鍛えられる貴重な場所」という。
今回、全日本の大舞台で初めてのタイトル獲得には「信じられない気持ちが強かった。レース中に一度ミスして後退してしまったが、自分は粘りが強み。あきらめずに走り、最後にまくって勝つことができた」
今季についてはカテゴリーが一つ上がるので、我慢の1年になることを覚悟しているという。「しっかりと経験を積み、その先の世界を目指したい」
シクロクロスは激しい坂、林間、砂場など変化に富んだコースを走行する自転車競技。県内では土浦、取手、大洗などでレースが開催されている。
弱虫ペダルサイクリングチームは、自転車漫画「弱虫ペダル」のオフィシャルチームとして2014年にシクロクロスチームを発足。2016年からはロードレースを含む総合的なサイクリングチームとして活動する。本拠地つくば市。(池田充雄)