水曜日, 9月 3, 2025
ホームつくば高校生に通学支援など つくば市新年度予算案 過去最大を6年連続更新

高校生に通学支援など つくば市新年度予算案 過去最大を6年連続更新

つくば市の五十嵐立青市長は1日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3.0%増の1118億400万円、特別会計などを合わせた総額は同3.4%増の1763億8600万円で、いずれも6年連続で過去最大を更新した。主な新規事業として、人口増が続く同市に県立高校が少なく市外に通う生徒の通学費負担が大きいと指摘がある中、遠距離の高校に通う生徒に通学費の一部を支援する。

一般会計が3%(32億9400万円)増となり過去最大を更新した主な要因は、人事院勧告に伴って昨年12月議会で市職員らの給料や手当てなどを引き上げたことから人件費が同比7.7%(15億1900万円)増の212億円になったほか、民間保育園の増設や国の児童手当拡充により扶助費が8.1%(20億8200万円)増の278億6500万円となったことなどのため。

6000人に交付

主な事業の高校生の通学支援金は、公立、私立高を問わず、鉄道、バス、スクールバスなどで通学している高校生のうち、年間の定期代が計10万円以上の生徒に年3万円を交付し、6~10キロ以上離れた高校に自転車や原付バイクで通学する生徒に年1万円を交付する。新年度の予算額は約1億6100万円を計上し、約5000人に3万円、約1000人に1万円交付を想定している。つくば市在住の高校生は現在6000人程度で、市教育総務課によると平均通学距離は10キロほどという。県内では石岡、笠間、常陸太田市などが通学費補助を実施している。

児童生徒数の増加に伴う小中学校建設は、みどりの南小中学校が今年4月開校し学校建設のピークは超える。一方、24年度は新たに中根・金田台地区で小学校建設に着手する。建設費は24、25年度2カ年で計68億1600万円。みどりの駅北側の陣場地区などの人口増に対しては同地区3カ所目の学校の新設は実施せず、谷田部小学校に11教室などを増築するための設計費5200万円を計上する。増築校舎の完成は27年4月の予定。

不登校対策としては、小中学校の校内フリースクール設置校を現在の22校から全50校に増やし、3億500万円を計上して各校に専任職員と補助職員を配置などする。

スーパーシティの看板、ネット投票は実施せず

ほかに、スーパーシティの看板事業に掲げたインターネット投票は今年秋の市長選・市議選では実施せず、1300万円を計上して、投票箱を積んだワゴン車が障害者や高齢者の自宅前まで出向くオンデマンド型移動期日前投票を実施する。

昨年、環境省に選定された県内初の脱炭素先行地域づくり事業として、初年度となる24年に1億4000万円を計上し、大和ハウス工業が20街区プロジェクトに太陽光発電設備を設置するなど計5件の事業に着手する。

コミュニティバス「つくバス」は、運転手不足による2月からの減便に伴い、運行費などが23年度の3億7500万円から24年度は3億3500万円に約4000万円減額する。

旧上郷高校跡地に建設予定の陸上競技場は28年度下期完成を目指し、24年度に設計費5080万円を計上する。

中央図書館をリノベーション

中央図書館はリノベーション事業に着手、24年度は外壁改修工事費約610万円を計上し、中庭に面する外壁の改修と中庭の枯れたアカマツの伐採などをする。25年度は中庭に面するガラスを一部取り外して中庭への出入口を設け、中庭にウッドデッキを設けるなどする。

解体、撤去する計画だった茎崎老人福祉センターは、市民のたまり場・居場所づくりの一つとして、入浴施設を改修する。2026年度のリニューアルオープンを目指して、24年度は300万円で改修のための設計を実施する。

不交付団体に

一方、歳入は、自主財源の市税合計が1.7%増の526億6400万円となり、不交付団体となる見込み。市税の内訳は、人口増により個人市民税が3.2%増の208億4600万円、家屋の新築などにより固定資産税は1.8%増の231億2700万円を見込むのに対し、法人市民税は大口の立地企業による業績の下方修正があったなど23年度の実績を踏まえて、6.6%減の42億8300万円を見込む。

借金である24年度末の一般会計の市債残高は、前年度末より43億3200万円増え、721億7400万円になる見込み。水道事業など公営企業会計を加えた市債残高の合計は、同69億1900万円増え、1259億8700万円になる見込み。

新年度予算案は13日開会の市議会3月定例会に提案し審議される。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

7 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

7 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

紙を折って月に行こう《続・気軽にSOS》164

【コラム・浅井和幸】やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあるのに、ダラダラしてしまう。人生を変えるような大きなイベントがなぜ自分には起きないんだと思う。やる気を出すにはどうすればよいのか、自分のやる気スイッチの場所を知りたいと悩む人もいるでしょう。 そこまでやりたいことではないんでしょ?とか、やらなくていけないことをやらなくても支障がないんでしょ?という突っ込みは、今回は置いておきます。 今回は、素晴らしいこととか、大きなことを成すための動きはやる気が出てからという発想の、逆の方法を試してみてはいかがだろうかという提案です。その方法の一つは、やる気のあるなしではなく、それをやる構造を作る方法です(やらない構造を外す)。二つ目は、大きなまとまりではなく、小さく区切るという方法です。 やる気というのは、何か行動をしてからついてくるものです。大掃除をしようとしても、面倒だし時間もないし、体力も使うしと、行動しない理由が先に出て、掃除は後回しになってしまうものですが、机の上をちょっとだけ拭こうと動いたら、別の汚れも気になって広い範囲の掃除をしてしまうというようなことです。 これを一つ目で言うと、部屋のあちこちにごみ箱や掃除用具を置いておくことです。二つ目では、その掃除用具のある周りを少しだけきれいにするということです。 これだけで、普段見もしない奥の方に掃除用具を閉まっているよりも、ずっと掃除をする習慣がつきやすくなります。ギターの練習をしたい時は、いつも座っているところの脇にギターを置きすぐ触れるようにして、ちょっとだけでも触る構造をつくるというものです。 ダイエットのためにポテトチップを食べないという行動をするのであれば、食べないという行動がしやすいように目の前にポテトチップを置かないこと。手の届かない、取るのが少し面倒な棚の中にしまうだけでも、効果はあります。 ささいなことの積み重ねが大事 理論上、紙を42回折ると月に届くそうです。0.1ミリの厚さの紙を42回折ると、38万キロメートル(地球と月の間隔)を大きく超える暑さになる計算です。もちろん、そんな大きな紙もなければ、そんなにたくさん紙を折り返せないなど現実的には不可能なことらしいです。 今回伝えたいのは、ほんのささいなことの積み重ねが大きな変化になるということです。バットの素振りをする、絵を描く、小さな善行を行う、ささいな工夫をする、笑顔を向ける、知識を得る、筋トレをする、お金をためるなど、ほんのささいなことを続け積み上げることで、どれだけ大きな成果が得られるかは、はかり知れません。 宝くじに当たるなどの明確な大きな一回は感じやすいのですが、ささいなことの積み上げは感じ取りにくいので、ほとんどの人は行いません。ほとんどの人が行っていない、気づいていないからこそ、ささいな積み重ねを長年行うと大きな成果、特別な人というところに到達できる大きな要因になるのです。 不健康になる、不幸になる、嫌な人間になる、そんな積み重ねはしないようにしてくださいね。(精神保健福祉士)

下水道使用料引き上げなど提案 つくば市 水道料金に続き2年連続

9月議会が開会 つくば市議会9月定例会議が2日開会。五十嵐立青市長は、来年4月から下水道使用料を平均18.1%引き上げる条例改正案など議案32件、認定6件、報告12件の計50件を提案した。 下水道使用料の引き上げが議会で可決されれば、2006年8月以来、20年ぶりの引き上げになる。一方、同市では今年4月、水道料金が平均15%引き上げられたばかり(24年7月30日付、9月3日付、10月4日付)。市民は水道料金と下水道使用料を2カ月ごとに合算して支払っており、2年連続で上下水道料金が引き上げられることになる。 7月30日に市上下水道審議会(会長・白川直樹筑波大システム情報系准教授)から五十嵐市長に下水道使用料の引き上げを求める答申が出され、答申通りの額が議会に提案された。 引き上げ額は、利用者全世帯が一律で支払う「基本使用料」が現在の550円から3.4倍の1870円に引き上げられる。使用水量に応じて支払う「従量使用料」はこれまで三つの区分だったが、1人世帯など小口利用者の負担増を緩和するため10立方メートル以下の区分を新たに設けて区分を四つにし、1立方メートル当たりの従量使用料を10円ずつ(税抜き)引き上げる。 世帯別の引き上げ後の下水道使用料の目安は、1人世帯が2カ月分で現在の1980円から38.9%値上げとなる2750円、2人世帯が3410円から25.8%値上げの4290円、3~4人世帯が6270円から17.5%値上げの7370円になる見通しだ(いずれも消費税込み)。 同市では2024年10月に中長期の経営基本計画「市下水道事業経営戦略」を策定し、将来にわたり安定的に事業を継続していくため、26年度に平均20%、31年度に17%下水道使用料の引き上げを行うとしていた。 実際の引き上げ額の検討については25年1~7月に市上水道審議会を開催し、経営戦略の値上げ計画通り、来年4月からの値上げを答申した。ただし平均引き上げ額は経営戦略の20%から18.1%になるという。 市下水道総務課によると、2024年度の下水道事業の1年間の経営成績である収益的収入は105億1000万円、それに対し収益的支出は98億2000万円と6億9000万円の黒字だ。市によると黒字なのは、総務省が定める基準を超える6億9000万円を市独自に一般会計から繰り入れているためで、6億9000万円の基準外繰入金のうち5億円を削減したいとする。基準外繰入金の内訳は、汚水以外の雨水や地下水など不明水の処理費が4億4000万円、雨水施設の建設負担金等が2億5000万円。一方、下水道施設への投資である24年度の資本的収入は37億2000万円なのに対し、資本的支出は55億3000万円と、借金である企業債に頼っている状況があるという。 こうした状況から、市の下水道事業の課題として①経費の回収率が98.5%で、汚水処理費を下水道使用料でまかなえてない原価割れの状況がある②汚水処理は利用者の使用料でまかない、雨水処理は公費でまかなうという原則を超えて、汚水処理を一般会計からの繰入金に依存している➂施設への投資を企業債に依存しており、30年後には企業債残高が現在の350億円から2倍以上の766億円になるーなどの課題があり、今後さらに下水道未整備地区への敷設や、管路の老朽化対策などが求められることから、課題を解消するために引き上げが必要だなどとしている。 引き上げられれば、つくば市の下水道使用料は県内47団体(市町村ほか)のうち、10㎥の使用料は43番目だったのが28番目に高くなり、20㎥は9番目から4番目に高くなる。40㎥は21番目から6番目に高い使用料となる。(鈴木宏子)

ひろしまのピカ《くずかごの唄》151

【コラム・奥井登美子】私が宝物にしている絵本がある。丸木位里さんと丸木俊さんの、2人のサインの入った「ひろしまのピカ」だ。 「私には子供がいないから孫もいません。でも、これは、孫たちへの遺言なのです。描いたり、消したり、破ったり、ずいぶん長い間かかってしあげました。丸木俊」と、後書きにある。 丸木位里さんの故郷は広島市。広島に原子爆弾が落ちたという報道で、やっと手に入れた汽車の切符で、ふるさとについたとき、広島市は文字通り死の街となってしまっていた、という。 1945年8月6日。世界で初めての原爆は、想像を絶する放射性熱線と爆風によって、広島市民35万人のうち10万人以上の命を奪った。 一般の市民は、戦争中のあくどく強い報道規制で、写真機など、報道につながるものを持って行けなかった。カメラを持っていただけで、警察に連れていかれてしまう。 焼け焦げた残骸だらけの街。何もない中、放射線の熱線を浴び、心臓は細々と機能しているのに皮膚がベロベロに焼け、垂れ下がってしまっている人たち。顔の皮膚、手の皮膚、皮膚がたれ下がったまま、よたよたと歩いている人たち。 放射線を浴びた人間の究極の姿を、丸木位里・俊夫妻は、現実に、自分の目で見てしまったのだ。写真などない中、位里さんはやや抽象的な水墨画、俊さんはそれを油絵に描いた。 うちの2階で丸木位里・俊展 2人はその絵をぐるぐる巻きの巻紙にして、世界中を回って歩いた。土浦にも来てくださった。薬局2階の画廊で、「丸木位里・俊展」。お2人は我が家に泊まり、楽しい時を過ごすことができた。人間の究極の悲劇を見てしまった人の深い優しさは、格別の味がある。 私が霞ケ浦湖岸の葦(アシ)を刈り取って、その繊維で作った粗末な和紙をお見せしたら、俊さんが河童(カッパ)の絵を画いてくださった。私のコラムのイラストの元絵は、この河童たちなのである。(随筆家、薬剤師)

市役所の壁突き破り「つちまる」現る 土浦駅前

新たな撮影スポットに 土浦駅西口前の市役所1階の壁を突き破って1日、同市のイメージキャラクター「つちまる」が現れた。駅前の新たな撮影スポットにしてもらおうと描かれたトリックアートで、高さ3.2メートル、幅3.5メートルのつちまるが、壁を突き破って出てきたかのように描かれている。 トリックアートの制作で知られる企画制作会社エス・デー(栃木県那須町)のアートディレクター、赤塚博文さんが描き、1日お披露目された。赤塚さんは昨年、市役所1階のシャッターに、つちまるがシャッターを持ち上げているようなトリックアートを描いた。今回は2作品目で、つちまるは昨年の2倍の大きさ。駅前のバスターミナルや駅と市役所を結ぶペデストリアンデッキからも見ることができる。事業費は55万円。 中心市街地の活性化に取り組んでいる同市は2016年から、高校生らが空き店舗のシャッターに絵を描く取り組みを実施し、これまで5作品が描かれた。今年1月にはTBSテレビ「プレバト!!」の番組企画で、同市川口のショッピングモール「モール505」の空き店舗のシャッターに芸能人らが絵を描き、テレビ放送され「相当な人が見に訪れた」(市商工観光課)。 安藤真理子市長は「プレバトで芸能人の皆さんがモール505に描いたスプレーアートや、土浦駅前通りに高校生が描いたシャッターアートと併せて、駅前のつちまるのトリックアートを楽しんでほしい」と話す。 列車に乗るため駅に着き、完成したつちまるのトリックアートを見た市内に住む女子大学生は「つちまるがちゃんと飛び出しているように見える。かわいい」と話していた。