土曜日, 9月 6, 2025
ホームつくばつくば、土浦で成人式 マスク無し、笑顔で再会

つくば、土浦で成人式 マスク無し、笑顔で再会

つくば、土浦市で7日、20歳の門出を祝う「二十歳のつどい」が開かれた。コロナが5類になって初の成人式に、参加する多くの若者がマスク無しの笑顔で再会を喜び合っていた。つくば市では、式典を出身中学ごとに分け、昨年に引き続き午前、午後の2部制で開催された。今年度に20歳を迎えた同市の参加対象者は2792人だった。土浦市では1355人が20歳を迎え、式典では、コロナ禍で行われてこなかったアトラクションなどが再開され、市内のダンススクールの生徒によるジャズダンスが披露された。

困難な状況にある人に心を向けて

快晴となったこの日、式典会場となったつくばカピオ(つくば市竹園)前には開場の1時間以上前から晴れ着やスーツに身を包んだ参加者たちが集まった。

一緒に会場に来た大﨑ゆなさん(20)さんと間宮楓さん(20)さんは中学の同級生で、この日は美容室を営む大崎さんの祖母に、朝4時から着物を着付けてもらった。現在、美容学校に通う大崎さんは「将来は美容師として、おばあちゃんの後を継げるよう頑張りたい」と明るく話し、大学で文学を学んでいるという間宮さんは「いい旦那さんと出会いたい」と笑顔を浮かべた。

会場に入っていく晴れ着の女性に視線を送っていたのは、娘を送り届けにきたと話すブラジル出身の野口ヘルベルトさんと、妻でフィリピン出身の野口サリースアレスさんだ。2005年に来日したというサリースアレスさんは「娘は保育士になるとがんばっている。大変なこともあったけど、立派に成長してくれて本当にハッピーです」と言い、日本在住25年のヘルベルトさんは「誰にも優しくできる先生になってほしい」と娘に温かい言葉を贈った。

会場では、思い出の映像が流された=つくばカピオ

式典では20歳を迎えた参加者を代表して中島碧音さんが、コロナ禍での過去を念頭に「今までのスタンダードがそうでなくなる瞬間に何度も立ち合ってきた」としながら「しかし、その軌跡も貴重な経験」と力を込めると、「当たり前が当たり前でないことを意識し、今の自分があることに感謝しながら、これまでの経験を活かし、しっかり芯を持ちながら柔軟な人間になる」と誓いを述べた。

あいさつに立ったつくば市の五十嵐立青市長は、今が「当たり前が当たり前じゃなくなっている時代」であると中島さんの言葉を引きながら、元日に起きた能登半島での地震、ウクライナやパレスチナで続く紛争の中で、「20歳を迎えることができずに命を落とす人たちがいる」とし、「困難な状況にある人に心を向けて、皆さんが、その尊い命をそんな人のために使っていただけたらそれ以上のことはありません。一生懸命これから先も、皆さんの命を燃やして生きていってほしい」と思いを語った。

困難を乗り越える力を

土浦では午後1時30分からクラフトシビックホール土浦(同市東真鍋)で「二十歳のつどい」が開催された。

市内在住で現在、半導体の関連企業に勤務する小林大樹さん(20)は「今の仕事に就いて間もなく1年がたつ。これから、より高い技術を身につけて、長く働いていきたい」と目標を語った。小林さんの同級生で、久しぶりの再会を喜んだ川村公優さん(20)は現在、看護学校に通っているとし「卒業後は大学に入り直し、人を育てる仕事をしていきたい」と思いを語った。

クラフトシビックホール土浦に集まる参加者たち

式典に先立ち、土浦と石岡が拠点のダンススクール「マリ・ジャズダンス・カンパニー(Mari Jazzdance Company)」の生徒らによる躍動感あふれるダンスが披露された。同スクールのメンバーで今年20歳を迎えた中村咲也香さんは、レッスンを通じて「とにかく笑顔でいる」「気持ち次第で自分の見る世界は変わる」「どんなに辛くても楽しんだもの勝ち」だと学び、それを心の支えに自立した社会に貢献できる大人に成長したいと語った。

式典では参加者を代表して、運営委員長の梶山優月さんが謝辞を述べた。中学、高校と陸上に打ち込んできたという梶山さんは、当時、部活で感じた達成感や喜びを振り返りながら、「新たなことに挑戦することや継続して努力をすることに楽しさを覚え、主体性や忍耐力が高まり、自分に自信が持てるようになった」とし、自身を支えてくれた周囲への感謝を述べると、現在通う大学でも「今しかできないたくさんの経験を積み、社会に貢献できる人になるために残りの学生生活を有意義なものにしたい」と力を込め、「大人としての自覚と責任を持ち、一歩一歩、歩んでいく」と誓いを述べた。

土浦市の安藤真理子市長は、前年に新型コロナウィルスが5類になったことに触れ、「皆さんが高校生のとき、外に出るな、学校に来るな、人と会うなと制限され、本当に大変だったと思います。だからこそ、今日、この様に、皆さんが一堂に会することができ、本当にうれしく思います。みなさん、本当に良かったですね」と参加者たちをねぎらい、「皆さんは困難を乗り越える力を、ピンチをチャンスに変える力をどの世代よりも持っている。自分を信じて未来を築き上げていってください」と、参加者に言葉を贈った。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

13 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

13 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

あす投開票 県議補選つくば市区

知事選と同日で行われる県議補選つくば市区(欠員1)は7日投開票される。立候補しているのは、いずれも元職で県議4期を務めた党県常任委員の山中たい子氏(74)=共産=と、県議一期を務めたタクシー会社社長の塚本一也氏(60)=自民=。元職同士の一騎打ちになっている。投票は同日午前7時から午後7時まで市内76カ所で投票が行われ、同夜午後8時20分から同市流星台の市桜総合体育館で即日開票される。有権者数は20万17000人(8月28日時点)、5日までの期日前投票の投票率は8.84%だった。 上ノ室で最後の訴え 山中氏 山中氏は「自民党政治を変えて願いかなういばらきに」をスローガンに、県立高校新設・クラス増、東海第2原発廃炉などを訴えてきた。塩川鉄也衆院議員、岩渕友参院議員、水戸市区の江尻加那県議、運輸大臣を歴任した二見伸明元衆院議員らが応援に駆け付けた。市内をくまなく回り、連日15~16カ所で街頭演説を重ねた。6日は北条郵便局を出発し、大穂、吾妻、竹園、並木、手代木の各所で街頭演説、同市上ノ室の選挙事務所前で最後の訴えをする。 山中たい子 74 政党役員 共産 元④【公約】①国保税、介護保険料、後期高齢者医療保険料の引き下げ②児童生徒数増に見合う県立高校新設とクラス増設を進める③危険な東海第2原発の再稼働をストップし廃炉に【略歴】福島県小野町出身、日本大学Ⅱ部法学部新聞学科卒。千葉県商工団体連絡会に勤務。つくば市に転居後、1984年から旧桜村議・つくば市議を4期を務め、2003年から県議を4期。前回2022年12月の県議選は次点。現在、共産党県常任委員など歴任 大曽根で最後の訴え 塚本氏 塚本氏は「つくば市を力強くけん引する県政を」をスローガンに掲げる。茨城県歯科医師連盟、つくば市農協、茨城県建築士会筑波支部などの推薦、大井川和彦知事、常井洋治氏、飯塚明夫氏ら自民党県議、国光文乃氏衆議院議員、加藤明良参議院議員らの応援を得て、連日、市内各所で街頭演説とあいさつを重ねてきた。6日は午後6時から、同市大曽根のガゾリンスタンド・エネオス大穂サービスステーション堀井商店で最後の訴えをする。 塚本一也 60 タクシー会社社長 自民 元①【公約】①国や県との連携を重視する中でつくばの成長産業の育成②TX沿線No.1の教育環境の実現③高齢者、障がい者、育児家庭が暮らしやすい社会の構築など【略歴】つくば市出身。県立土浦一高、東北大学工学部建築学科を卒業後、筑波大学大学院環境科学研究科修了。1991年にJR東日本に入社し、2006年に大曽根タクシー社長に就任。18年から県議一期を務めた。現在は同社社長のほか、茨城県ハイヤー・タクシー協会会長などを務める。 (柴田大輔、鈴木宏子)

筑波大ラグビー部、一誠商事とスポンサー契約 公式戦で広告解禁

筑波大学ラグビー部が、県南を中心に不動産業を展開する一誠商事(五十嵐徹社長、本社つくば市竹園)とスポンサー契約を締結した。今季から公式戦の試合用ジャージ胸部に同社ロゴが掲出される。5日、一誠商事本社で開かれた記者会見で発表した。今年から、大学ラグビーの公式戦で企業の広告を掲出することが解禁された。 会見には筑波大学ラグビー部から古川拓生部長、嶋﨑達也監督、高橋佑太朗主将と、一誠商事から五十嵐社長が出席。席上で高橋主将は「一誠商事さんには以前からサポートいただいていたが、今回ユニフォームスポンサーになっていただき、試合の場で共に戦えることに部員一同心強く感じている。このサポートに対し自分たちができるのは結果で示すことだけ。素晴らしいラグビーを展開し、勝利という形で恩返ししたい」と感謝の念を語った。 五十嵐社長は「今季から大学ラグビー界でも広告が解禁されたことで、学生の段階からしっかりと資金を集め、企業の力も活用して強化を進め、日本のラグビー全体がさらにレベルアップしていくためのスタートが切れたのではないか。筑波大がさらに発展していく一助となればうれしい」と応じた。 長年つくばを拠点に営業している同社では、サッカーやバスケットボールなど学生スポーツの支援も長年続け、ラグビー部に対しては2019年から練習着などを提供してきた。その関係で毎年、シーズン開始前と終了後には学生たちから活動報告を受けるが、そこで大きな変化も感じているという。 「学生の皆さんが自分たちでスポンサーを集め始めてまだ数年だが、競技面だけでなく地域貢献でもしっかりしたプレゼン資料を作り、一生懸命お願いしてくるようになった。学生なのにここまで作り込んでいるのはすごいな、社会に出た時にさぞかし良い経験になるだろうなという感動を覚えながらお会いしている」と五十嵐社長は目を輝かす。 ラグビー部の広告付きユニフォームは今季公式戦からお目見えする。関東大学対抗戦Aグループに所属する筑波大は、初戦を9月14日、水戸市小吹町のケーズデンキスタジアム水戸で迎える。相手は強豪の明治大学だ。 「明大とは夏にも対戦しているが、セットプレーで勢いに乗るところがあり、今度もプレッシャーが強い試合になると思う。チャンスがあれば一瞬でトライを決めてくるので、しっかりと80分間全員が集中することが大事。自分たちの課題として詰めの甘さがあり、点差が開いて少し気を緩めてしまい逆転を許す場面があった。1点を争う試合になると思うので、全員がしっかり集中し、全力でやり切ることを目標として初戦に臨みたい」と高橋主将は意気込む。 最終目標は大学日本一を決める全国大学選手権。来年1月2日に東京・国立競技場で開催される準決勝まで勝ち進めば、NHK地上波で試合が全国放送される。(池田充雄)

祭囃子と縁日と、それからラムネ《ことばのおはなし》85

【コラム・山口絹記】つくばに住むようになってから、新型コロナによる中止期間を除いて、なんだかんだと毎年つくばの夏祭りには足を運んでいる。目的はつくば駅周辺で行われるパレードとねぶた、というよりも縁日の方である。今年はこどもたちを連れて2日連続での参加だ。 私が育った東京の下町では、縁日は夏以外にも定期的に行われている、日常の延長にあるものだった。たまたま出かけた日に縁日がやっていれば、友人とたこ焼きを買って半分ずつ食べたりするのだが、いつ縁日がやっているか、ということは意識したことがなかった。 しかし、つくばではおそらく(私が知らないだけかもしれないが)縁日は夏にしかやっていない。東京に住んでいた頃はありがたみなど感じていなかったのに、いざ日常から消えてしまうと恋しくなるもので、この10年くらいは日程を調べて縁日に通っているというわけだ。 毎年の特別なイベントに こどもたちのラムネの瓶をあけて手渡す。喉を鳴らして飲むこどもたちにつられて、自分も一口飲んでみる。最近のラムネ瓶はプラスチック製なので、なんとなく風情に欠けるような気もするが、猛暑の中で祭囃子(ばやし)を聞きながら飲むラムネはいつの時代でも格別においしい。 つくばに来た当初は妻と2人で気ままに歩いた縁日も、気が付けば上の娘を肩車して行くようになった。小さかった娘はもう手をつながずに人ごみを歩けるようになり、今は目を離すとどこかへ行ってしまう下の息子の腕をつかんでいなくてはならない。そのうち、こどもたちもそれぞれの友達と祭りに行くようになると思うと、いつの間にか日常の延長だった縁日が、毎年の特別なイベントに思えてくるのだから不思議なものだ。 何かを見つけて人ごみに消えていく息子を追いかけながら、そんなことを考える。(言語研究者)

「神経多様性」を妄想する《看取り医者は見た!》44

【コラム・平野国美】非常事態で輝いた自閉症スペクトラムの図書館員の話(前回コラム)から、私の妄想は膨らむのです。人類がまだ獲物を追いかけ、新天地を求めて移動していた時代。その集団の先頭を歩いたのは、神経多動性(ニューロダイバーシティ)という特性を持つ人々だったのかもしれません。彼らの飽くなき探究心と衝動性は、集団を未開の地へと導く力となりました。しかし、その旅もいつか終わりを迎えます。 肥沃な土地に恵まれ、食料を安定して得られるようになったとき、人類は定住という新しいフェーズへと突入したのです。そして、この定住化という歴史的な大転換を支えたのが、「自閉症スペクトラム(ASD)」の特性を持つ人々だったのではないでしょうか。 定住生活の象徴ともいえるのが稲作です。稲作は、広大な土地を移動し続ける狩猟採集とは全く異なる、精密な「システム」でした。いつ種をまくか? 水を引くタイミングは? 収穫の時期は? すべては綿密な計画と繰り返されるルーティンワークによって成り立っています。 ここで、ASDの特性である「ルーティンへの強いこだわり」「シングルフォーカス(一点集中)」という才能が、驚くべき力を発揮したはずです。多動性を持つ人々が絶えず新しい刺激を求める一方で、ASDの特性を持つ人々は定まった手順を厳密に守ることで心の安定を保ちます。稲作という変化の少ない重要な作業を安定して続ける上で、彼らの「変わらないこと」へのこだわりは、集団全体の基盤を築く上で不可欠な要素だったのです。 稲作に生きた「守り人」の才能 稲作は、単に作業を繰り返すだけでは達成できません。その年の気候や土壌の状態、稲の成長具合といった、目に見えない無数の情報を読み解き、次の年に生かす必要があります。ASDの特性を持つ人々の中には、人間関係の複雑な「空気」を読むのは苦手でも、特定の分野で驚異的な観察力を発揮する人が多くいます。稲の葉のわずかな色の変化、土の湿り気、病害虫の兆候…。 彼らは、そうした非言語的な情報を誰よりも正確に把握し、集団に伝える「知恵袋」であり、「データベース」だったのではないでしょうか。彼らの緻密な観察力と、それを体系的に記憶する能力がなければ、稲作という文化は次世代へと受け継がれなかったかもしれません。 彼らは、稲作というシステムを維持し、集団の知恵を次世代へと伝える「守り人」だったのです。集団の中に「神経多様性」を持つことによって、我々はここまで生き抜いてきたのです。つまり、社会や組織が生き抜くためには、この多様性を持つことが必要不可欠だったと思われるのです。(訪問診療医師)