筑波大学(つくば市天王台)で27日、科学に興味を持つ38人の小中学生を対象に「冬のサイエンスキャンプ」が開催された。今年8月の夏のサイエンスキャンプに続き2度目となる。今回は、同大教員らによる気象学と化学の授業が催され、受講生は実験を通して科学を身近に体感しながら理解を深めた。
サイエンスキャンプは、未来の理系人材を育成するためのプログラム「つくばSKIP(スキップ)アカデミー」の一環として、同大社会連携課SKIP(スキップ)事務局が中心となり開催された。同大を含め全国の約20機関で同様のプログラムが開催されており、理科離れを引き止める狙いがある。
同アカデミーは2017年から始まり、今年で7年目。コロナ禍を乗り越え、昨年度から対面での実施が再開された。今年6月の筆記試験を経て、小学5、6年生と中学生の男女40人が受講生として選抜され、理科が好きな生徒や、将来科学技術の分野で活躍したい生徒などが集まった。半数以上が県内から参加し、県外の関東圏からの参加者も目立った。
受講生は9カ月の間、社会問題と関連した科学に関する幅広い分野を学習する。これまで、同大構内の生態系調査、プログラミング、化石発掘実習、画像制作などを体験し、今年9月の「個人研究発表会」では、受講生各自が興味を持った内容をもとにテーマを設定し、研究成果を発表した。
27日の気象学の授業では、日下博幸同大教授による講義と実験が行われた。受講生は、スーパーコンピューターの計算により、日々の気象予測がなされることを学習し、同大計算科学研究センターに設置されているスーパーコンピューター「シグナス」を見学したほか、水と入浴剤、スマートフォンのライトを使い、夕陽のメカニズムを研究する実験や、真空容器に入ったマシュマロが空気圧により膨らむ様子を実験した。
屋外では、受講生は同大院生らと協力し、風速計を使って風の大きさを数値化し、サーモグラフィーカメラで光と陰、アスファルトと芝生というように条件によって変化する温度分布を観察した。また風の流れに乗って風船が動く様子を望遠鏡で観察し、風の向きや風速など目には見えない大気の様子を観察した。
神奈川県から参加した中学2年の女子生徒は、日下教授によるマシュマロと気圧の実験について「空気圧によって、マシュマロが膨らむ様子が面白かった」と話した。東京から参加した小学5年の男子児童は、夕陽のメカニズムを研究する実験が成功した様子を振り返り「夕陽をきれいに再現できたのがよかった」とし、将来については「科学が好きなので参加した。学びの中で興味を持った海洋生物学者を目指したい」と話した。
プログラムは修了式が行われる3月まで実施される。(上田侑子)