34億円超の補修・更新費認めないまま
つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)について、市によるインターネットでの市民アンケート調査が10日から、紙でのアンケートが15日から始まった。設問は11問あり、10番目に無償譲渡の是非について尋ねているが、賛否の数の多寡に主眼を置かないとし、広くさまざまな角度から意見をもらって、無償譲渡を受けた後に市が設置する予定の協議会での協議の参考にするとしている。回答期限はいずれも今月30日。
アンケートは、公園の利用頻度や主な利用目的、筑波研究学園都市建設当時の公園緑地計画の基本方針の是非、洞峰公園に求めるものや将来について理由と共に尋ねている。ほかに維持管理費の削減策として利用料金の値上げの是非などについても尋ねている。氏名、住所は記入が必要。
アンケートの質問項目は2日開かれた市議会全員協議会で示され、議員から「新都市の公園緑地計画の基本方針(設問6)について尋ねているが、(新都市が)洞峰公園の基本方針か何かが分からない」「アンケートに答えるにあたって市民が費用負担について参照できるようにした方がよい」などの指摘があった。市は全協で、アンケートに分かりにくい点があることを認める一方、市ホームページにこれまでの資料を掲載するので、Q&A(「洞峰公園の無償譲渡に関してよくいただくご質問について」)などを確認してから、回答してほしいとしている。市公園・施設課によると設問にある「新都市の公園緑地計画の基本方針」は「つくばの自然誌-Ⅱ洞峰公園」(STEP発行)の中に記述がある二次資料から引用したもので、新都市は洞峰公園ではなく筑波研究学園都市を指す。
一方、洞峰公園内の体育館、新都市記念館など4施設だけで来年度以降、34億円以上の補修・更新費がかかると県が試算していた問題については、市は市ホームページのQ&Aで「施設修繕費の年額としては3500万円程度を想定」しているとの主張を続けている。
年3500万円という市の想定額に対してはNEWSつくばが、市は、県の2016年の健全度調査資料をもとに、県が計算した補修費だけを抜き取って算定し、施設の更新費を計算に加えておらず問題だと指摘している(9月23日付)。県は、9月25日に開かれた県議会調査特別委員会で、長寿命化対策を実施した場合、2016年度の健全度調査で4施設だけでなく公園全体で40億円ほどかかると算定していたと答弁している(9月25日付)。市議の要望で開かれた11月2日の市議会全員協議会では、市議らが、自ら調査した県の証拠資料を議会に開示し、市に対し、きちんと算定して市民に示すよう求めている(11月2日付)。全協では他の市議からも「いくらかかるか分からないまま(市民は)アンケートに答えるのか」などの疑問が出ていた。(鈴木宏子)
◆洞峰公園の市民アンケートに関する市ホームページはこちら。アンケートはこちら。市によるQ&Aはこちら。紙によるアンケートは、市内の各公園管理事務所と各交流センターでアンケート用紙を配布し、同所に回収箱を設置する。