つくば市出身で2024年パリ五輪での活躍が期待されるスケートボード選手、草木ひなのさん(15、市立大穂中3年)が16日、五十嵐立青つくば市長を表敬訪問した。草木さんは今年9月のアジア大会(中国・杭州)で金メダル、10月の世界選手権(イタリア・ローマ)で銀メダルを獲得したばかり。会見にも2つのメダルを携え、五十嵐市長がその重さに驚くという一場面もあった。
アジア大会と世界選手権の報告として「杭州では2本目で優勝が決まったが、最後の3本目もフルメイク(ノーミス)で終わろうと、出したい技を決めまくった。ローマではやりたい技を考えすぎて、技を落としたりしてしまった。全部を見越した滑りができるようにしたい」と話した。
草木さんの専門はパーク種目。コンクリート製のくぼ地のような複雑な形状のコースを走りながらさまざまな技を繰り出し、その難易度や完成度などを競う。草木さんがいま決め技にしているのが、バックサイド540(ファイブフォーティー)という、ジャンプして空中で1回転半する大技だ。杭州でもローマでもこの技で得点を大きく積み上げた。
8歳のときお母さんに連れられてコースデビュー。9歳からはつくば市大舟戸のアクシススケートボードパークに通って技を磨いてきた。「負けん気が強く、はつらつしており、世代を問わずコミュニケーションがとれ、みんなを巻き込んでスケートするオープンな性格」と、同パークの宮崎将幸店長の評。
大人顔負けの滑走スピードから「鬼姫」の異名を持ち、ジャンプの高さにも自信がある。一方、けがが多いことが悩みで「1回1回集中し、けがを少なくしてうまくなっていければ」とも話す。
母のゆりさん(47)は「親としては、スポンサーとして支えてくれる企業への責任感なども教えたいが、プレッシャーになるので言わないようにしている。本人がやりたいことを楽しくやっているのが一番」との考えだ。
世界選手権の結果を受けて、現在のランキングは世界2位。パリ五輪のスケートボード各種目の出場枠は22人(1カ国最大3人)なので、出場の見込みは大きいが、まだ確定ではない。来年6月まで続く予選シリーズの中で、ポイントを積み上げていく必要がある。「ライバルは自分自身。来年3月からのシーズンも勝ち進んで、優勝してパリにつなげたい」と意気込む。(池田充雄)