筑波山麓のつくば市神郡、大谷石造りの米倉を改装したスペース「石蔵Shiten:」で4日から、土浦市生まれのペインター、テラダヒデジさん(43)による個展「ODOLI(踊り)」が開催されている。
展示作品は、自由に踊る人の姿を画面いっぱいに墨で描いた、縦約1メートル、横約73センチの作品など100点。各作品には日本各地に伝わる民謡のはやし言葉が添えてある。会場では民謡を基調とする音楽が流れ、祭りを感じさせる内容となっている。
テラダさんは、日本の伝統や風習、神社仏閣や古建築など、古くから人々の身近にあった形を、デザインやイラストなどに取り入れ、古い形と現代の意味を混ぜ合わせた作品を制作している。
今年8月、浅草花劇場(東京都台東区)で開催された津軽三味線小山流三代目、小山豊さんのイベントの会場装飾として制作されたもので、浅草では会場内を埋め尽くすように吊り下げ、来場者や演者たちと共に会場全体に祭りの息吹を吹かせたという。
石蔵近くに住む藍染作家の紹介で、つくばでの開催に至った。
テラダさんは「テーマは『踊り人、百人集まりゃ祭りとなる』とした。踊りに型のなかった時代、人々は自由に音に乗り、体を揺らし、雑然としながら、一体感を生んでいたと思う。今回展示した、フリースタイルで踊る100体もの人々の姿は、視覚を楽しませるにぎやかな姿となり、音楽を自由に楽しむ呼び水となるはず」と語り、「(作家が)見方や意味を語ってしまうと固定されたイメージがつくられるので、見たままを感じてもらえばいい」と話した。(榎田智司)
◆同展は10日まで。会場はつくば市神郡111。開館時間は午前11時~午後5時。入場無料。開催期間中、カフェ「TSUKUBA36COFFEE」がオープンする。