金曜日, 10月 9, 2026
ホームつくば「大学改革の旗手に」永田学長 筑波大が開学50周年記念式典

「大学改革の旗手に」永田学長 筑波大が開学50周年記念式典

マハティール元首相が祝辞

筑波大学(つくば市天王台)が10月1日、開学50周年を迎えるのを記念した式典が30日、同市竹園、つくば国際会議場で催された。永田恭介学長は「世界中の大学との間で頭脳循環を加速させ、知の十字路としてのキャンパスを充実させていきたい。大学改革の旗手として、固定化された社会を再構築する原動力でありたい」などと、次の50年に向けた式辞を述べた。

祝辞を述べるマハティール元首相

式典には大学関係者のほか、つくば市長、県内選出の国会議員、協定などを締結している海外の大学学長など計約1200人が参加した。文科省の安江伸夫政務官のほか、マレーシアのマハティール元首相らが祝辞を述べた。

同大は来年10月、日本の大学で初めて日本の学位を授与する海外分校をマレーシアの首都クアラルンプールにあるマラヤ大学に開設する。2019年、安倍晋三首相とマハティール首相(当時)が取り決めをし海外分校を開設することから、今回来日に至ったという。

白川名誉教授が記念講演

記念講演するノーベル化学賞受賞者の白川英樹名誉教授

続いて2000年にノーベル化学賞を受賞した同大の白川英樹名誉教授が「私の研究とつくばー東京工業大学・ペンシルベニア大学・筑波大学」と題して記念講演した。開学間もない筑波大に着任した当時の思い出について「つくばの街は発展途上で、息抜きをしたり、くつろいだりできる喫茶店や赤ちょうちんの店も無くて、過ごしづらいと感じた人が多かったが、私は酒も飲まなし、喫茶店に入ってコーヒーを飲みくつろぐという経験をしたことがないので、かえってすっきりして、いい街だなあと思った」などユーモアを交えながら振り返った。

国立大学が直面している課題についても触れ「2004年の国立大学法人化以降、政府から交付される国立大学への運営交付金は毎年1割削減され、2022年は87%まで減少している。不足分を補うため企業との共同研究や技術移転などで寄付を仰いで研究費などを調達しなければならないが、いきおい大学で研究は短期的に成果が上がる、役に立つ研究ばかりが目立っている」などと話し、現在の国の政策に苦言を呈した。

学生に向けては「体育専門学群の学生が国内外の競技やオリンピックで輝かしい成果を上げて、メディアが大きく取り上げて、筑波大学の名声を高めているが、それ以外の大部分の学生は、社会に向けて何ができるか」と切り出し、自身の助手時代の体験を振り返って「一コマの講義を託され、教えるということは、裾を広く学ばなければ教えることはできないということを痛感し、教えることは学ぶことだということを学んだ」と述べ「時に教える機会をつくってほしい、そういうことによって学ぶことの意義ができてくる」などと話した。

記念式典のオープニングで、落合陽一准教授によるメディアアートを上映しながら学生歌「常陸野の」を演奏する筑波大学管弦楽団と混声合唱団

10月1日は大学で記念イベント

50周年記念イベントは10月1日も大学キャンパスで催され、2050年の生活と社会を考えるフォーラムや元Jリーガーがプレーするサッカーの記念試合など、さまざまなイベントが開催される。

筑波大学は1872(明治5)年に日本初の教員養成機関として創設された師範学校が始まり。1973年10月1日、東京教育大学を移転する形で筑波研究学園都市に開学した。同大は今年、開学50周年イヤーとして各種イベントを展開している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

5カ国の19人を歓迎 日本つくば国際語学院で秋の入学式

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東東郷治久理事長兼校長)の2026年度10月生歓迎会(秋の入学式)が8日、同市小野崎の同校に隣接する料亭、つくば山水亭で開かれた。5カ国から来日した19人が、鮮やかな民族衣装などに身を包み、新たな一歩を踏み出した。 新入生はミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、中国出身で、ミャンマー出身者が9人と最多。これから1年半、日本語を学ぶ。 歓迎会では、19人のうち、出席した18人全員がそれぞれ、習いたての日本語で、出身国、年齢、日本でやりたいこと、趣味などを自己紹介し「日本語学校で学びながら専門学校に進みたい」「卒業後は日本で仕事先を見つけたい」「音楽とサッカーが趣味」「読書や旅行が好き」「好きな日本の食べ物はすしとラーメン」などと話した。 在校生を代表してバングラデシュ出身のイスラム・サイフルさんが歓迎のあいさつをし、「最初、日本語があまりわからず、電車に乗った時はどこに行くのかもわからなかった。先生たちは優しく教えてくれたので安心して勉強することができた。皆さんも故郷を思い寂しくなることもあると思うが、学びながら日本の生活を楽しんでください」と新入生にエールを送った。 東郷理事長は「遠い国から、このつくばの地に来てくれてありがとう。日本語を学びながら、日本の文化や社会も学んでほしい。つまずくことがあるかもしれないが、つまずきは大きな経験。明るく前向きにチャレンジして成長してほしい」と語った。 歓迎会には在校生も参加し、この日は新入生を含め200人を超える生徒が会場にあふれた。在校生を対象に日本語能力試験の表彰も行われ、5段階評価のうち最も難しいN1に合格した1人、日常的な日本語を理解できるN2合格の2人、N3合格の21人、N4合格の26人が表彰された。N1は日本人でも合格するのが難しいという。 その後、新入生、在校生、教職員全員で記念撮影が行われた。最後は歓迎パーティーとなり、在校生がキーボードやギターを弾きながら歌ったり、ミャンマー出身の生徒が伝統舞踊を披露するなどした。 東郷理事長は「入学した学生を見ていると、向上心があり明るい、日本人の失ったものをもっているような気がする」などと話した。(榎田智司)

国スポ出場の5選手が決意 関彰商事で壮行会

10日から青森県で開催される第80回国民スポーツ大会(国スポ、旧国体)に出場する関彰商事所属の5選手の壮行会が8日、つくば市二の宮の関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)つくばオフィスで開かれた。 5選手は、男子砲丸投げに兵庫県代表として出場する森下大地選手(32)、女子やり投げに宮城県代表として出場する兵藤秋穂選手(27)、男子柔道に茨城県代表として出場する戸高淳之介選手(24)のいずれも筑波大出身の3人と、6月に行われた第80回国民スポーツ大会軟式野球競技茨城県大会で優勝した常陽銀行の補強選手として、関彰商事から選出された松本航輝選手(27)、矢萩陽一郎選手(26)の2人。 壮行会には関社長のほか、役員や社員など約100人が参加した。関社長は「それぞれのふるさとを代表して、思う存分、力を出し切って活躍していただきたい」とエールを送った。 男子砲丸投げの森下選手は「中学生の時に友達に誘われて始めた。今シーズン最後の試合なので最後は優勝で締めくくれるように頑張りたい」と決意を述べた。 女子やり投げの兵藤選手は「高校1年の時に、やり投げを専門にしていた顧問の先生から誘っていただいたのがきっかけで始めた。自己ベスト(57メートル56センチ)を更新することを最低目標とし、強い気持ちを持って、勝負よりも記録を重視してやっていき、攻めの姿勢で投げ抜き、今シーズン最後を納得のいく形で締めくくりたい」と話した。 男子柔道の戸高選手は「両親と兄が柔道をやっていて、それに自分も付いていった形で5歳の時から始めた。4年に1回の全都道府県が出られる年なので、1日目に二つ勝って、前年度優勝の東京と対等に戦い、それを乗り越え、関彰商事、茨城の名に恥じないような結果を出したい」とそれぞれ意気込みを語った。 軟式野球の松本選出は「関彰商事として3年連続の出場がかなわなかったのを大変悔しく思っているが、今回常陽銀行からリベンジの機会を与えられたので精一杯頑張る」と雪辱を誓った。矢萩選出も「茨城県代表として精一杯頑張る」と抱負を語った。 国スポ「青の煌(きら)めきあおもり」は、10日から20日まで開催され、砲丸投げ、やり投げなどの陸上競技は青森市のカクヒログループアスレチックスタジアム、軟式野球は青森市の青森県営野球場、柔道はつがる市の伊藤鉱業アリーナつがるで開催される。(高橋浩一)

「説明会を即時開催せよ」住民ら、初の抗議行動 つくば データセンター建設現場前

つくば市大穂に国内最大級のデータセンターが計画されている問題で、有志の近隣住民らが8日、1棟目が建設されている工事現場前で、「住民への説明会を即時開催せよ」と書かれた手作りの横断幕を掲げて、抗議行動を実施した。街頭での抗議行動は初めて。 6日の市議会で、住民団体「データセンターから市民を守る会」が提出していた、市による市民向け公開説明会の開催を求める請願が趣旨採択となり、事業者のグッドマンジャパンに説明会開催を要請する決議が採択されたことを受けて(10月6日付)、守る会の70代女性が、予定地に近接する篠崎地区住民に呼び掛けて実施した。 約20人が正午に工事現場前に集まり、横断幕のほか、「データセンターはビジネス、私達のインフラではない」「データセンターを許可して市民に温暖化対策をって何?」などと書かれたボードをそれぞれ掲げてアピールした。 抗議行動を呼び掛けた女性は「1棟目が2月に着工してもう10月になったのに、納得できる説明会が開かれていない。地域住民は皆、井戸水で生活しているので、特に水の問題は心配している。6日の市議会の趣旨採択と決議は『市は住民と事業者との間には入らない、住民だけで事業者と交渉をやれ、市は無関係だ』という意味だと思う」と語り「事業者は『共生』と言っているけれど住民は無視されている。市は住民に寄り添ってくれず、税収が増えることばかり言う。それでは住民が犠牲になって負担を強いられてしまう。地元の気持ちを表そうと抗議を呼び掛けた」とし、「今後も皆と力を合わせて考えつくことはやりたい。黙っていてもだめなので行動に移したい」と話している。(鈴木宏子)

AIはどこへ向かうのか《安全の窓》5

【コラム・佐々木哲美】近年、文章作成や翻訳、情報検索などを自動化する「対話型AI」が広まり、私たちの生活や仕事に深く入り込むようになりました。スマートフォンで質問すれば答えが返ってきたり、文章の下書きを作成してくれたりする、いわば「便利な相談相手」です。 ただし、こうしたAIは大量の情報をもとに文章を生成することはできても、自ら目的を設定したり、判断の結果に責任を負うことはできません。一方で、人間のように学習し推論できる高度なAI(AGI)、さらには人間を超える知能(ASI)の可能性も語られ、AIの進化は次の段階へ向かっています。 AIが越えられない壁 AIの歴史は、期待と停滞の繰り返しでした。「人間並みの知能が間もなく実現する」と語られてきましたが、実際には多くの課題が残されています。人間の判断は、知識や計算能力だけで成り立つものではありません。経験、価値観、倫理観、責任感、さらには言葉にならない違和感まで含めて意思決定しています。 その上で重要なのは、人類が蓄積してきた経験と知恵をどう未来へ残すかという点です。災害の教訓や失敗から得た学びは、放っておけば風化します。安全のルールも、原点が忘れられ形だけが残ることがあります。知恵とは、なぜそう判断したのか、何に迷い、何を恐れ、何を守ろうとしたのかという思考の軌跡です。AIは記録を整理することは得意ですが、学べるのは人間が残したものだけであり、語られなかった経験や共有されなかった教訓は継承できません。 だからこそ、 経験する → 記録する → 振り返る → 共有する → 行動に生かす という知恵の循環をつくることが、AI時代の人間に求められています。 人間側の無策というリスク 現在、AIをめぐる状況は新たな局面を迎えています。ロイター通信は、自律型AIエージェントが技術者向けサイトを乗っ取り、AI同士が利用制限の回避策を共有する掲示板へと変質させたと報じました。 本来であれば、社会はこうしたリスクに備える体制を整えるべきでした。しかし、AI企業が巨額の利益を上げ始めると、政治や広告に資金が流れ、世論は規制に後ろ向きになりました。その結果、危険なAIへの対処についての議論は約2年間ほぼ停滞してしまいました。 各国はAI規制に動き始めています。日本は原則提示にとどまり、EUは罰則付きの公表義務を導入し、豪州はニュース対価の支払いを法律で強制し、米国ではAIの強制停止権限をめぐる議論が続いています。しかし、いずれも課題を抱え、賛否が割れています。そして最大の問題は、世界がいまだ共通のルールを持たないことです。 未来へ残すべき主役はAIではなく、先人たちが積み重ねてきた経験と教訓、そしてそれらを守り続ける人間の知恵です。AIの未来を語る前に、まず人間の知恵を失わない仕組みを整えること。それこそが、AI時代を生きる私たちに課された責任だと考えます。(労働安全コンサルタント)