土曜日, 4月 4, 2026
ホームつくば施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

施設の補修・更新費34億円超 洞峰公園 つくば市、議会に示さず

長寿命化計画で県試算

つくば市が県から無償譲渡を受ける方針を示している県営の都市公園、洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、園内にある体育館、新都市記念館、フィールドハウス、管理棟の4施設だけで、2024年度以降の維持管理、補修、更新費用などが合わせて34億円以上かかると試算されていることがNEWSつくばの情報開示請求で分かった。県が洞峰公園の各施設の長寿命化計画を策定するにあたって2016年度に調査を実施し、各施設ごとにライフサイクルコストとして算出していた。

情報開示資料によると、各施設のライフサイクルコストは4月に県からつくば市に提供された。さらに6月には補修費用と更新費用の算出根拠となる材料費や単価などが市に示された。

これに対し市は、6月の市議会全員協議会(全協)や7月の市民説明会で、施設の更新費用について見通しを示さなかった。市は議会などに対し、日ごろの維持管理費について年間約1億5100万円かかるとし、施設の修繕費用については80年の目標使用年数を示しながら、「今後、施設全体で想定される施設修繕費の想定額は年間約3500万円程度となる」などと説明していた。今後15~25年間で計約5億8000万円程度の施設修繕費がかかるという試算だが、この数字は、県が算出した公園施設のライフサイクルコストの中の補修費用などを積み上げただけで、最も金額が大きい更新費用は含まれていなかった。

県が長寿命化計画策定にあたって調査し試算した公園施設のライフサイクルコスト。左は体育館アリーナ棟の建物を維持保全するのにかかる試算、右は新都市記念館の試算

更新費用は、老朽化した施設の建築材料や設備機器を新しいものに取り替える費用。補修費用は、施設の大規模な手入れにかかる費用で、いずれも国の指針により長寿命化計画を策定する際に試算することが求められる。県は洞峰公園について、国の公園施設長寿命化計画策定指針や県県有建築物長寿命化実施基準に基づいて、施設の目標使用年数を80年と設定し、国のマニュアルに基づき施設を調査し、ライフサイクルコストを試算した。調査や試算に基づいて長寿命化計画を立て、国の補助金を活用して施設の改修や更新を実施する。

2016年度に県が実施した洞峰公園の調査では、各施設ごとに、建物の完成から50年や60年先の更新見込み年度までにかかる費用をライフサイクルコストとして算出している。ライフサイクルコストには、毎年かかる維持保全費用、5年に1回実施する健全度調査費用と、補修費用、健全度調査費用の計4項目がそれぞれ試算されており、各施設ごとにそれぞれ毎年いくらかかるかを算出している。

1980年に開園した洞峰公園は、プールとアリーナがある体育館、喫茶店やギャラリースペースがある新都市記念館などの施設が今年、築43年を迎える。県が算出した各施設のライフサイクルコストによると▽体育館のプール棟とアリーナ棟の電気・機械設備の更新見込み年度はいずれも7年後の2030年度で、市が無償譲渡を受けた場合、来年度から更新見込み年度の2030年度までにかかると試算されている維持保全・健全度調査・補修・更新費用の合計は約12億1700万円▽プール棟とアリーナ棟の建物の更新見込み年度は2036年度で、今後かかる費用の合計は約15億3200万円▽新都市記念館の更新見込み年度は2040年で、今後かかる費用の合計は約3億9700万円ーなどとなっている。

実際の修繕工事は、建物の状態や予算などを考えて行うため、長寿命化計画で算出したライフサイクルコストとは一致しない。ただし今後、施設の保全にいくらかかるかを調査し、見通した唯一の資料が県が算出したライフサイクルコストになる。洞峰公園にはほかにトイレ、倉庫、井戸などのほか、テニスコート、遊具、園路舗装、ベンチなどの施設や設備が数多くあり、これらを加えると今後かかる費用はさらに膨らむとみられる。

※県長寿命化計画策定資料(公園施設ライフサイクルコ スト算出根拠)より作成。2024年度以降かかる費用は、県が長寿命化計画を策定するにあたって試算した維持保全費用、健全度調査費用、補修費用、更新費用の合計

市が施設の更新費用を議会に示さなかったことについて、これまで市議会一般質問などで大規模修繕費用がいくらかかるかを明らかにするよう求めてきた飯岡宏之市議(自民党政清クラブ)は「(大規模修繕費用について)6月定例会で市は『確認中』と答弁し、最終日の全協でも教えてもらえなかった。この間、市と県とで(資料の)やりとりをしていたのに、なぜ全協で明らかにしなかったのか誠に遺憾。今後は議会に明らかにしてほしい」とし、「県が調査した時点と比べて現在は資材費が高騰しており、現時点で1.5倍以上の費用がかるのではないか」と話す。

これに対し、市公園施設課は「(更新費用については)施設の長寿命化計画を策定の上、国庫補助金を活用しながら施設の長寿命化を図っていきたい」としている。

差額4500万円の内訳は更新費や建物以外の修繕費など

一方県は昨年、パークPFI事業を実施するにあたって、17年度から27年度までで大規模修繕費が年平均8000万円かかるとしていた。市が今年6月、市議会に説明した施設修繕費の年平均の想定額3500万円程度と比べ、4500万円開きがあった。今回情報開示された資料でそれぞれの内訳を確認したところ、県の内訳には、市が試算した建物の補修費などのほかに、市が試算に加えていない建物の更新費と、建物以外のベンチや柵などの更新費などが含まれていた。

つくば市が県から無償譲渡を受けるにあたって、市は市内の建築士に建物の調査をしてもらい、指定管理事業者からの聞き取りと合わせて、修繕が必要な箇所を洗い出した。現在県は、体育館プール棟の雨漏り改修、天井材のボルトの締め直し、プール室内の暖房機器修理、アリーナ棟の空調機器修理、フィールドハウスの外壁レンガの修繕や防水対策などの修繕工事を実施中だ。修繕費用について県は計4000~5000万円になると県議会調査特別委員会で明らかにしているが、引き渡しにあたり現在不具合が生じている箇所の修繕にとどまっており、今回の県の修繕が今後、各施設の補修や更新工事費をいくら減らすことになるかは県も市も調査していない。

洞峰公園は自然林や洞峰沼を生かした筑波研究学園都市最大の都市公園としてつくられ、研究学園都市を南北に結ぶペデストリアンデッキの緑の帯に面する。園内の体育館と新都市記念館はいずれも、著名な建築家の大高正人(1923-2010)が設計した。筑波研究学園都市の名建築の一つで、体育館のプール棟は太陽熱、アリーナ棟は太陽光を利用するなど当時の先進的な技術を取り入れて設計された。新都市記念館は洞峰沼の上に乗り出して建っており、屋根の勾配は圧迫感のない自然な稜線を表現するなど、両施設とも自然と一体となった設計になっている。当時の建設・造成事業費は31億円という。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

29 コメント

29 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

さくら小学校が開校 TX沿線の学校新設に区切り つくば市

図書館や音楽室を地域に開放 つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区のつくば市中根・金田台地区に新設された市立さくら小学校(同市春風台)の開校式が3日催された。沿線開発に伴う人口増に対応する開校となる。現時点では、2005年のTX開業後、10年代から続いた同市内の小中学校新設ラッシュの最後の一校となる。市内の小学校としては義務教育学校を合わせて37校目。 同校は、児童数増加により教室不足が見込まれる栗原小、栄小、九重小の3校から分離する形で誕生した。6学年全体で特別支援学級を含む24クラスに約570人の児童が通学する予定だ。 2024年7月に着工し、今年2月に工事が完了した。校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、内装に県内産の木材を利用した。各階にバリアフリートイレを設置し、車椅子用の手洗い所を設けるなどバリアフリー設備を備える。延べ床面積は約8074平方メートル。総事業費は約66億9500万円。 図書館や音楽室などは地域に開放する。放課後児童クラブ機能を持つ「アフタースクール」を併設し、保護者の就労状況にかかわらず子どもを受け入れるなど、増加する子育て世帯に対応する。アフタースクールの併設は、沼崎小に続いて市内で2校目となる、災害時には地域の防災拠点としての機能を担うため、校舎に約60キロワット、体育館に約20キロワットの太陽光発電パネルを設置し、蓄電池や非常用発電機、LEDソーラー街灯を設置する。 校名や校章は、児童や保護者、地域住民らによる公募とアンケートを経て決定された。校名のさくらは、栄の「さ」、九重の「く」、栗原の「ら」から一字ずつをとった。校章は桜をモチーフに、「温故知新」や自然と科学の調和を表現した。校歌は、歌手の一青窈さんの楽曲など多数のヒット曲を手掛ける常陸太田市出身の作曲家・マシコタツロウさんが作詞・作曲した。 開校式であいさつに立った岡野知樹校長は「子どもたちが失敗を恐れずに挑戦できる環境づくりを目指し、地域の方たちにとっても新しい発見がある場所にしたい」と思いを語った。五十嵐立青市長は「図書館などの施設を地域の皆さんも使いやすいよう設計している。活用されることで、いずれ訪れる人口減少を見据えたコミュニティ形成をしていくことが重要になる。この場所で子どもや先生たちが幸せに過ごし、地域の人たちとのコミュニティの中で手本となるような場所になっていければ」と述べた。 TX沿線の同市の学校新設は、2018年度に研究学園駅周辺の葛城地区に学園の森義務教育学校、みどりの駅周辺の萱丸地区にみどりの学園義務教育学校が開校した。その後、22年12月時点で学園の森義務教育学校の児童生徒数が2000人を超えるなど、新設校の児童生徒数がさらに増加し教室不足が見込まれるなどしたため、ここ数年は新設校を分離する形で新たな新設校が誕生している。23年度は学園の森義務教育学校を分離して研究学園小中学校が新設された。同年には万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区に香取台小も新設された。さらに24年度はみどりの義務教育学校を分離し、みどりの小中学校が新設されている。 さくら小学校のある中根・金田台地区は、市の中央部近くのTXつくば駅から東側約2~4キロに位置し、市内でも人口が増加している地域の一つだ。新興住宅地として整備が進み、将来的には8000人余りが暮らすことが見込まれている。(柴田大輔)

「小さな目標から一つずつ実現を」 日本国際学園大で入学式 つくば

3期生160人が入学 日本国際学園大学(橋本綱夫学長)の入学式が4日、同大つくばキャンパス(つくば市吾妻)で催され、3期生160人が入学した。同大は筑波学院大学から大学名を変更し一昨年4月に開学した。3回目の入学式となった2026度の新入生は昨年の約2倍になった。 式典で橋本学長は「大学に入った目的を思い出して欲しい。そして目的のために目標を立てることが必要。目標は小さな目標から一つずつ実現していくことで、最初の目的を実現させることができる」と話した。総代としてミャンマー出身のアゥンカゥンミャットさんが橋本学長から入学許可書を受け取った。 新入生を代表して安達歩夢さんは「自ら課題を見出し行動する主体的な姿勢が求められる。新たな環境の中で不安や戸惑いを感じることもあるかも知れないが、一つ一つの経験が将来につながると思う。これから知り合う仲間たちと切磋琢磨を重ね視野を広げるような交流をしていきたい」と語った。 在校生を代表して経営情報学部ビジネスデザイン学科4年生の八木翔平さんは、新入生に向けて「大学生活は高校までと異なり、自ら考え、選択し、行動することが求められる。授業も自分で選び、それが将来につながっていく。またこの大学は留学生が多いので、異なる文化や価値観を学び合うことができる。一人一人が可能性を広げ、挑戦を恐れずに様々なことに取り組んでほしい」とエールを送った。 同大は1990年、東京家政学院大の筑波短期大学として開学。96年に4年制の筑波女子大学に、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度に東京家政学院から学校法人の筑波学院大学に移り、23年からは学校法人名を日本国際学園に変更した。一昨年からは姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する東北外語観光専門学校に日本国際学園大の仙台キャンパスを設置し、つくばと仙台にキャンパスがある。(榎田智司)

水戸市とつくば市の外国人居住者調査《水戸っぽの眼》11

【コラム・沼田誠】茨城県の外国人政策が変化している。その象徴が2026(令和8)年度予算案に盛り込まれた「通報報奨金制度」だ。外国人を不法に受け入れている事業者について、市民から具体的で根拠のある情報を募り、有益な情報には報奨金を支払うという。茨城は不法就労の摘発数が全国で最も多く、何らかの対策が必要だとしても、このような制度設計は都道府県レベルでは異例だ。その背景には外国人住民の急増がある。全国の在留外国人数は、2025年6月末で395万人に達し、この10年で約1.7倍に膨らんだ。茨城県の在留外国人数も5.8万人から10.6万人とほぼ倍増している。農業・建設・サービス業を中心に、外国人なしでは成り立たない産業構造が広がる一方、外国人居住者と日常的に隣り合わせになるという現実は、多くの県民にとって初めての経験だ。 県が「適正化」を強めるのであれば、市町村には「地域で暮らす外国人住民をどう支え、社会参加につなげるのか」という別の役割が問われる。水戸市やつくば市は、増加する外国人住民にどう向き合っているのだろうか?水戸50人に1人:つくば20人に1人 水戸市の在留外国人数は4772人。人口比では1.8%だが、県都としては無視できない規模だ。その対応策の相当部分は、外郭団体の水戸市国際交流協会が担っている。2022年に公表された市政モニターからの政策提言への回答では、同協会が運営する国際交流センターは、外国人市民の実態やエスニックコミュニティの状況をこれまで調査しておらず、具体的な課題をあまり把握できていないと認めている。 つくば市の在留外国人数は1万4650人と県内最多で、住民の20人に1人が外国人になっている。この10年で約5000人も増加しており、研究者や留学生に加え、就労目的の外国人が増えているとみられる。こうした変化を受け、市は2023年3月「第2次つくば市グローバル化基本指針」を策定、「すべての人にとって住みやすいグローバル都市」をゴールに掲げ、日本語学習支援を「都市インフラ」と定義した。 ただ、この指針の根拠となる「つくば市外国人市民意識調査」は、ウェブ方式で実施されており、情報アクセスが限られている層の声や実態が十分拾えていない可能性がある。これに対し大阪府豊中市の「外国人市民アンケート」(2023年3月)では、住民基本台帳から無作為抽出した対象者に、多言語の調査票を直接郵送する方式で行われ、孤立感・定住意向・子どもの教育環境まで可視化できている。解像度が異なれば、そこから導かれる施策も変わってくるはずだ。「見えない声」を拾う調査が必要 外国人居住者が安心して社会参画できる環境を設計することは、人手不足に苦しむ産業の持続可能性への回答であると同時に、人権上の要請でもある。その出発点は、泥臭く「見えない声」を拾い上げる実態調査にあるのではないだろうか。私たちは、隣人についてもっとよく知り、理解する必要がある。(元水戸市みとの魅力発信課長)

公募は仕切り直し 霞ケ浦土浦港周辺整備計画 3者が不合格

土浦市・茨城県 土浦市と茨城県が計画していた霞ケ浦土浦港周辺整備事業が仕切り直しになった。霞ケ浦に面する9.5ヘクタールの区画を「湖岸の観光・レクレーション拠点」にしようと、同市と県が民間事業者から整備計画を公募(1月3日付)したが、提案された複数の計画はいずれも必要な条件を満たさなかった。土浦市にとって長年の課題だった湖畔整備事業は延期となる。 土浦市都市整備課によると、公募型事業プロポーザル(提案)には3事業者が応じた。このうち2事業者は書類審査で落ち、残る1事業者に絞って提案企画を評価したところ、評価点が102.31点と最低基準点126点以下だったため、不合格と判定した。最終審査に残った企業名や、どの点が基準に満たなかったなどは明らかにしていない。 評価方法を変え再トライ 事業者を公募した整備区画は、▽A地区:湖底土砂浚渫(しゅんせつ)船などが利用する土浦港(県施設)▽B地区:マリーナ(ラクスマリーナのヨットなどの係留・管理施設)と広場(市施設)▽C地区:「りんりんポート土浦」(サイクリスト向け拠点施設)区画(市有地)▽D地区:プレジャーボートなどが停泊する土浦港(県施設)―で構成されるエリア。 土浦市は①「りんりんポート土浦」は指定管理者制度を活用して存続させる②市が保有する「ラクスマリーナ」の株式は事業者に有償譲渡する③マリーナ施設がある広場は事業者に賃貸する―案を事業者に示し、県は2つの港とその周辺を事業者に貸与する案を示していた。 都市整備課の担当者は、今回の公募結果にもかかわらず、湖岸のレクレーション拠点計画は破棄せず、公募型プロポーザルの枠組みを使って再挑戦するという。具体的には「評価方法を少し変えたり、今回応募した事業者とは別の事業者に声を掛けることを考えている。再トライをいつにするかはまだ決めていない」と述べた。 民間の力で湖岸を活性化 この事業予定区画には、2007年まで京成ホテルが建ち、同ホテルが撤退した跡地にはマンション建設計画があった。ところが08年のリーマンショックでマンション事業者が倒産したため、土浦市が用地を取得、有効活用法を探ってきた。今回の公募型プロポーザルは不調に終わったが、市としては民間事業者の資金力と企画力を使って、土浦港周辺の再活性化を図る。(坂本栄)