日曜日, 9月 27, 2026
ホームつくば地震時の断層の滑りを再現 世界最大規模の試験機を開発 防災研

地震時の断層の滑りを再現 世界最大規模の試験機を開発 防災研

発生のメカニズム解明へ

巨大な岩石同士をすり合わせて地震時の断層の滑りを再現する世界最大規模の試験装置を防災科学技術研究所(つくば市天王台)が開発し、12日、報道関係者を対象に公開実験を実施した。「巨大岩石摩擦試験機」で、地震発生のメカニズムや、地震が連鎖的に起こる仕組みの解明を目指す。

同研究所地震津波防災研究部門の山下太主任研究員らが開発した。今年3月に装置が完成し、8月から実験を開始した。設計・開発・設置費は約4億円。

試験機は幅13.4メートル、奥行4メートル、高さ5.9メートル、総重量200トン。装置の中央に、直方体の岩石を上下に2体並べ、加重をかけ、すり合わせて、石の伸び縮みや揺れなどのデータを測定する。すり合わせる岩石は長さ7.5メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルと、長さ6メートル、幅0.5メートル、高さ0.75メートルで、2体の岩石がすれ合う断層面積が世界最大規模になる。最大で1200トンの加重をかけ、毎秒0.01ミリから1ミリの速さで、最大1メートル滑らせることができる。

身の回りで実際に起きているマグニチュード・マイナス1.4規模の地震を実際に起こすのと同じ規模の実験になる。地震として観測可能な最少規模の地震より少し大きな地震という。実験に使用する岩石は現在、粒が小さく硬く壊れにくい、はんれい岩を使っている。

実験の説明をする山下太主任研究員

地震は、断層が滑る際に揺れ(地震波)が起こり発生する。断層の滑り方は岩石の摩擦の性質に左右されることから、地震のメカニズムの解明を目指し、これまでも岩石同士をすり合わせて摩擦の性質を探る研究が世界中で重ねられてきた。

当初は、手のひらサイズの岩石を使って実験室で摩擦の性質を調べる実験が行われてきたが、近年の研究で、実験に使う岩石の大きさによって摩擦の性質が変わることが分かり、自然に近い大きさの岩石での実験が求められているという。

南海トラフ「半割れ」再現も

今後は、岩石と岩石がすり合う断層面に発生する石の粉などの摩耗物を取り除いて断層面が比較的均質な状態で実験したり、石の粉を残したまま断層面が不均質な状態で実験するなどし、断層面の均質性が地震の前の段階にどのように作用しているかなども実験で確かめたい考えだ。

さらに南海トラフのような広大な断層では、断層の一部が滑って地震が発生した後、時間をおいて残りの断層が滑る「半割れ」と呼ばれる連鎖的な地震が発生してきた。半割れは現在国が、南海トラフで想定しているケースの一つでもある。これまでの試験装置では使用する岩石が小さかったため、断層全体が一度に滑ってしまう地震しか再現できなかった。今回開発された装置を使い、半割れのような複雑な地震の発生を実験で再現することも求められている。

同研究所は2011年から大型岩石摩擦実験に取り組み、これまで長さ1.5メートルの岩石で実験してきた、今回開発した大型試験機はそれに次ぐ規模となる。

12日は同研究所内の大型耐震実験施設内に組み立てられた巨大岩石摩擦試験機を動かし、上段のはんれい岩に上から30トンの荷重をかけて、さらに下段のはんれい岩を横に毎秒0.01ミリの速さで1センチ動かす実験を実施した。山下主任研究員は「地震を再現して地震発生のメカニズムを再現し、地震発生予測につなげたい」と話す。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

ルーツを探しに大阪の豊中へ《文京町便り》56

【コラム・原田博夫】8月下旬、大阪府豊中市に行ってきました。7年前、同地に転居した家内の姪家族が豊中市原田元町に住んでいると聞き、しかも子供3人が市立原田小学校に通っているということで、原田姓の私としては同地に行ってみたいと思っていました。そこで、阪急宝塚本線曽根駅で下車し、原田元町に行き、原田城跡などを訪ねました。同市教育委員会の原田城跡案内板などによると、同地の歴史は以下のようなことでした。 住宅地をめぐる水路際の案内板「原田井の洗い場」によると、原田集落の縁辺に沿って流れる水路は遠く猪名(いな)川を水源とし、伊丹、尼崎から豊中に至る田畑を潤し続けた、猪名川流域最大級の農業用水路でした。奈良興福寺の「大乗院」に伝わる日記には、1461年、原田庄と田能(たのう)村の間で水争いが生じたことが記されており、約560年前に原田庄が存在していたことが分かります。 近世には、この水路が、酒井、森本、岩屋(伊丹)、田能(尼崎)、勝部、原田、桜塚、曽根、岡山(豊中)の9カ村に利用されていたことから、久名井(くめい)とも呼ばれました。井親(いおや)でもある原田村では原田井(はらだい)と呼ばれてきました。水路の中に見える階段状のものは、夏草が覆っていて確認できませんでしたが、洗い場の水は村人たちの生活用水として利用されていたようです。 「洗い場」案内板から130メートル上ると、巨大な石垣(高さ2~3メートル)をめぐらした一角があり、そこに「記念物(史跡) 原田城跡(しろあと)」の案内板がありました。原田城が造られた年代は明らかではありませんが、室町末期に書かれた「足利季世記」には、1541年11月に管領細川晴元の家臣木沢長政が原田城を攻めたと記載されています。 原田城には、主城の北城と砦の南城の2城があり、この案内板は北城の主郭周りに設置されていています。城の規模は東西160メートル、南北320メートルに及び、西側には土塁が残っており、周囲には堀もあったようです。 わが家の出は西日本のようだ 当時は群雄割拠の戦国の世で、この原田城も多くの史料の中にその名が散見されます。1547年の城主は不明(摂津誌によれば三好日向守)ですが、細川晴元勢3万騎の攻勢によって陥落しています。また、1578年には織田信長による伊丹有岡城に立てこもる荒木村重討伐の際、原田城は信長軍の付城として信長配下の武士(古田織部、中川清秀など)が在番していたそうです。 案内板がある「原田しろあと館」には、昭和初期築造の屋敷(旧羽室家住宅)があり、土日の昼下がり3時間ほど一般公開されています。しかし、訪ねたのが木曜日だったため、立ち入ることはできませんでした。 「どうもわが家の出は西日本のようだ」という、私の父(1920年生まれ)から聞いた話を頼りに出向いてみました。過去帳に孤立して記載されている享徳時代(1452~54)のご先祖がそうだったのかもしれません。ルーツの手掛かりは得られなかったものの、現地の生活ぶりは、500年前も現在も、あまり変わらないようでした。(専修大学名誉教授)

ゲリラ豪雨を再現、災害ドローン飛行実験 防災科研

「飛ばしたい時に飛ばせない」 災害時の被災状況の把握や不明者の捜索、物資輸送などに利用されるドローンが、豪雨や強風の中でも安定して飛行できるかを確かめる公開実験が25日、つくば市天王台の防災科学技術研究所(防災科研)にある大型降雨実験施設で行われた。実施したのは、防災科研と、産業技術総合研究所(産総研)が2024年に設立した産総研先進ドローン技術コンソーシアム(ADTC)。今後の共同研究を通じ、災害発生時に悪天候のため「飛ばしたい時に飛ばせない」現状を改善するため、性能評価に必要なデータの収集を進める。 雨量300ミリ、風速12メートル 防災科研の大型降雨実験施設は、1時間雨量300ミリの豪雨と、風速20メートルを超える強風を同時に再現できる国内最大級の施設。降雨の強度や雨滴の大きさ、雨滴の落下速度を変化させることで、さまざまな強さの雨を自然に近い状態で再現できる。この日の実験では、1時間雨量100ミリの雨を風なしで降らせた後、雨量100ミリに風速12メートルを加えた条件、さらに300ミリの雨と風速12メートルを組み合わせた条件でドローンを飛行させた。 使用されたのは、ADTCと技術提携する双葉電子工業(本社・千葉県茂原市)の産業用ドローン「FMC-02Q」。光学カメラと赤外線カメラを搭載し、防水、防塵、耐風性能を備え、30分から40分程度の飛行が可能とされる。条件を段階的に変えながら飛行させ、機体の安定性や搭載カメラの映像がどう変化するかを確認した。いずれの条件でも、ドローンは安定して飛行を続けた。一方、雨の中でも機体が安定して飛行できたのに対し、カメラの視認性には課題が残った。 災害現場では、被災状況をいち早く把握するためにドローンを飛ばしたい一方、雨や風が強いほど機体の安定性や搭載センサーの性能が低下する。また、メーカーによって耐風性能などの表示や試験条件が異なり、性能を共通の尺度で比較するための試験環境や規格も整っていない。今回の実験に協力した双葉電子工業は、ドローンについてメーカーごとに異なる条件で性能が評価されており、統一された試験環境や規格がないことが課題だとした。 飛行中の情報確認性能向上へ 実験を振り返った防災科研上席研究員の酒井直樹さん(58)は、今回の実験では強い風雨の中での飛行と搭載カメラの性能を確認したと説明。その上で、「災害時にはドローンが『飛べる』だけでなく、飛行しながら何を確認し、どのような情報を得られるかが重要だ。雨滴によってカメラが見えにくくなる問題への対策や、障害物を検知するセンサーの性能評価などが今後の課題」だとし、今回を第1回の実験として、今後は周囲にある物体の距離・位置・移動スピードを正確に測るミリ波センサーや、地形をミリ単位の超高精度な3Dデータにできるライダーセンサーを搭載した機体についても検証する。 酒井さんは、「人命に関わる災害対応時に悪天候で利用するためには、ドローンの性能を正確に理解することが必要になる。そのためにこうした実験が必要になる。課題を吸収しながら、今後の共同研究を通じて誰もが使えるドローンの開発につなげていきたい」と語った。(柴田大輔)

Bプレミア開幕 茨城ロボッツ敗れる

男子プロバスケットボールBリーグの2026-27シーズンが開幕した。茨城ロボッツは今季から新設されたトップカテゴリーのBプレミア(B.LEAGUE PREMIER)に参入。開幕戦は25日、ホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で開催され、三遠ネオフェニックス(本拠地・愛知県豊橋市)に82-90で敗れた。 2026-27 B.LEAGUE PREMIERリーグ戦(9月25日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 82-90 三遠ネオフェニックス茨城|21|17|21|23|=82三遠|22|27|25|16|=90 今季「Bリーグの勢力図を塗り替える」との意気込みで大型補強を敢行した茨城。琉球ゴールデンキングスや千葉ジェッツで活躍したオールラウンドプレーヤーのヴィック・ローや、身長211センチという圧倒的な体格を持ちながら広いシュートレンジも誇るブラジル代表のティム・ソアレス、3季ぶりにアルバルク東京から復帰した福澤晃平など、新加入選手は8人にも及ぶ。 Bプレミアでは、外国籍選手3人が同時にコートに立てる「オンザコートフリー」を採用。帰化/アジア特別枠(1人)も併用することで、海外リーグ並みのサイズ感やスケール感の大きいゲーム展開が味わえるようになった。スケジュール面では2日続けての連戦が少なくなり、選手としては翌日の疲れを気にせずに力を出しきれる。 こうして迎えた開幕戦。茨城は昨季西地区5位の三遠に対し、第1クオーター(Q)は互角の戦いを繰り広げたものの、その後はじりじりと差を広げられていった。大きな要因はターンオーバーからの速攻だ。「第2・第3Qでは守備のミスが多く、相手にリズムを持たれてしまった。第4Qでリズムを取り戻すことはできたが、その時にはもう遅かった」とポール・ヘナレヘッドコーチ(HC)。ただし第4Q開始時の15点差から残り1分47秒で5点差まで迫ったときは、逆転への期待に場内が大きく沸いた。 この日、チーム最多の23得点を挙げたローは「良いスタートが切れたが、途中から疲れが出てしまった。それでもアグレッシブにアタックし続けようと、終盤まで果敢に任務に取り組んだ」と話し、チームの状況については「新しいチームらしいミスが多かった。全員が一つになって、お互いの強みをできるだけ生かさなくてはいけない」と振り返った。 また長谷川暢主将は「レギュラーシーズン60試合の開幕戦ということで、本当に勝ちたいゲームではあったが、攻撃の部分では自分たちのやりたいバスケがなかなか表現できず、非常に重たいゲームになってしまった。明日1日の休みがあるのでしっかり修正し、次のゲームにつなげたい」と話した。 次戦は27日、ホームで三遠と再戦する。2017年から10年の長きにわたり茨城を牽引してきた平尾充庸のラストゲームとなる。(池田充雄)

給食に異物混入 つくば市の義務教育学校

つくば市は25日、市内の義務教育学校前期課程(小学校)で24日出された学校給食に直径約7ミリの磁石が混入していたと発表した。25日時点で健康被害の報告はなく、ほかに異物混入の報告はないという。 市教育局健康教育課によると、児童の一人がシチューを食べていたところ、磁石が混入していることが分かった。 シチューは、つくばすこやか給食センター豊里で調理され、同じメニューが、義務教育学校のほか、市内の幼稚園1園、小学校3校、中学校1校に計2235食が提供された。 同給食センターでは同様の丸形磁石は使用していない一方、磁石が混入していたクラスでは、給食前の4時間目の生活科の授業で、児童がそれぞれ家庭から磁石を持ち寄りおもちゃを作ったなどから、同課は学校で混入した可能性が高いと考えられるとし、学校での再発防止策として、教室の机上の整理整頓、給食開始時の着席、担任による観察などの徹底を確認したとしている。給食センターも管理体制を再確認したとしている。 異物混入を受け、市は24日、同じメニューを提供した2235人の保護者などにお詫びの通知文を送付した。