【鈴木宏子】商店街の店主が講師となり、プロならでは専門知識や情報、コツを無料で教える「土浦まちゼミ」(同実行委員会主催)が4月5日まで、同市内の各商店で開かれている。2年目を迎えた今年は、参加店が前年の2倍近い約40店に増え57講座が実施されている。的場弘幸実行委員長は「あまりよく知らなかった店主同士が知り合いになり、お客さんを紹介し合うようになった」と、商店同士の交流が活発になった成果を語る。
はんこ屋さんが、はんこの商品価値を決める材料や彫りのうんちくを教えたり、化粧品店が、手や指が見違えるハンドマッサージの方法を教えたり、イタリア料理店が家庭でできる本格的なカルボナーラの作り方を教えるなどの講座が開催されている。1講座当たり受講生は3~5人程度と少人数なのが特徴だ。弁護士事務所が結婚前の娘をもつ母親に最低限押さえておきたい離婚の基礎知識を教えるなどのユニークな講座もあり、人気だという。
郊外の大型商業施設や通信販売に対応することが困難な商店が、受講者とのコミュニケーションを通してファンをつくり顧客につなげようという取り組みで、2002年に愛知県岡崎市の中心市街地商店街が「得する街のゼミナール」の愛称で全国で初めて開催し、全国に広まった。
土浦市では、市の勧めで15年に岡崎市から講師を招いて勉強会をスタート。講座を受講した商店主らを中心に有志で実行委員会をつくり、手弁当で取り組んでいる。第1回目の昨年は約25店が参加したという。
2年目の今回は中心市街地の商店のほか、新たに神立地区などの商店も参加、子どもを対象にした「キッズまちゼミ」も初めて登場し、靴屋さんが、より速く走ることができる靴の選び方を教えたり、工務店が、ママとの約束を忘れない予定表ボードの工作教室を開くなどしている。
同市川口のショッピングモール「モール505」で洋品店「マイノリティ」を経営する的場実行委員長は、昨年を振り返り「お客さんが増え成果が上がったという店と、あまり変わらないという店があると聞いている」と話す。一方、2年目の今年は「受講申し込みがすぐにいっぱいになり、開催回数を増やしたという講座もあり、受講者は全体として前年より多いのではないか」という。口コミで広がり、つくば市など市外からも来てくれる受講生もいるという。
昨年から着物の講座を開いている前野呉服店(同市中央)の前野有里社長は「土浦にどんなお店があるのか知っていただく機会になるし、他のお店の人とも仲良くなれる。お店に立ち寄ってくれる人が増えればそれだけでプラス」と意義を話す。
的場実行委員長によると、2回目の今回は、受講者にアンケート調査を実施しており、受講生の声を今後に生かす方針だ。さらに今年は年2回、まちゼミを開催する予定で、秋ごろ開く第3回目は参加店が50店以上に増える見通しだという。