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税収予測の悩ましさ・融通むげ 《文京町便り》17

【コラム・原田博夫】岸田政権は、内閣支持率がなかなか好転しない中、重要な施策にも取り組んでいる。通常国会の会期末(2023年6月)だけでも、次元の異なる少子化対策、防衛財源確保法や骨太方針2023などがある。衆議院の解散風が吹いていたにしては、問題提起・頭出しだけでも重みのあるテーマである。

それを進めるうえで問題になるのは財源・税収の目途(めど)だが、これらの中長期施策では現時点では具体的ではない。そこで野党は、これらの施策の実現可能性には疑問を示している。

毎年度の次年度予算編成の流れは、以下のようである。経済財政諮問会議の骨太方針(6月)、財務省からの予算編成方針(初夏)、各省庁から夏過ぎに歳出に関する概算要求が出され、財務省主計局(および総務省)による予算査定の終盤に(晩秋)、財務省主税局(および総務省)から次年度の税収予測が明らかになる。その前提あるいはフィードバックとして、翌年度の経済成長(GDP成長率)の見通しがセットになる。

これらの予算案・見通しは三位一体の関係にある。どのような施策を行うかでGDPは変化する(施策⇒GDP)、そのGDP次第で税収見積もりは変動する(GDP⇒税収)。同時に、税制・税収いかんでGDPも変わってくる(税収⇒GDP)。

したがって、これらの作業は(翌年度予算編成の最終段階である)12月に同時に進行する。ここで重要になるGDPは名目値である(物価上昇率やGDPデフレーターを差し引いた実質値ではない)。なぜなら税収額が名目値だからである。マクロ計量経済モデル・予測で重視される実質値ベースとは、一線を画すゆえんである。

タナボタ税収はその年度で配分?

税収予測で悩ましいのは、税収の自然増収をどう見込むか、である。経済学の基本概念に税収の所得弾力性(税収の増加率を分子に、課税標準・GDPの増加率(税収の増加を分子に、課税標準・GDPの増加を分母にした割り算)があるが、これは一般的・標準的には1以上である(要するに、課税標準・GDPの伸び以上に税収は増える)。

例えば、法人税を筆頭に所得税や消費税などの主要税目は、税収の所得弾力性は1.1以上である。これは、税務当局にとっては自然体(作為の無い)の増収である。だが納税者にとっては、追加的な余分の税負担である。

しかし、作意が込められる可能性もある。税務当局としては次年度GDP成長率を慎重に見て、次年度税収見込み額を控えめにし、財務省全体で次年度歳出予算の膨張に歯止めをかけようとしているかもしれない。しかし、翌年度は想定上に景気が回復して税収は順調に伸びる(当初予算額を超える)かもしれない。

この増収分も自然増収というが、このタナボタ税収は当該年度で配分される(当初予算歳出額が増額される)可能性がある。

一般会計税収の当初予算と決算の食い違いを対前年度伸び率で比べると、2019年度6.6%増・3.2%減、2020年度1.6%増・4.1%増、2021年度9.5%減・10.2%増、2022年度13.6%増・6.1%増、・決算値は不確定、2023年度6.4%増・予算執行中、という実績である。したがって、一般会計税収の2020年度・21年度ではコロナ禍でも、いずれも、当初予算で想定した以上の決算額が実現していた。

この再現(当初予算額以上の税収額の見込み)を2022年度~24年度で狙っているとすれば、岸田政権の衣の下もおのずから透けてくる。2023年度予算の執行状況が見極められる23年末に、財源の目途をつけると言っているゆえんかもしれない。(専修大学名誉教授)

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