論理的思考力や発想力を採点
中高一貫の私立校、茗溪学園(つくば市稲荷前、宮﨑淳校長)で、一般参加もOKなオープン模試が行われている。中学校で習う出題範囲ながらも国語・数学・英語・理科・社会の5教科について、論理的な読解力、判断力、推論力、表現力を問うオンライン試験だ。29日まで、「ChatGPT(チャットGPT)では解答も採点もできない」という難問へのチャレンジャーを広く受け入れている。
模試は「茗溪オープン2023」と銘打った。同校教育構想推進部、谷田部篤雄部長(35)によれば、学校オリジナルの模試で全国的にも例がないという。
「なるほど、わかった、と学習で得られる感動があって、学びは人生の基礎となる」を掲げた同校の「アカデミアクラス(AC)」設立がきっかけだった。教鞭(きょうべん)をとっていると「学校で習ったことが企業に入ると使えない」現実があった。社会に出てからも学び続けることがますます必要になるこれから、学校で身に着けておくべき学力とは何か? との模索から同校に21年、開設されたのがACだった。
その開設から3年目。中学校の全学年に2クラスずつACがそろい、志願者数を伸ばし、カリキュラムも整った。同校を特色づける教育となり、その趣旨を具体化する校内模試は中学生ばかりか、高校生も希望すれば受けられるようにした。22年度の模試では保護者にも門戸を開くと、約80人が参加したという。
今回は学校外の中学生、高校生に限らず、一般社会人にも門戸を開いて初開催、その真価を世に問う形になった。
その出題方針の1つは、東京大学をはじめとする難関大学の入試で求められる「論理的・抽象的な文章の総合的な読解力」「論理的・分析的な思考力」「試行錯誤的な総合的・創造的思考力」を問う。解き方を変えひねり出すための発想力が問われ、 中1生で解ける者もいれば、高3生でも解けない者も出てくるレベルの問題だ。
逆に初歩的な知識の有無を問うだけの、授業や学校を離れたら意味を失うような、論理的な発展可能性の貧弱な問題は出題しないという。「理論的な基礎」を厳しく判定するために、記述形式はもちろんのこと、選択形式であっても初歩的な選択に誤ると一切の加点が得られない「地雷問題」のような採点をすることで、学習者の到達段階に対して多様なフィードバックを可能にするそうだ。
各教科には制限時間があり、それぞれ100点満点(理科は2分野選択だと各50点)で採点。出題者を中心に教員が採点し偏差値まで通知するが、合否判定は特に行わない。「チャットGPTで試したが解答にならないことが多く、採点にも使えない」(谷田部部長)という。
募集は4月1日から始まり、29日までが申し込み期間、受験時間となっている。所定のメールアドレスを通じ、試験問題と答案提出用紙をダウンロード、印刷して受験後に答案を返送する。これまでに約40人が申し込んでいる。(相澤冬樹)
◆申し込みのURLはこちら。