月曜日, 4月 6, 2026
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公認競技場の存在意義 筑波大陸上競技場(下)

筑波大学陸上競技場(つくば市天王台)が日本陸連の公認を必要とする理由は何か。同大陸上競技部前副主将の伊藤海斗さん、同じく学年代表の池田涼香さんは、同競技場で開催される競技会が、同大陸上競技部の活動に大きく関わるだけでなく、地域の競技者にとっても、主要大会への出場資格となる公認記録を得るための貴重な機会となっていると話す。

競技会は地域貢献にも

陸上競技で、県大会や全国大会などの主要な大会に出場するには、多くの場合、参加標準記録の突破が条件になる。必要な公認記録を取ることができるのは、公認の競技場で開催されるなど一定の条件で開催された競技会に限られる。

同大陸上競技場では年十数回の競技会を開催している。このうち筑波大学競技会は、コロナ前は県内外から毎回5000人ほど、年間にしてのべ約3万人の参加者があった。

主に外部の中高生や一般競技者が記録を取得するための競技会で、同大陸上競技部が運営している。陸上競技の各種目をフルで行う場合、公認審判員や計測員、記録員などの大会係員がのべ200人ほど必要だ。これらの人的資源を学生の協力で賄えるのが大学競技会の利点であり、学生が自力で通える大学の競技場だからこそ可能になる。

照明灯の下で見ると、コース幅の改修や、リレー種目のスタート地点の補修などの跡がいっそうよく分かる

強豪校に不可欠な環境

もう一つ、筑波大学記録突破会がある。学生が自分たちで記録を出すための、学内向けの競技会だ。陸上競技部の目標とするインカレ総合優勝を達成するには、その第一歩となる公認記録の取得が欠かせない。このため学内の競技場が公認を失うことは、陸上競技部にとって大きな痛手となる。

他大学など外部の競技会へ遠征するとなると、参加費や交通費などの個人負担がかさむほか、移動時間が長くなり、選手のコンディションにも影響する。学内であれば良い条件の日を選んで開催でき、より良い記録が出しやすい。

こうした状況はいずこも同じで、陸上競技が強い大学の多くが自ら公認競技場を持ち、競技会を開いている。公認競技場を持たない大学でも、市や県の公認競技場と連携することで同様の体制を築いている。

例えば第3種公認の龍ケ崎市陸上競技場は、ネーミングライツにより流通経済大龍ケ崎フィールドと呼称し、同大陸上競技部が競技会を開催している。今年度は陸上競技会を8回(うち2回は学内向け)、長距離・投てき競技会を2回予定し、参加者は陸上競技会で平均200人、多いときは500人を超えることもあるという。

市との連携望む声も

筑波大学陸上競技場では、ほかに小・中・高校生向けの陸上教室や、パラ陸上教室、指導者研究会なども開催されている。

つくば市内の陸上競技大会の多くも以前はここで開かれていた。だが今は筑波大離れが進んでいる。

同市小学校陸上記録会は、もともと公認競技場を使う必要のない大会でもあり、働き方改革に伴う教員の負担軽減のため、2019年度からは各学園で開かれている。市中学校陸上競技大会は、今年度は第3種公認の石岡市運動公園陸上競技場で開催された。つくば陸上競技選手権大会は、コロナ禍を理由に昨年度と今年度は中止されている。つくばマラソンは、昨年も筑波大学陸上競技場を発着地点として開催されたが、これはコース自体が日本陸連の公認を得ており、競技場自体の公認の有無は関係ない。

現在、つくば市では新たな陸上競技場の建設計画が進められている。同市の人口規模からしてもあって然るべき施設だが、「あえて交通の不便な上郷高校跡に、高いコストをかけて造るのは無駄が多い」「市と大学の連携により、筑波大学陸上競技場の受け入れ能力を最大限活用し、さらなる地域利用を図るのが最適解ではないか」という市民の意見もある。(池田充雄)

終わり

◆公認の陸上競技場を持つ関東圏の主な大学は以下の通り
第3種:筑波大、順天堂大、日本体育大、国際武道大、中央大、法政大、国士館大、東海大
第4種:日本女子体育大、東京学芸大、日本大、一橋大、東京大、帝京大、東京女子体育大、立教大、早稲田大、大東文化大、慶應大
※第3種と第4種の主な違いは、トラックが全天候舗装に限られるか、土質でも可か。

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さくら小学校が開校 TX沿線の学校新設に区切り つくば市

図書館や音楽室を地域に開放 つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区のつくば市中根・金田台地区に新設された市立さくら小学校(同市春風台)の開校式が3日催された。沿線開発に伴う人口増に対応する開校となる。現時点では、2005年のTX開業後、10年代から続いた同市内の小中学校新設ラッシュの最後の一校となる。市内の小学校としては義務教育学校を合わせて37校目。 同校は、児童数増加により教室不足が見込まれる栗原小、栄小、九重小の3校から分離する形で誕生した。6学年全体で特別支援学級を含む24クラスに約570人の児童が通学する予定だ。 2024年7月に着工し、今年2月に工事が完了した。校舎は鉄筋コンクリート造3階建て、内装に県内産の木材を利用した。各階にバリアフリートイレを設置し、車椅子用の手洗い所を設けるなどバリアフリー設備を備える。延べ床面積は約8074平方メートル。総事業費は約66億9500万円。 図書館や音楽室などは地域に開放する。放課後児童クラブ機能を持つ「アフタースクール」を併設し、保護者の就労状況にかかわらず子どもを受け入れるなど、増加する子育て世帯に対応する。アフタースクールの併設は、沼崎小に続いて市内で2校目となる、災害時には地域の防災拠点としての機能を担うため、校舎に約60キロワット、体育館に約20キロワットの太陽光発電パネルを設置し、蓄電池や非常用発電機、LEDソーラー街灯を設置する。 校名や校章は、児童や保護者、地域住民らによる公募とアンケートを経て決定された。校名のさくらは、栄の「さ」、九重の「く」、栗原の「ら」から一字ずつをとった。校章は桜をモチーフに、「温故知新」や自然と科学の調和を表現した。校歌は、歌手の一青窈さんの楽曲など多数のヒット曲を手掛ける常陸太田市出身の作曲家・マシコタツロウさんが作詞・作曲した。 開校式であいさつに立った岡野知樹校長は「子どもたちが失敗を恐れずに挑戦できる環境づくりを目指し、地域の方たちにとっても新しい発見がある場所にしたい」と思いを語った。五十嵐立青市長は「図書館などの施設を地域の皆さんも使いやすいよう設計している。活用されることで、いずれ訪れる人口減少を見据えたコミュニティ形成をしていくことが重要になる。この場所で子どもや先生たちが幸せに過ごし、地域の人たちとのコミュニティの中で手本となるような場所になっていければ」と述べた。 TX沿線の同市の学校新設は、2018年度に研究学園駅周辺の葛城地区に学園の森義務教育学校、みどりの駅周辺の萱丸地区にみどりの学園義務教育学校が開校した。その後、22年12月時点で学園の森義務教育学校の児童生徒数が2000人を超えるなど、新設校の児童生徒数がさらに増加し教室不足が見込まれるなどしたため、ここ数年は新設校を分離する形で新たな新設校が誕生している。23年度は学園の森義務教育学校を分離して研究学園小中学校が新設された。同年には万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区に香取台小も新設された。さらに24年度はみどりの義務教育学校を分離し、みどりの小中学校が新設されている。 さくら小学校のある中根・金田台地区は、市の中央部近くのTXつくば駅から東側約2~4キロに位置し、市内でも人口が増加している地域の一つだ。新興住宅地として整備が進み、将来的には8000人余りが暮らすことが見込まれている。(柴田大輔)