新日本フィルハーモニー交響楽団によるニューイヤーコンサートが6日、つくば市吾妻、ノバホールで開かれる。在京オーケストラがつくばに来るのは、2019年以来3年ぶりだ。楽団員で首席オーボエ奏者の岡北斗さん(45)に意気込みを聞いた。
今回のノバホールでのプログラムは「スターウォーズ」「ハリーポッター」「となりのトトロ」など映画音楽と、正月には欠かせない「美しく青きドナウ」など親しみやすい。
指揮者は、今注目されている若手の一人、角田鋼亮(こうすけ)さん(42)が務める。角田さんは、ドラマ・映画「のだめカンタービレ」で俳優に指揮を指導していた。角田さんと岡さんは共に東京芸術大学出身。大学時代からの友人で、留学先も一緒だった。岡さん自身も「のだめ」のアニメ・映画音楽の演奏に長く関わり、のだめオーケストラで演奏してきた。
岡さんは昨年2022年8月に入団したばかり。「今、自分がメンバーになれたことは、大きな喜び。歴史ある新日本フィルでの演奏はやりがいがある」と語る。愛知県立芸術大学と東京芸術大学大学院時代の恩師で、国内では最も多くオーボエを習った小畑善昭さん(70)をはじめ、数々の名奏者が名を刻んできたからだ。岡さんも長年の新日ファンだった。「演奏を通じて、つくばの皆さんと交流できるのは、とてもうれしい」と話す。
オーボエは、ギネスブックで最も難しい楽器に認定されている木管楽器だ。理由は、音色の決定打になるリードを奏者自身が作ることにあり、常に試行錯誤が必要となる。「オーケストラの中でこそ、オーボエはいきると思っている」と岡さんは語る。
福島市生まれ。「茨城県民の皆さんのことは身近に感じる」という。小学校の音楽の授業で、オーボエを初めて知り、その響きに魅了された。中学でテニス部から吹奏楽部に移り、迷わずオーボエを手にした。愛知県立芸術大学卒、東京芸術大学大学院を修了し、ドイツに留学。帰国後は芸大フィルハーモニア管弦楽団で演奏しながら、母校の愛知県立芸術大学でも学生を指導する。昨年、試用期間を経て、入団を迎えた。
ベートーベンやブラームスが好きだという。つくばでのコンサートにあたり、浮かんできた記憶がある。2001年、岡さんは大学4年生だったが、当時愛知県立芸術大学の専任講師だった和久井仁さん(53)に誘われて、東海村に出かけた。当時愛知県内で活動中だった岡さんにとって、関東での初の本格的な仕事だった。「自分にとって、茨城県は思い出の地。またこうして茨城の地で音楽を届けられることは幸せ」と岡さんは話す。
生活は多忙だ。日々の演奏の仕事や個人練習、リード制作、後進の指導と多岐にわたる中、家庭では保護して6年目になる2匹の猫たちの存在が心の支えになっている。話が猫のこととなると、とたんに岡さんの表情はやわらかくなる。(川澄萌野)
◆「新日本フィルハーモニー交響楽団ニューイヤーコンサート2023」は1月6日(金)午後6時30分から、ノバホール(同市吾妻)で開催。開場は午後5時45分。問い合わせは電話029-852-5881(ノバホール)。