火曜日, 3月 17, 2026
ホームコラムTX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。

県内延伸と東京駅延伸はセットで

なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。

なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。

つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先現TX区間東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。

国際空港と学園都市を結ぶ鉄道?

県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。

TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。

茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。

高度な分担比率政治工作が必要

県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。

先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

62 コメント

62 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

葛城地区周辺11カ所440ヘクタールを区域指定 つくば市 住宅供給に期待

TX沿線開発地区周辺で初 つくば市は6日付で、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の葛城地区周辺おおむね1キロの11カ所計440ヘクタールを区域指定した。同周辺地区は市街化を抑制する市街化調整区域のため、これまでは特定の要件を満たした土地所有者しか住宅を建てることができなかった。指定により、土地があればだれでも住宅などを建てることができるよう都市計画法上の位置づけを変えた。TX研究学園駅周辺の葛城地区(約484ヘクタール)に匹敵する面積となる。 同市がTX沿線開発地区周辺で区域指定を実施するのは葛城地区周辺が初めて。今後、他の沿線地区周辺でも区域指定を実施するかどうかについて、市開発指導課は、葛城地区の区域指定後の住宅の貼り付き状況などをみて検討したいとしている。 今回の区域指定によって建築できる建物の用途は住宅や店舗などで、高さは3階建てに相当する10メートルまでなど。11カ所440ヘクタールは現在すでに集落や住宅、店舗などが立地し、空き地や畑などが混在している。TX沿線は地価上昇が続いている中、今後は区域指定エリアの空き地などに住宅が建ち、より買い求めやすい住宅が供給されることが期待されている。 区域指定制度は、2000年の都市計画法改正で既存宅地制度廃止に伴って新たに設けられた制度。県内では猶予期間を経て06年に既存宅地制度が廃止され、つくば市では07年度から運用が始まった。運用開始に伴って同市は市内全域を調査し、①40戸以上の宅地が連続して建っている②市街化区域から概ね1キロの範囲内にある③人口が減少している集落内にある④宅地率が概ね40%以上である⑤道路や下水道が整備されているーなどの要件がある地区を対象に、これまで市内で計約1900ヘクタールを区域指定してきた。 一方、TX沿線開発地区についてはこれまで、区画整理事業が進んでいたことから区域指定から除外していた。葛城地区では2014年度に換地が実施され、18年度に区画整理事業が完了、現在、住宅が8割以上貼り付いていることなどから、「つくばに住みたいと思っても住めないという声を踏まえて」(市開発指導課)区域指定を実施した。 一方で、土地区画整理事業で開発された葛城地区は、道路や公園、公共施設や学校用地が確保されるなど公共投資により計画的なまちづくりが進められてきた。これに対し区域指定エリアへの新たな公共投資は予定されておらず、民間投資で開発を実施することになる。(鈴木宏子)

コマ回し《デザインを考える》30

【コラム・三橋俊雄】昨年のことですが、小学校で行われた「昔の遊びボランティア」に参加しました。この行事は、地域の大人や保護者が小学1年生に「コマ回し」「けん玉」「メンコ」「羽子板」などの遊びを伝える活動で、私はコマ回しを担当しました。 現代の子どもたちはタブレットやゲームに触れる機会が多く、指先の操作が中心の世界で育っています。デジタルが身近になった分、身体全体を使って覚えるような体験は、以前より少なくなってきているように感じます。だからこそ、昔ながらの遊びが持つ「からだの感覚を働かせる遊び」は、子どもたちにとって新鮮で貴重なものになっています。 1年生は最初、コマがなかなか回らず、何度も失敗しながら、少しずつコツをつかんでいきます。コマ回しは、ひもを巻く力加減、投げる瞬間の手首の返し、投げるときの身体の向きなど、感覚と動きを総動員する遊びです。頭で理解するだけではできず、挑戦を重ねる中で自然と身についていきます。 そうして練習を続けていると、ふとコマが回る瞬間が訪れます。そのときの子どもたちの表情は驚きと喜びに満ちています。こうした身体を通して身につけていく学びこそ、デジタル時代に失われつつある大切な体験だといえます。 また、昔の遊びを教えることは、単なる体験的活動ではなく、世代を超えて受け継がれてきた技が次の世代へと渡されていく、文化の継承でもあります。 絶滅危惧動作 コマ回しの時間には、ゆっくりとした空気が流れ、失敗してもまたやってみようという空気が生まれます。地域の大人と子どもたちが向き合い、励まし合いながら挑戦する姿は、まさに世代間交流の原点であり、今の時代だからこそ必要なことではないでしょうか。 日常生活の中ではほとんど見られなくなり、このままでは消えてしまいそうな身体の動きを「絶滅危惧動作」と言います。 コマにひもを巻いて投げる動作も、まさにそのひとつです。かつては当たり前のように行われていたのに、いまでは日常からすっかり姿を消しつつあります。「お手玉」のリズムを刻む手つき、「あやとり」の細やかな指の動き、「けん玉」の連続した所作なども、同じように現代では触れる機会が少なくなった「絶滅危惧動作」です。 そうした昔の遊びが、子どもたちの手の中でふたたび息を吹き返す瞬間。その場に立ち会えることは、とてもうれしいものです。遊びを通して伝わる身体の感覚や、世代を超えた交流、そして文化が受け継がれていく様子を思うと、昔の遊びを伝える営みは、今の時代だからこそ大切だと感じます。(ソーシャルデザイナー)

全国の「色川さん」集う つくば・土浦でサミット開催

全国の「色川」姓の人々が交流を深める「色川姓サミット」が14日から15日にかけて、つくば市と土浦市で開かれた。色川姓発祥の地とされる和歌山県那智勝浦町色川地区の住民や茨城県内の関係者による実行委員会が主催し、宮城から和歌山まで9都府県から52人が参加した。色川サミットは2014年に色川地区で初めて開催されたのを皮切りに、16年、19年、24年と同地区で開かれ、今回が5回目となる。サミットが和歌山県外で開かれたのは初めて。 ルーツたどる 色川姓は茨城や宮城に多い一方、発祥の地とされる和歌山県の色川地区には現在、同姓の住民はいない。伝承では、平清盛の孫、維盛(これもり)を祖とする清水姓の一族が色川に住み、のちに関東や東北に移り住んだとされる。茨城では、筑波山麓にある現在のつくば市小田を拠点に、鎌倉時代から戦国時代にかけ約400年にわたり常陸国南部一帯を支配した小田氏の家臣となり、その後、土浦に土着。江戸時代の国学者、色川三中(みなか)や明治時代の政治家で土浦の水害対策に尽力した色川三郎兵衛などの人物を輩出した。 サミット開催のきっかけは、ルーツを調べていた色川姓の人が、長年かけて調べた資料を基に色川地区を訪ねてきたことだった。色川地区に住む田古良元昭さん(90)がその思いに共感し、関係者らと「色川姓サミット」を企画。全国の色川姓の人々と色川地区をつないで、歴史や文化を学びながら交流を深めることを目的として始まった。2019年の第3回では、色川神社の脇に「色川発祥の地」と刻んだ石碑も建立した。全国で唯一とされる「色川」という地名の由来を後世に残すとともに、色川姓の人々のよりどころとする思いを込めた。 今回のサミットでは、14日に筑波山中腹のホテル「青木屋」で講演会と懇親会を開催。土浦市立博物館元副館長の木塚久仁子さんが「関東に下った色川家」をテーマに講演し、和歌山から関東に移住した色川氏と小田氏の歴史と、江戸後期の土浦で薬種業や醤油製造業を営み国学研究に取り組んだ、色川三中の歩みを解説。「三中は自身の祖先を知りたいと思っており、『色川』が和歌山の色川出身だということを強く意識していた」と語った。懇親会では参加者は自己紹介を行いながら親睦を深めた。 15日は、小田城跡(つくば市小田)や土浦市立博物館、土浦城址(同市中央)、色川三中の墓がある神龍寺(同市文京町)など、色川氏ゆかりの史跡を巡った。 思わぬ再開 サミットでは思わぬ再会もあった。東京都から母親と参加した色川初恵さん(57)は十数年前、勤務先で行われたAED(自動体外式除細動器)講習で「色川さん」と呼ばれる消防士を見かけたことを覚えていた。珍しい姓のため記憶に残っていたという。今回の懇親会で隣に座った、千葉県から参加した消防士の色川晃平さん(46)が、講習に参加した「色川さん」だった。「縁というものは不思議」と初恵さん。晃平さんも「以前からサミットは知っていたが和歌山までは行けなかった。ルーツをたどりたくて参加したが、こんな奇跡が起きるとは」と笑顔を見せた。 宮城県から妻と参加した色川健一さん(77)は、和歌山で開かれた第2回からサミットに参加している。「先祖の始まりに興味があり以前に色川地区を訪れたのがきっかけ。同じ姓の人が全国から集まり歴史を共有することで絆が生まれる。貴重な経験」と話した。東京・浅草の老舗うなぎ店「雷門 うなぎ 色川」の北村紀子さんは、母親の色川幸子さんと参加。「店には東北や茨城からの『色川さん』が多く来店する。今日その理由がよく分かった」と語った。 続けていきたい 和歌山から訪れた実行委員会会長の浦勝良さん(75)は「関東や東北に色川姓の方が多く、和歌山での開催は距離的な負担もあった。より多くの人に知ってもらおうと関東開催を企画した。土浦やつくばには色川家にとって重要な歴史が残っていると実感した。今後も交流の輪を広げていきたい」と話した。サミットが始まるきっかけを作った田古良さんは「多くの方に参加してもらい、色川地区と色川姓の絆を深めることができた。今後もサミットを続けていきたい」と語った。 色川地区は、和歌山県那智勝浦町にある人口300人ほどの山村で、色川村と呼ばれていた。かつては銅鉱山や農林業が盛んで1950年代には3000人が暮らしていたとされる。現在も、色川茶の産地として知られている。約50年前から移住者を積極的に受け入れてきた歴史があり、現在、住民の半数余りが移住者だという。自身も移住者で集落支援員として活動する実行委員の家村直宏さん(41)は、「色川地区は自然が豊かな土地で、私も5年前に、自然と、地域に愛着を持ち暮らしている地域の方々に一目惚れして家族で移住した。ぜひ、多くの方に関心を持ってもらい、実際に色川に足を運んでいただければ」と語った。(柴田大輔)

TX土浦延伸と「常磐新線」の復活《吾妻カガミ》217

【コラム・坂本栄】1カ月前、土浦駅西口前ビルの大ホールで「TX延伸シンポジウム」が開かれました。どんな議論になるのかと興味を持ち、私ものぞいてみました。ポイントは2月19日掲載の記事にまとめましたので、そちらを読んでください。今回のコラムでは、パネリストの意見を聞きながら勝手に妄想したことを三つ記しておきます。 妄想1・2:TXをJRが吸収 討論会の目的は、現在つくば止まりのTX(つくばエクスプレス)を土浦まで伸ばしてもらうための世論喚起にありました。実現すれば、新沿線周辺がにぎやかになり、土浦-つくばの行き来が楽になります。当然ですが、土浦市長と地元高校生は地域振興と利便性向上のメリットを強調しました。 茨城県の担当課長は、延伸のメリットは土浦エリアにとどまらず、JR常磐線経由で水戸エリアとつくばエリアが結ばれるメリットを指摘しました。県内の2大経済・文化・教育圏が鉄道でつながれば、人の往来が活発になり、両エリアの活性化を図れます。JRあるいはTXが不通になった場合、土浦駅経由で代替輸送ができますから、危機管理上もプラスです。 こういった発言を聞きながら、二つのことを妄想しました。水戸-つくばをスムーズに運行するには、JR東日本がTX運行会社を吸収合併し、単独社の管理下で相互乗り入れを実現させる―これが一つ。その際、「つくばエクスプレス」を「常磐新線」に名称変更する―これが二つ目です。計画段階のTXの名前は「常磐新線」でしたから、元の名前に戻すということです。 妄想3:茨城空港の2滑走路化 昨秋に掲載したコラム210でも触れたように、茨城県はTXを土浦駅経由で茨城空港(小美玉市)まで延伸する構想を描いています。討論会ではこの話は出ませんでしたが、私の頭の中では空港延伸もチラついていました。 県は、茨城空港の利用者が今後増えることを展望し、昨夏、その機能を強化する計画を策定しました。ポイントは、①滑走路沿いに機体移動用の走路を設ける②利用者増に対応し空港施設の機能を強化する―です。TX空港延伸は、今は自動車だけの空港へのアクセス手段を広げ、「ローカル空港」を羽田、成田に次ぐ「首都圏第3空港」に格上げする構想を踏まえたものです。 しかし、茨城空港には滑走路が1本しかなく、事故時には使えなくなるという欠陥があります。これでは首都圏第3空港の要件を満たせません。米軍横田基地(東京都)を日本に返してもらい、茨城空港に隣接する自衛隊百里基地を横田に移し、百里の滑走路も茨城空港が使う―これが、妄想の三つ目です。米軍にはハワイかグァムまで退いてもらいましょう。 地域を大きく変える鉄道インフラ 首都圏第3空港化とセットで、茨城空港-土浦-つくば-東京、茨城空港-石岡-水戸の鉄道経路が完成すると、茨城県、隣接県の使い勝手が格段によくなります。特に、欧米亜と空港経由で結びつく研究学園都市、TXとJRが交差する土浦の役割はアップするでしょう。もちろん、どう使いこなすかですが…。 先日、ある会合で同席した東京工業大(現東京科学大)卒の若手エンジニアはこんなことを言っていました。住まいは子どもの教育を考えてつくば市。重機大手の日立建機(4月からLANDCROSに社名変更)設計者ということもあり、仕事場は土浦工場、常陸那珂工場、東京本社など。同社最大の輸出市場は米国。TX土浦延伸、さらに茨城空港延伸が実現すると、彼の生活+仕事はスムーズに回ることでしょう。(経済ジャーナリスト)