【崎山勝功】東日本大震災から7年を迎えるのを前に、福島第1原発事故による福島県避難者交流会が25日、つくば市松代の松代交流センターで開かれた。被災地支援に取り組む筑波大学の学生団体「Tsukuba for 3・11」が主催し、避難者や筑波大生など約20人が参加した。筑波大生からは、7年経ち支援の在り方を模索しているという声が聞かれた。
「ありがとアート~日常へ感謝をこめて」と出した交流会で、避難者が身の回りの出来事や感謝のメッセージを折り紙などに書いて、貼り絵のように大きな木の形をつくる「ありがとうの木」作りと、使用済みの食用油でつくったロウソクを用いた「エコキャンドル」作りが行われた。
「ありがとうの木」は4グループに分かれ、チラシなどを使って貼り絵をしたり、折り鶴を貼るなど制作に取り組んだ。さらに葉っぱの形に切った折り紙に感謝のメッセージを書いて模造紙に張り付けた。完成した「木」は、3月1日から4月下旬まで筑波大学第3エリアA棟1階に展示される。
午後に行われたエコキャンドル作りでは、さいの目に切られたさまざまな色のロウソク原料が用意され、参加者らは空き瓶や卵の殻に詰めてロウソクを自作した。エコキャンドルは例年3月11日、土浦市の震災イベントで点灯されてきたが、今年は主催者の都合により開催されないため、参加者が各自持ち帰った。
参加した福島県南相馬市出身の主婦(62)=つくば市在住=は「ありがとうの気持ちを手作りのもので表現できるのは素晴らしい。私たちはいろいろな人のお世話になって現在まできている」と話した。南相馬市にあった自宅はすでに解体し、つくば市に永住する予定という。
学んだこと「日常は当たり前じゃない」
同団体メンバーの池田花於里(かおり)さん(19)=同大1年=は「3・11から学んだことは、日常は当たり前じゃないということ。参加者と一緒に日常を振り返り、何に感謝しているか、何に感謝すべきかを改めて確認するイベントにした」と狙いを語った。交流会のコンセプトを決める際「復興支援を手伝っているが、震災から7年も経って復興支援と言い続けることに疑問を感じた」という意見が出たことから日常を振り返るイベントにしたという。一方で「避難者の参加が減っている。どういう方向で進めていったらいいか悩んでいる」と話し、支援のあり方を模索していると述べた。
代表の小林彩香さん(20)=2年=は、7年経ったが移住先の環境になじめずに周囲から孤立する避難者がいるとした上で「震災から時間が経っていくと、逆に心の傷や、福島に帰れないという思いが募って、交流会に出てこられなくなってしまう面があるのかなと思う。どこまで避難者を支援していけるのかがこれからの課題」と話した。「震災から7年も経つのにふるさとに帰る目途が付かない、帰るに帰れないので、つくばに永住しようか迷っている人もいる」と避難者の複雑な心境を明かし、「当事者に寄り添う姿勢を大事にしていく」との姿勢を改めて明確にした。