構想を提案、アート拠点として活性化へ
建築家、磯崎新さんによるポストモダン建築の代表作、つくばセンタービル(つくば市吾妻)が来年6月に40周年を迎えるのを前に、40周年プレイベントとなるシンポジウム「ポストモダンの殿堂 つくばセンター・アートミュージアム構想」が11月3日、同ビル内のホテル日航つくばで開かれる。
ホテル、コンサートホール、市民活動拠点、オフィスと、中央広場などで構成されるつくばセンタービル全体を、市の新たな情報発信基地と位置づけ、アート拠点として活性化させようという構想を提案する。
市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が主催する。同会は、つくば市が同ビルの中央広場にエスカレーターを設置するなどのリニューアル計画を発表したことをきっかけに昨年、発足した。昨年6月には「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題したシンポジウムを開催し、リニューアル計画の見直しを求めてきた。さらに市に要望書を提出し、リニューアル計画は大幅に見直された。今回は第2弾のシンポジウムになる。
磯崎さんが設計した同ビルは、ルネサンスの巨匠ミケランジェロの代表的なカンピドリオ広場の空間造形が中央広場に埋め込まれ、傍らにギリシャ神話に登場する女神ダフネの彫像が立つ。18世紀を代表するフランス革命期の建築家ルドゥーが構想した理想都市への敬意が込められ、さらに20世紀のセックスシンボル、マリリン・モンローの肢体の緩やかなカーブが空間の輪郭やロビーの椅子に密かに仕込まれている。さまざまなアートの集積として誕生した建築であることから、ビル全体をアート拠点として活性化させ、新たな情報発信基地として再生させる提案をする。
シンポジウムでは、筑波研究学園都市の建設当初から都市の成り立ちと変遷の写真を撮り続けてきた、つくば市在住の写真家、斎藤さだむさんが「写真でみるセンタービルとつくば」と題して話すほか、筑波大学の鵜沢隆名誉教授が「かつて筑波サロンで語られたこと」、神奈川大学の六角美留教授が「つくばvs水戸 磯崎新の創造した“にわ”」をテーマに話す。続いて筑波大学の加藤研助教の司会で、今後どのようにセンタービルを活性化するかについて、参加者と一緒に議論する。
会場となる同ホテル3階宴会場「ジュピターの間」に続くロビーの大理石の壁には、「時の歩廊」と呼ばれる、パルテノン神殿のような柱が等間隔で並んだ列柱廊のレリーフが描かれている。これまではカーテンで覆われていて見ることができなかったが、ホテルがイベントを機にカーテンをはずし、レリーフを見ることができるという。
代表の冠木さんは「(つくば市によるリニューアル)計画の見直しで建物の意匠を守るという目的が達成できた。今後はどのように活性化するかに踏み込んでいく。(センタービルで)こんなことをやりたい、あんなことをやりたいという人が1人でも2人でも出てきてくれたら。また、やりたくてもどう実現したらいいのか分からないということがある。市民の意見を吸い上げるシステムの構築も必要」と話す。(田中めぐみ)
◆つくばセンタービル40周年プレイベントは11月3日(木・祝)午後0時30分から3時。つくば市吾妻のホテル日航つくば本館3階、ジュピターの間で開催。参加費無料。定員100人。参加申し込み・問い合わせは「つくばセンター研究会」ホームページへ。