金曜日, 3月 20, 2026
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茨城発高温ガス炉と原発再稼働 《ひょうたんの眼》53

【コラム・高橋恵一】岸田首相は、エネルギー政策として、既存原発の再稼働と新たな原発の導入を打ち出した。原発の再稼働には、自治体の了解のほか、安全確保と避難計画の策定が必要で、再稼働の条件がなかなか整わない。

広島、長崎などの犠牲を受け、反省を込めて、人類の智恵を生かす試みが原子力の平和利用であった。医療や工業技術への成果があり、エネルギー面の活用が原発であり、その実践に踏み出したのが東海村の原発である。平和利用先駆け県の茨城では、既存型の原発とは別に、日本原子力研究開発機構・大洗研究所で、高温ガス炉の開発が進められている。

高温ガス炉は小型の原発で、既存原発の利用可能温度が300度程度であるのに対し、1000度以上の熱を取り出す。溶鉱炉にも利用できそうだと、米国はじめ各国が開発に取り組んだが、高温が達成できず、米国は開発をあきらめた。

日本、ドイツ、ロシアだけが実験を続け、大洗研が900度の熱取り出しに成功したのが2005年だった。900度は製鉄には向かないが、大洗研は水を分解して水素を発生させ、さらに余熱で発電することに成功した。高温ガス炉は1機で30万人都市の電力と燃料としての水素を供給できる。

実用化すれば、ロス割合が高い長距離送電が必要なくなるし、新興国の都市密度の低い地域のエネルギー供給には極めて有効と考えられる。

高温ガス炉は、炉心は黒鉛を構成材に用い、熱の取り出しは安定元素(爆発しない)のヘリウムガスを用いる。燃料の核物質は4重被服のセラミック使用のペレットで、炉心溶融や放射能放出事故の恐れのない、安全な原子炉とされている。

つまり、事故時、住民避難の必要がない原子炉とされている。使用済み核燃料処分の課題は残るが、温暖化ガスを空中にまき散らす化石燃料より、安定地層に保管する方が現実的かも知れない。

原発の再稼働・新設は止めるべき

岸田首相のエネルギー政策では、東海第2原発も再稼働の対象だが、90万人もの避難計画を策定する必要があり、現実味がない。福島の例を見れば、いまだに帰還困難区域があり、避難の概念からはかけ離れているだろう。地震や津波、隕石(いんせき)や航空機の墜落などがあっても、安全が確保できない限り、原発の再稼働あるいは新設は止めるべきだ。

福島の事故については、政治的な事情で曖昧になっているようだが、元々、原子炉の暴走を止めることができる安全装置(自動復水器)を止めてしまったことなど、運転側の基本的なミスだった。緊急ブレーキのない原発などありえない。どのような先端技術も、基本の技術・操作を無視しては成り立たないのだ。(地図好きの土浦人)

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