月曜日, 3月 9, 2026
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「詩人市川紀行の世界」が刊行される 《邑から日本を見る》122

【コラム・先﨑千尋】私の同志の1人である美浦村の市川紀行さんが、このほど「現代詩のありか-市川紀行の世界」(水戸・泊船堂)を出版した。帯に「『詩人村長』市川紀行。若き日、ランボオと出会い、以来、詩作を止める事はない。市川は、2021年『詩撰集ANTHOLOGY(アンソロジー)』をまとめた。友人4人は、所収詩を読み、詩論、感想、詩作の背景、活動を著した」とある。

今回の著作の紹介の前に、市川さんの歩みをウイキペディア風に紹介しておく。

市川さんの父は満鉄調査部社員だった。1940年に中国撫順で生まれた。戦後、牛久村(現牛久市)に帰国した。近くに住井すゑさんが住んでいて、書庫に入り浸りし、すゑさんからは「ノリちゃん」と呼ばれていた。

土浦一高から北海道大学農学部に入り、1968年に高校同級の市川昭子さんと結婚、美浦村に住む。美浦村議を経て、83年に42歳で村長に当選した。

在職中に手掛けたことは、全国初の「村の第九」演奏会などいろいろあるが、何といっても、縄文遺跡陸平(おかだいら)貝塚の保存と活用が歴史に残る大業績だ。それができたのは、セゾングループの堤清二会長と詩を通してウマが合ったこともあるようだ。99年に村長を4期で退任した。

退任後、地域劇団「宙(そら)の会」を主宰し、オリジナル創作劇公演を行った。また地方自治研究会「一望塾」を立ち上げ、市町村長や議員の育成を行った。2014年には「東海第二原発の再稼働を止める会」の共同代表になった。3年前に、心臓大動脈と弁膜の手術を受けている。

その礎には「人」があり、「愛」がある

本書は5章から成る。序論といえる市川さんの「現代詩のありか」に続いて、友人4人がそれぞれ市川さんの詩を論じ、市川像を語る。私が知らない世界がパッと現れてくる。

「言葉の旅人 散文詩『美はいつも』に寄す」を書いた波田野頌二郎さんは、北大の仲間。倉吉市役所で図書館などに勤務し、文化運動に関わった。

「詩に現われた言葉はどんな小さな言葉でも、他の言葉と出会うと新しい世界へ繋がる。それが詩の言葉の不思議というもの。言葉は詩の中で旅をする。詩人も言葉とともに旅をする。…読む私たちも」

「言葉の花摘み 『アンソロジー』へ」は山本哲士さん。茨城県近代美術館などに勤務し、現在は地域事業、観光企画などをしている。

「『アンソロジー』は、表現と出会い、思いを広げる楽しさを教えてくれた。その礎には『人』があり、『愛』がある。人としてのやさしさがあった。彼の『アンソロジー』には、彼が出会った様々な世の草花たちが、言葉という形に変わり、摘み籠に入っている」

「言語声調の激流 詩と地域を貫くもの」を書いた島亨さんは出版社・言叢社の社長。惜しむらくは、本書の出版を見ず、今年2月に亡くなった。

「透徹した表現世界の彫塑にこだわった青春期の詩篇が私たちに伝えるのは、おそらく、後年の地域文化へと深まる意思を支えた『言語声調への信』の大きさではなかったか」

「漂泊から定着へ 詩人とまちづくり」を書いた増尾尚子さんは、市川家の隣の家に生まれ、後に美浦村職員として市川さんを支えてきた。

本書はA5判186ページ、税込み1500円。川又書店(水戸市)、マスゼン書店(土浦市)、須沢書店(牛久市)、栄文堂(龍ケ崎市)で購入できるが、直接購入の場合は市川紀行さん(電話0298-85-0446)へ。(元瓜連町長)

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私学の授業料無償化の波紋《竹林亭日乗》38

【片岡英明】2026年度から、私立高校生に年間45万8200円の就学支援金が支給される。これに伴い、授業料は月約3万8000円軽減される。入学金や施設費などの支出もまだあり、無償には遠く、今後の課題もあるが、私学への入学者が増えると予想される。しかし実際のところ、私学では入学者確保に危機感が高まっている。そこで今回は、授業料軽減が入試に与える波紋について考えたい。 中学卒業者600人減、県立志願者1300人減 今年の県内中学卒業者が昨年比637人減の2万4555人になった中、全日制県立高の志願数は昨年より1344人減った。なぜ、卒業生減を超える受験者減が生まれたのか? 私学の推薦枠が24校で3300人と昨年より500人増えたので、県立減少分の多くが私学推薦に移ったともいえる。一方で、私学一般入試は1000人減となった。 このほか私学一般入試での単願入学や、併願合格から単願への切り替えも、私学入学者増に寄与しているようだ。ここまでは、就学支援初年度の動きとして想像できる。 では、今年の県立高入試はどうか。県立高84校1分校の志願状況を見て、多くの人が驚いた。定員を超えたのは進学校を中心に37校(昨年は50校)で、多くが定員割れだった。それに伴い、不合格者数は1016人(昨年比715人減)で、合格発表後の私学への入学手続数減が予想され、私学関係者の間に激震が走っている。 私学入試での推薦500人増と一般1000人減から、受験者や保護者が早めに安心できる高校の合格を確保したいとの希望も見える。就学支援金の初年度に、私学の推薦増と県立高の志願者減、それに伴う県立発表後の私学への手続き減という、3つの波が生まれた。 そのため、県にとって県立高の「魅力アップ」が重要課題になり、一方で私学は授業料が安くなった初年度の推薦増がこれからも続く学校にしなければならないと、公立も私立も魅力向上の必要性を感じる事態となった。 県立高の定員割れをどう見るか? 毎年、いくつかの県立高を訪問し、その高校の魅力と伸びる可能性を感じてきたので、今年の定員割れは残念である。私学への就学支援金初年度の定員割れは、受験生たちの「もっと学校の魅力を教えて」という叫びと考えたい。 公私の授業料格差が小さくなった今、進学実績やスポーツだけでない、生徒の日常の学び・青春・進路などの魅力を、地域と連携しながら伝える公私の学校づくりが必要になった。教職員一人ひとりが、我がこととして学校の魅力を語る時代になった。魅力ある学校づくりのために、学校改革に精を出していたころの読書ノートからの抜き書きを下に紹介し、現場教師を励ましたい。 「良い物はその良さが知られなければならない。知られてこそ良い物が良いものとして生きる」(「男たちの経営」城山三郎著、角川文庫)、「新しくできた競合店にお客を取られるということは、競合店ができる前からそういうところがあったからに他ならない」(「商売の原点」鈴木敏文著、講談社)。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

店頭など44カ所にミモザ飾る セキショウグループ 8日は国際女性デー

3月8日は国際女性デー。関彰商事(本社・筑西市・つくば市、関正樹社長)は6日から、同社オフィスのほか、グループ企業のガソリンスタンド、自動車販売店など県内外44カ所のオフィスや店舗に、黄色いミモザを使ったフラワーアレンジメントを飾っている。 国際女性デーは「ミモザの日」とも呼ばれることから、さらなるジェンダー平等の社会実現を願い、国際女性デーに合わせて実施する。2021年から毎年飾っており、今年で6年目になる。 同つくば本社総務部総務課の斉藤弘美主任は「ミモザはイタリアでは女性への感謝を表現する花とされている。国際女性デーに合わせてミモザを社員の目につくところに置くことで、感謝だけでなく、男性社員と女性社員双方が日頃支え合って業務が成り立っていると思うので、そういうものをミモザを通して感じていただけたら。関係性が良くなることで男性社員も女性社員も働きやすい関係が整えられて、事業がうまく回って進めていけるきっかけになれば」と語る。 同広報部広報課の石井雅也さんは「各拠点44カ所にミモザを飾ってあることが、社員同士だけでなく、社員とお客様の会話のきっかけとなり、『どうしてミモザなんですか』などの会話から、女性活躍に関する理解が深まるきっかけになったらすばらしいことだと思う」と話している。 国際女性デーの8日にはミモザを飾ってある店舗で女性の来店客を対象に、ガソリンスタンドでは花の種、自動車販売店ではミニハンドクリームを先着順でプレゼントするという。 同社は、採用、労働時間、多様なキャリアコース、管理職比率など女性活躍の取り組みが優良だとして、2016年に厚労省から「えるぼし」の三ツ星認定を受けている。同社の女性役員は現在3人(昨年は2人)、管理職は23人(同21人)。 国際女性デーは、国連が定めた女性の社会参加を願う日で、イタリアではミモザの日と呼ばれ、女性に感謝を込め、幸福の象徴であるミモザが贈られている。