つくば市の旧総合運動公園用地(同市大穂、45.8ヘクタール)と、つくば駅前、吾妻70(通称、ななまる)街区の国家公務員宿舎跡地(同市吾妻、6.4ヘクタール)について、いずれも11日から、都市計画変更に向けた縦覧手続きが始まった。2カ所とも来年4月中旬の都市計画変更を目指している。
旧総合運動公園用地は、つくば市土地開発公社が外資系物流不動産会社グッドマンジャパンつくば特定目的会社に一括売却し(8月30日付)、データセンターや物流拠点が建設される計画。吾妻70街区は土地所有者の財務省と市が、イノベーション拠点と中高層住宅などのスマート街区を誘導する計画だ。
変更案によると、旧総合運動公園用地は用途地域を現在の第2種住居地域から、倉庫などが建設できる準工業地域に変更する。さらに第2種文教地区の指定をはずし、新たに地区計画を策定する。地区計画に定める建物の壁面後退位置は、外周道路または敷地境界から20メートル後退させ、その他の道路または隣地から2メートル後退させる。緑化率は最低10%とし、街区外周に10メートルの緑地帯を設けるなど。
縦覧に先だって9月27日と10月2日に市役所で説明会が開かれ、参加者から「9割がデータセンターと物流拠点になる。市民からはもっと多様な意見があった。本当に地域振興や市民の利益になるのか疑問が残る」などの意見が出た。
予定地は長年手つかずのまま、現在樹木が生い茂る森林になっている。事業者による希少な動植物調査について市公有地利活用推進課は、プロポーザルの実施要領では、敷地内の野生動植物に配慮することとなっているとし、さらに契約書では、止むを得ない場合を除き、来年4月末までに都市計画変更が完了しないことが確実になった場合、事業者に契約解除権があると定められているとした。
イノベーション拠点とスマート街区を誘導
一方、吾妻70街区は、研究機関、スタートアップ企業、ベンチャー企業、その他の業務施設などを誘導するイノベーション拠点地区と、中高層住宅と生活利便性施設を整備し最先端技術を街区単位で実現するスマート街区の二つの街区を誘導する。
変更案の用途地域は、現在の第1種中高層住居専用地域から、事務所やホテル、病院、床面積50平方メートル以下の作業所などを建設できる第2種住居地域に変更する。さらに地区計画を策定して、スマート街区の中高層住宅は高さ制限を45メートル(15階建てマンション相当)とし、壁面後退位置は学園中央通りから5メートル後退、道路から2メートル、隣地から1.5メートル後退させる。緑化率は15%とし街区外周に緑地等を設置するーなど。
学園地区市街地振興課はイノベーション拠点地区について、大学や研究機関のサテライトオフィスや交流スペースなどを想定しているとした。敷地内には元保育所用地(現在は駐車場)や公園、遊歩道など市有地が0.99ヘクタールある。そのうち元保育所用地0.29ヘクタールは今後活用を検討し、公園と遊歩道は市有地のままとするとしている。
70街区について、財務省関東財務局と市は昨年、民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)を実施し、今年3月、二段階一般競争入札で売却を行うと発表している(3月22日)。市は70街区をスーパーシティの拠点の一つにする計画を国に提案している(8月4日付)。一方、売却スケジュールは現時点で未定という。(鈴木宏子)
◆都市計画変更に向けたスケジュールは2カ所とも、用途地域の変更案などの縦覧は11日から11月11日まで閲覧することができ、変更案に対する意見を述べる公聴会の公述申し出を25日まで受け付ける。公聴会は11月11日に開催される。一方、地区計画については11日から10月25日まで縦覧できる。地区計画に対する意見書を出すことができるのは地権者などのみ。変更案はいずれも市ホームページと市役所3階の都市計画課で縦覧できる。