秀峰筑波義務教育学校(つくば市北条)の開校に伴い2018年に廃校となった9小中学校の1つ、旧筑波小学校(同市国松)にインターナショナルスクールの誘致計画が浮上している。跡地利用についての意見交換会が9月に、2回にわたって同市沼田の働く婦人の家で開かれた。
開設を表明しているのは、東京都江戸川区で「グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール(GIIS)」名で3つの学校を運営しているグローバル・スクールス・ファウンデーション(GSF、本部・シンガポール)。誘致しているのは、茨城県庁で国際渉外などを手がける営業戦略部。つくば市の経済部産業振興課を通じ学校跡地を貸借できないか打診してきた。
2回目の意見交換会は26日開催された。GSFの日本法人(株式会社組織)であるグローバル・インディアン・エデュケーション(GIE)から3人の関係者が説明に訪れ、県、つくば市の担当者らと、地域住民らの質問に答えた。約25人が参加した。
県によれば、つくば市周辺では半導体メーカーのTSMCジャパン3DIC研究開発センター(同市小野川)など世界的企業の進出が次々と決まり、外国人子弟の教育環境ニーズの高まりがあるとして支援する構えを見せている。「日本人生徒も数多く学ぶ学校で、地域への移住促進にもつながる」と誘致に動いた。
開設の意向を示したGSFに対し、県は市と調整し今春、校舎の耐震基準などを満たす市内3カ所の適地を紹介。夏までに旧筑波小跡地に絞り、今後の交渉を進めることになった。市は「地域に受け入れらなければ進められる問題ではない。今回の開催は説明会ではなく意見交換会。きっちり意見を聞いて、貸与について検討したい」との構えだ。
GSFは2002年、シンガポールに初のGIISを設立した。以来20年間でマレーシア、日本、インドなどの7カ国に展開、21以上の学校から成り、2万人超の学生が在籍している。日本では、2006年に江戸川区にキャンパスが設立され、現在1000人超が学んでいる。
未就学児から高校3年生まで、15年間の一貫教育を展開する。教育の中身としては、IT授業(小1からプログラミングを学ぶ)、言語教育(英語を中心とした3カ国語を学ぶ)が特色で、インドカリキュラムと国際バカロレアによる教育システムを取り入れる。
つくばでは特に「ヨガなど地域向けのカルチャースクールや校庭開放なども考えている。地域に貢献する学びの場を作ることを目指している」という。今後のタイムテーブルは示されなかったが、まずは幼児教育からスタートして、成長に応じ児童・生徒数を増やし、高校生が学ぶ段階では500人規模の学校になるとした。
質問では、同小跡地が土砂災害警戒区域に指定されていることを危ぶむ声、通学バスと交通環境の問題、今回までの経過説明がないという透明性に関わる指摘などがあった。一方「この地域は人口が減っている、諸々の問題はあると思うが、学校誘致に期待したい」という声も上がった。(榎田智司)