つくば市作谷で染色体験教室「ぷにの家」を開いている飯塚優子さん(50)が提唱する「耕作放棄地をお花畑にして地球を黄色く染めよう」プロジェクトが佳境を迎えている。作谷の耕作地で、このほど第4回「お花畑を空から見てみよう~ドローンで撮影&お花つみ会」が催され、10月2日の「お花つみ&マリーゴールド染め」で最終回を迎える。
プロジェクトは、不登校児童生徒の支援などをするリヴォルヴ学校教育研究所(つくば市二の宮)が運営する地域文化スポーツクラブ「むすび場」との2団体による企画。作谷にある約2000平方メートルの畑地を耕し、6月からマリーゴールドの苗を植え、草取り、花摘み、染色など全5回の行事を積み重ねてきた。
飯塚優子さんは25年のキャリアを持つ染色家(21年10月30日付)。転勤族の親のもと様々な土地で生活してきたが、田舎暮らしへの憧れから、作谷にある祖母の暮らす築300年の家で生活を始めた。「ぷにの家」はその染色工房。「収益のためではなく、教育と地域活動の一環として」の取り組みだそうだ。飯塚さんは旧作岡小学校でPTA会長を務め、ご当地カルタを考案し、コミュニティー活動の下地をつくってきた。
今回は「染色家なのだから、地球も染めてしまおう」と踏み出した。つくば市に13%あるとされる耕作放棄地をお花畑にすることで景観の改善を図りたい、また、持続可能な活動の重要性を子供たちに知ってもらいたいという教育的な意図から、プロジェクトを実施することにした。
しかし、実際にマリーゴールドを育ててみると、花がうまく育たない。消毒をあまりしなかったためか、ネキリムシの被害に遭った。一帯を広く黄色く染めるはずが、出来てみると5分の1の面積にしかならなかった。農薬を使いこなさないと立ち行かない農家の現実を知ることになった。「うまく花が育たないのも、自然のことだと納得した」という。
ドローン撮影会当日は台風が接近するなか、奇跡的に雨が止んだ。参加者は延べ22人。「ぷにの家」から約300メートルを歩いて、お花畑に向かった。黄色とオレンジのマリーゴールド。ひまわり畑もある、参加者は各自手提げ袋を持って花を摘んだ。たくさん摘んでもらうほど、次の収穫につながるだという。
筑波山は山すそを残し、雲に覆われたが、ドローンは空中に舞い上がった。お花畑を動画に収めるとともに、全員そろって記念の集合写真も撮ることができた。
飯塚さんは「お花畑は思った通り咲かなかったけれど、みんなの素敵な笑顔が咲いた。とてもうれしい気持ちになりました」と語った。(榎田智司)
◆「ぷにの家」提供の動画はこちら。耕作放棄地をお花畑にして地球を黄色く染めようプロジェクト第5回「お花つみ&マリーゴールド染め」は10月2日(日)午前10時~午後2時(予備日は16日)。申し込みは30日までにこちらの応募フォームへ。