25日、自立生活センターで
障害児を持つ保護者を対象に、学校生活の悩みを共有するための座談会「障害があると違う学校に行かなきゃダメなの?先輩の経験談から考えるインクルーシブ教育座談会」が25日、つくば市内で開かれる、障害者の地域生活を支援する当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(川島映利奈代表)が主催する。同団体は障害児の将来の自立をサポートする「ほにゃらキッズ」という活動に取り組んでおり、今回の企画はその一環となる。
座談会では、小中学校時代に市内の普通学校に車いすで通い、現在は寮で生活しながら県外の大学に通う子を持つ女性と、小学校から高校まで普通学級で学んだ障害当事者で、ほにゃらメンバーの川端舞さんが登壇し、介助を必要とする子供が学校で直面した課題と向き合い方、その後の歩みについて具体的な事例をもとに話す。後半には参加者からの質疑と座談会が予定される。
共有できる機会少ない
ほにゃら代表の川島さんは(40)は開催のきっかけを「学校で適切なサポートを受けられず悩む、普通学校に通う障害児の保護者たちから相談があった」と話す。市内外の保護者から、支援不足から親が学校生活に付き添わなくてはならない、子供が周囲と馴染めず疎外感を覚える、授業についていけない、学校生活に必要な情報不足などが寄せられているという。
「友達と同じ学校に行きたいという子供の思いを受け、通学できるよう頑張るお母さんがいる。でも、いざ学校に通うと、親も子も様々な悩みを抱えてしまう。通いたいはずの学校で傷つく子供の姿に、自分を責めてしまう母親もいる」とし「障害児の母親は学校で少数派。悩みを共有できる機会は少ない」と川島さんは話す。
支援員 足りてない
学校には、食事、排せつ、教室の移動や授業など、個別の支援が必要な児童・生徒を支援する特別教育支援員がいる。つくば市では「教育補助員」として2000年度より小中学校に配置を始めた。市によると5日現在、小学校は29校すべて、中学校は12校中6校、義務教育学校は4校すべてに、計144人が配置されている。
国全体では2006年の学校教育法等改正により、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級だけでなく、普通学級においても障害などにより支援を必要とする子どもに対し適切な教育を行うことが明確化された。しかし「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)の20年調査によると、全44市町村の教育委員会に「支援員が足りているか」と質問したところ、6割超の27市町村が「足りていない」と回答し、保護者が学校に付き添っている自治体は8市町村あった。
一方、16年に施行された障害者差別解消法により、障害児も他の子供たちと対等に学校生活を送れるよう合理的な配慮をすることが公立学校での法的義務となった。教育現場での「合理的配慮」は、日本が14年に批准した障害者権利条約で「障害者が健常者と同様にあらゆる教育を受けられる」権利として定められている。
川島さんは「当事者同士、互いの生の声を聞ける機会を大事にしていきたい」とし、「情報が少ないことで一人で悩む保護者もいる。体験談を聞くことで、一人じゃないと思ってもらいたいし、必要な支援を受け地域で暮らしていくために、何が必要か共に考えていきたい」と話し、「現在困っている方に参加してもらいたい」と呼び掛ける。(柴田大輔)
◆同教育座談会は25日(日)午後1~3時、つくば市天久保2-12-7 アウスレーゼ1階 つくば自立生活センターほにゃら事務所で。対象は普通学校に通っている、または通うことに関心のある障害児童生徒の保護者。参加費無料。定員10人(先着順)。申込締切は18日(日)。申込方法はインターネットから申し込む。問い合わせは電話029-859-0590またはメールcil-tsukuba@cronos.ocn.ne.jp (ほにゃら)で。