金曜日, 12月 26, 2025
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気候変動再現の環境で栽培ロボット働く つくば・農研機構に人工気象室

作物を栽培する環境を再現できる人工気象室「栽培環境エミュレーター」に、ロボット計測装置を導入した「ロボティクス人工気象室」が農研機構(つくば市観音台)で運用を開始し、2日報道陣に公開された。スーパーコンピューター「紫峰」と連動した研究基盤として開発され、気候変動に伴う高温多湿などの環境において、収穫時期、収量、品質など作物の性能がどう変化するか、精密な推定を可能にする。

研究室内に野外の環境を人工的に模擬することを「エミュレート」という。作物の栽培環境を精密に再現できる「栽培環境エミュレーター」の開発は2019年度から始まり、農業情報研究センターの研究室に、内寸で幅172センチ×奥行き172センチ×高さ185センチのボックスが4基設置された。高機能タイプ2基、標準タイプ2基があり、温度は高機能では5度Cから35度C、標準では15度Cから32度Cの間で制御する。

湿度や二酸化炭素濃度のほか、LED光源により光量や紫外域を含む波長の調整もできるようになっている。風水害の再現はできないが、干ばつなど世界各国で顕著になっている気候変動の動態を、きめ細かなデータ制御によって再現する。

このエミュレーター内に置かれるのが、作物の大きさや色などの形質を連続で取得できる「ロボット計測装置」。水やりや液肥の循環装置などを備え、複数のカメラで作物を連続撮影する装置だ。2種の装置を組み合わせることで、人工気象室を開閉することなく、時間を追って取得された画像とセンシング情報を解析し、作物形質を連続的に計測できるという。

気候変動に伴う作物生産の不安定化に対して、作物の性能(収穫時期、収量、品質等)を明らかにする農業技術が求められている。これまで、これらの技術開発は野外での栽培試験を前提としていたが、主要な作物の多くは年に一度しか栽培試験ができない。様々な栽培環境に作物が反応し、形質を変化させる作物環境応答を明らかにするためには多くの場所と長い時間が必要だった。

栽培環境エミュレーターではイチゴや葉物野菜などのほか、コメやコムギ、ダイズなどの穀物の栽培も想定しているが、コメの場合だと1年に3回の作付け~収穫ができるといい、野外環境に比べ格段に早く、多くのデータを集めることができる。

スパコンとも連動する研究基盤

「ロボティクス人工気象室」は、農研機構のもつスーパーコンピューター「紫峰」とネットワーク接続している。高速ネットワークを介し、解析プラットフォームへリアルタイムで転送することにより、得られた作物環境応答データを利用した深層学習(AI解析)による形質解析ができる。イチゴ苗の連続撮影から、着果を見分け、その生育具合や大きさなどが日照時間とどう関連づけられるかなどを、AIが解析する。

さらに、「農研機構統合DB」に含まれる病害虫、気象、遺伝資源、ゲノム情報など、様々な農業データを用いた複合的な解析が可能となり、外部機関の施設等からもこれらの解析を遠隔で行える。民間企業、大学、公設試験研究機関、JA、産地等の外部機関からもこれらの解析を遠隔で行うことができるため、外部機関との共同研究のための基盤として利用できるということだ。(相澤冬樹)

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つくば駅前に大型ディスプレイ登場 イルミネーションと共ににぎわいを

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サンタクロース《短いおはなし》46

【ノベル・伊東葎花】 今日、学校で男子とケンカした。だって、サンタクロースはいないって言うんだもん。私は絶対いると思ってる。プレゼントだって、毎年くれるもん。家に帰ってママに聞いた。 「ママ、サンタクロースはいるよね」 「そんなことより、今夜は冷えるから温かくして寝るのよ」 …そんなことって言われちゃった。 今、世界中が燃料不足で大変なのは知ってる。イブなのに、イルミネーションも暖房も自粛なの。お店は早く閉まっちゃうし、地球全体がどんより暗い。テレビも毎日「新しい燃料が見つからないと人類滅亡」とか言ってる。でもね、私はそんなことよりサンタクロース。今日は寝ないで、サンタクロースの写真を撮るの。私をバカにした男子を見返してやるんだから。 私は、ベッドにもぐりながら、その時を待った。すると、午前0時を過ぎた頃、窓の外が一瞬明るくなった。街中が真っ暗だから、すぐにわかった。サンタクロースが来たのかも。 耳を澄ますと、ピコピコと電子音のような音が聞こえた。サンタクロースは鈴の音と共に来ると思っていたけど、今どきは違うんだ写真を撮ろうと窓を開けると、緑色の少し小さめの人が飛び込んできた。あれ、サンタクロースは赤い服を着たおじいさんだと思っていたけど違う。緑色だ。 「いやあ助かった。船が故障しちゃってさ。地球って寒いね」 サンタクロースが言った。サンタクロースは、そりに乗って来ると思っていたけど、船で来るんだ。 「あ、仲間が助けに来てくれた」 サンタクロースが指さす先に、角が生えた黄色い生き物がいた。これがトナカイ? 本物のトナカイを見たことはないけど、角があるし、きっとそうだ。 「お邪魔しました。ありがとう地球人」 サンタクロースがトナカイと一緒に帰ろうとしたので、私は慌てて呼び止めた。 「あの、ちょっと待って…、プレゼントは?」 「ああ、親切にしてくれたお礼ね。地球人、意外としっかりしてるね」 サンタクロースは、持っていた袋から赤い石を取り出してポイと投げた。「石かよ!」と思ったけれど、世界中が不景気なので文句は言えない。「じゃあね」とサンタクロースは、あっという間に出て行った。きっとたくさんの家を回るから急いでいるんだ。 「あ、写真!」 慌ててシャッターを押したけど、UFOのような白い光が写っただけだった。ああ、失敗。 写真は撮れなかったけど、サンタクロースに会えた興奮でなかなか眠れない。それに、どういうわけか部屋の中が夏みたいに暑くて、毛布を全部蹴飛ばした。サンタクロースからもらった赤い石は、暗い部屋で不思議な光を放っている。なんだろう、これ。 この石が、燃料不足の地球を救うエネルギー源になる物体だと知るのは、少し後の話。地球を救ってくれたのはサンタクロースだって、私は信じてる。 (作家)