水曜日, 3月 18, 2026
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気候変動再現の環境で栽培ロボット働く つくば・農研機構に人工気象室

作物を栽培する環境を再現できる人工気象室「栽培環境エミュレーター」に、ロボット計測装置を導入した「ロボティクス人工気象室」が農研機構(つくば市観音台)で運用を開始し、2日報道陣に公開された。スーパーコンピューター「紫峰」と連動した研究基盤として開発され、気候変動に伴う高温多湿などの環境において、収穫時期、収量、品質など作物の性能がどう変化するか、精密な推定を可能にする。

研究室内に野外の環境を人工的に模擬することを「エミュレート」という。作物の栽培環境を精密に再現できる「栽培環境エミュレーター」の開発は2019年度から始まり、農業情報研究センターの研究室に、内寸で幅172センチ×奥行き172センチ×高さ185センチのボックスが4基設置された。高機能タイプ2基、標準タイプ2基があり、温度は高機能では5度Cから35度C、標準では15度Cから32度Cの間で制御する。

湿度や二酸化炭素濃度のほか、LED光源により光量や紫外域を含む波長の調整もできるようになっている。風水害の再現はできないが、干ばつなど世界各国で顕著になっている気候変動の動態を、きめ細かなデータ制御によって再現する。

このエミュレーター内に置かれるのが、作物の大きさや色などの形質を連続で取得できる「ロボット計測装置」。水やりや液肥の循環装置などを備え、複数のカメラで作物を連続撮影する装置だ。2種の装置を組み合わせることで、人工気象室を開閉することなく、時間を追って取得された画像とセンシング情報を解析し、作物形質を連続的に計測できるという。

気候変動に伴う作物生産の不安定化に対して、作物の性能(収穫時期、収量、品質等)を明らかにする農業技術が求められている。これまで、これらの技術開発は野外での栽培試験を前提としていたが、主要な作物の多くは年に一度しか栽培試験ができない。様々な栽培環境に作物が反応し、形質を変化させる作物環境応答を明らかにするためには多くの場所と長い時間が必要だった。

栽培環境エミュレーターではイチゴや葉物野菜などのほか、コメやコムギ、ダイズなどの穀物の栽培も想定しているが、コメの場合だと1年に3回の作付け~収穫ができるといい、野外環境に比べ格段に早く、多くのデータを集めることができる。

スパコンとも連動する研究基盤

「ロボティクス人工気象室」は、農研機構のもつスーパーコンピューター「紫峰」とネットワーク接続している。高速ネットワークを介し、解析プラットフォームへリアルタイムで転送することにより、得られた作物環境応答データを利用した深層学習(AI解析)による形質解析ができる。イチゴ苗の連続撮影から、着果を見分け、その生育具合や大きさなどが日照時間とどう関連づけられるかなどを、AIが解析する。

さらに、「農研機構統合DB」に含まれる病害虫、気象、遺伝資源、ゲノム情報など、様々な農業データを用いた複合的な解析が可能となり、外部機関の施設等からもこれらの解析を遠隔で行える。民間企業、大学、公設試験研究機関、JA、産地等の外部機関からもこれらの解析を遠隔で行うことができるため、外部機関との共同研究のための基盤として利用できるということだ。(相澤冬樹)

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葛城地区周辺11カ所440ヘクタールを区域指定 つくば市 住宅供給に期待

TX沿線開発地区周辺で初 つくば市は6日付で、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の葛城地区周辺おおむね1キロの11カ所計440ヘクタールを区域指定した。同周辺地区は市街化を抑制する市街化調整区域のため、これまでは特定の要件を満たした土地所有者しか住宅を建てることができなかった。指定により、土地があればだれでも住宅などを建てることができるよう都市計画法上の位置づけを変えた。TX研究学園駅周辺の葛城地区(約484ヘクタール)に匹敵する面積となる。 同市がTX沿線開発地区周辺で区域指定を実施するのは葛城地区周辺が初めて。今後、他の沿線地区周辺でも区域指定を実施するかどうかについて、市開発指導課は、葛城地区の区域指定後の住宅の貼り付き状況などをみて検討したいとしている。 今回の区域指定によって建築できる建物の用途は住宅や店舗などで、高さは3階建てに相当する10メートルまでなど。11カ所440ヘクタールは現在すでに集落や住宅、店舗などが立地し、空き地や畑などが混在している。TX沿線は地価上昇が続いている中、今後は区域指定エリアの空き地などに住宅が建ち、より買い求めやすい住宅が供給されることが期待されている。 区域指定制度は、2000年の都市計画法改正で既存宅地制度廃止に伴って新たに設けられた制度。県内では猶予期間を経て06年に既存宅地制度が廃止され、つくば市では07年度から運用が始まった。運用開始に伴って同市は市内全域を調査し、①40戸以上の宅地が連続して建っている②市街化区域から概ね1キロの範囲内にある③人口が減少している集落内にある④宅地率が概ね40%以上である⑤道路や下水道が整備されているーなどの要件がある地区を対象に、これまで市内で計約1700ヘクタールを区域指定してきた。 一方、TX沿線開発地区についてはこれまで、区画整理事業が進んでいたことから区域指定から除外していた。葛城地区では2014年度に換地が実施され、18年度に区画整理事業が完了、現在、住宅が8割以上貼り付いていることなどから、「つくばに住みたいと思っても住めないという声を踏まえて」(市開発指導課)区域指定を実施した。 一方で、土地区画整理事業で開発された葛城地区は、道路や公園、公共施設や学校用地が確保されるなど公共投資により計画的なまちづくりが進められてきた。これに対し区域指定エリアへの新たな公共投資は予定されておらず、民間投資で開発を実施することになる。(鈴木宏子) 【訂正18日17時】第4段落、市内のこれまでの区域指定面積を1700ヘクタールに訂正しました。