金曜日, 10月 17, 2025
ホームコラム8050問題と労働者協同組合法 《ハチドリ暮らし》14

8050問題と労働者協同組合法 《ハチドリ暮らし》14

【コラム・山口京子】仲間内の勉強会で話をすることになりました。テーマは自由に決めてよいということでしたので、「8050問題と労働者協同組合法」という題にしたいとお伝えしました。

「8050問題」の呼び方は「はちまるごーまるもんだい」です。80代の親が50代の引きこもりの子を抱えている家庭、そこから派生する問題を指します。80代の親の介護や認知症、生活困窮などにより、親子の共倒れや孤立化が社会問題になっています。

数年前、引きこもりの子を持つ家族の会から「これからのライフプラン」で話をしてほしいと言われ、調べ始めました。

「引きこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、「引きこもり」の定義は、「様々な要因の結果として、社会的参加(就学、就労、家庭外での交友など)を回避し、原則的には、6カ月以上にわたって、おおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と関わらない形での外出をしていてもよい)」となっています。

引きこもるきっかけとしては、学校でのいじめ、親の教育虐待、就職の失敗や病気、働いていたものの様々な事情で退職し、その後働こうとしても再就職口が見つからない―などが挙げられます。

引きこもる期間は長期化していて、7年以上が5割近くになっています。30年以上も約6パーセントいると推定されています。内閣府の調査では、100万人以上の引きこもりがいるとされていますが、200万人を超えるという指摘もあります。

社会的引きこもりには居場所づくりが必要

引きこもりは、精神疾患、発達障害、社会的引きこもり―に大別されます。精神疾患であれば医療ケア、発達障害なら教育的・福祉的ケア、社会的引きこもりには安心できる人間関係や居場所づくりの支援が必要です。

私としては、就職関連の挫折から社会的引きこもりになった人を対象に、安心できる居場所づくりと、自分のペースで働ける場が生まれたらいいな、それには労働者協同組合法が使えるのではないか、という思いがありました。

市民が主体者として、協同・連帯して働く「労働者協同組合」(ワーカーズ・コープ)に法人格を与える「労働者協同組合法」が、2020年12月、参院本会議で成立。今年10月から施行されます。

この組合の基本は、組合員が出資し、意見を反映させ、そして働くことです。「多様な就労の機会」を創り出すとともに、「地域における多様な需要に応じた事業」が行われ、「持続可能で活力ある地域社会の実現」に資することが目的です。注目してほしいと思います。(消費生活アドバイザー)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

5 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

5 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

つくばの夕焼け《ご近所スケッチ》19

【コラム・川浪せつ子】暑く長かった夏もどうにか終わり、やっと秋になってきたようです。忙しい毎日、空を見上げることはありますか? 都内からの帰宅中、高速バスや電車の窓から見える空と筑波山。特に空の大きさに、いつもホッとします。都心ではビルの隙間からしか見えないので、ヤレヤレという気持ちになります。 都内住まいの実家の母がつくばに来るたび、「つくばの空は広いねぇ」と言っていました。子供3人を抱え仕事をしていたそのころ、私は空を見上げる余裕なし。毎日、毎日、子供たちの胃袋を満たすこと、仕事の締め切りのことで頭がいっぱい。そんな私が空を見上げるようになったのは、母もいなくなり、子供たちも手が離れてからでした。 母は60才半ばで余命宣告され、実家と病院がある東京に通わなくてはならなくなりました。つくばエクスプレス(TX)もなかったころで、一番上の子が小学校に入ったばかりで、下の2人は保育所。いろいろなことが重なり、泣く泣く仕事を辞めました。今でいう介護離職? つらいときには空を見るの そのころ、母が入っている病院に行ったとき、「私ね、つらいときには空を見るの」と。都心の病院の窓から見える空は四角で小さかったのですが、母にとっては癒しの空だったのです。2年ほど病院と実家を行き来して、最期の半年は空の見える病室ではなく、狭い2人部屋。終末期には外もほとんど見えない部屋でした。30数年前ですから、まだ緩和病棟などがなかった時代です。 母の年齢を超えた今、空を見上げる時間、心の余裕ができました。つくば周辺は、本当に素晴らしい空が見られますね。特に夕日は、短い間にいろいろな表情を見せてくれます。今回は、つくば市西大沼で描いた絵です。牛久学園線が遠方に見え、まるで天国のどこかのようです(行ったことないけど)。私のイメージも絵に乗せてこんな風に。(イラストレーター)

「いっぱい笑った」つくばの保育園で初公演 イタリア劇団 ラ・バラッカ

0歳から6歳までの小さな子供たちのための演劇作品をつくるイタリアの劇団「ラ・バラッカ」の公演が16日、つくば市鬼ケ窪、私立みらいのもり保育園(久松恵園長)で催され、0歳から5歳の園児93人が笑ったり、立ち上がったりしながら、舞台を楽しんだ。同劇団が日本の保育園で公演したのは初めて(10月7日付)。 文化交流団体「日伊櫻の会」(沢辺満智子代表)が主催した。4歳の園児からは「全部おもしろかった」「もう1回見たい」「いっぱい笑って楽しかった」などの感想が出された。 一般向けの公演は19日につくばカピオホールで催される。今回の来日公演は関彰商事がスポンサーとなっていることから、セキショウグループの関耀会(葉章二理事長)が運営する保育園で一足先に特別公演が実現した。 言葉を使わず、身振りや動作だけで表現する40分間の二人芝居で、多様な家族の在り方を問い掛ける演目「ファミリエ」が上演された。舞台の道具をころがしたり、蹴ったり、2人でふざけ合ったり、マネキンにいろいろな服を着せたりしながら、ユーモアたっぷりに演じ、家族の多様性を表現した。 公演後は、共に舞台に立った芸術監督のアンドレア・ブゼッティさん(45)と俳優のロレンツオ・モンティさん(35)との交流の時間が設けられ、2人は「見てくれているみんなに(いろいろな服を着たマネキンが)どんな顔をしているのか、どんな家族か考えてもらいたくて、わざと顔が無いマネキンを使った」などと話し掛けた。子供たちからは「好きな食べ物はなんですか」という質問が出て、ブゼッティさんは「ピザ」、モンティさんは「ラーメン」と答え、会場を沸かせた。 公演後、2人は「0歳から3歳は目を見開いて、何が起こっているのか熱心に見て、スポンジにように吸収してくれる。3歳以上はいろいろな質問が出てくる」と話し「舞台を見て何かの答えを得るというよりも、見てくれた子どもたちが疑問をもって、お母さんやお父さん、友だちに話して、家族ってなんだろうと考えてくれたら」と述べた。 同園の久松園長は「身近なものを何かに見立てて遊ぶ『見立て遊び』や、別のものになったつもりで遊ぶ『つもり遊び』は子供たちの世界を広げる。ラ・バラッカの舞台は言葉が無いからこそ、子供たちの心に響き、子供たちの想像力をかきたてると思う」と感想を話し、保育士の山田沙織さん(37)は「舞台のマネキンの顔が無かったことで、子供たちはマネキンの顔を一人一人想像しながら舞台を楽しんだと思う。(マネキンに赤い服と青い服を着せる場面などを通し)女の子は赤い服とか、男の子は青い服とか、決まっているわけではないというメッセージは、今後の保育の仕事にも役立つと思う」などと話していた。(鈴木宏子)

茨城ロボッツ敗れる 開幕1勝4敗に 

男子バスケットボールBリーグ1部(B1)2025-26シーズンが10月3日開幕し、茨城ロボッツ(本拠地:水戸市、ホームタウン:水戸市・つくば市)は開幕5戦目となる15日、日立市東成沢町の池の川さくらアリーナでサンロッカーズ渋谷(SR渋谷)と対戦、82—84で敗れ、1勝4敗となった。 ロボッツは昨シーズン、15勝45敗と低迷し東地区7位に終わった。今シーズンは30勝を目標に掲げるが、4日の開幕戦はアウェーで仙台89ERSに連敗。ホーム開幕戦となった11日は延長戦の末に群馬クレインサンダーを破りホームで初勝利を上げた。しかし翌12日は敗れ、ここまで1勝3敗でSR渋谷戦に臨んだ。会場には平日にもかかわらず満員の3157人のファンが熱い声援を送った。  2025−2026 B1リーグ戦 (10月15日、日立市池の川さくらアリーナ)茨城ロボッツ 82ー84  サンロッカーズ渋谷 茨城 23  16  21  22    = 82渋谷 20  18  18  28    = 84 ロボッツは序盤から終始リードを奪いながらも終盤に逆転を許し、悔しい敗戦となった。第1クオーターは中村功平のシュートで得点するとその後は一進一退の攻防が続いた。昨年までSR渋谷に2シーズン在籍し今季からロボッツに移籍したつくば市出身の小島元基が、古巣を相手に終了間際にシュートを決め、第1クオーターは渋谷にリードを許さなかった。 第2クオーターは直後に逆転を許すが、タイラー・クックのダンクシュートに、ロバート・フランクスと駒沢颯が3ポイントシュートを決め、前半を39ー38と1点リードで折り返す。フランクスは「自分の強みを見せられたので、今後も自分の強みを継続して見せられるようにステップアップしていきたい」と話した。 後半もロボッツは、フランクスを中心に得点を重ね、最大10点のリードを広げる。だが徐々にSR渋谷の反撃に遭い逆転を許すと、残り5秒を切ったところでクックのシュートが決まり同点とする。しかし直後に勝ち越しを許し、敗れた。 チーム最多の29得点を挙げMIPを獲得したフランクスは「最後の方に自分たちにミスが多く出てしまった。チームとしてしっかり戦えたのはいいことなので、ポジティブに考えてやっていきたい。次のアルバルク東京は強いチームだが、そういうチームに対しても戦えるということを証明できていると思うので、自信を持って、チームとしてしっかり準備をしていけば勝てると思う」と次の試合に意欲を見せた。 クリス・ホルム ヘッドコーチは「今日の負けは痛かった。全体的なプレーは良かっと思うが、SR渋谷が何かをして勝ったというよりも、集中力が欠けてしまったり、シュートを打てるときに打てなくてチャンスを自分たちでつぶしてしまったことが40分間通して積み重なってしまったのが自分たちの課題」と悔しがった。次節は18日、19日アウェーでアルバルク東京と対戦する。(高橋浩一)

廃校をサイクリスト拠点やレストランに 旧斗利出小 土浦市が地元企業に売却へ

小中一貫の新治学園義務教育学校(同市藤沢)が開校したのに伴って2018年3月末で廃校となった同市高岡、旧斗利出(とりで)小学校跡地(約1.3ヘクタール)の利活用について、土浦市は15日、公募型プロポーザルを実施した結果、サイクリスト向け拠点やレストラン、マルシェ、子供たちの遊び場などとして利活用すると提案した地元の太陽光発電設備販売会社、アクセスシャイン(同市中)が最も優れた提案をしたとして優先交渉権者に決定したと発表した。今後、提案内容をもとに基本協定を締結し、合意すれば同社に用地と建物を売却する。 同社の提案内容は、同小跡地は、サイクリングロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」に近く、つくば市春風台から桜川に架かるさくら大橋を通って国道125号につながる、土浦とつくばを結ぶ県道藤沢荒川沖線に近いなどの立地にあることから、立地条件を生かし、①2階建ての校舎をコミュニケーションゾーンとして常時、地元企業が出店したり、レストランを開いたり、地域交流スペースとして活用する②体育館をサイクリストゾーンとして常時、サイクリスト向け拠点とするほか、災害時は地域住民の一時避難所として活用する③校庭はイベント広場として、休日にキッチンカーなどによるマルシェを開いたり、イベント開催時以外は子どもの遊び場として利活用するーなど。 同小の跡地利活用について同市は、5月30日に公募を開始し、市内外の3事業者から応募があった。プレゼンテーションとヒアリングを実施し、市のプロポーザル選定委員会が参加事業者の資質、事業内容、購入価格などについて審査した結果、アクセスシャインが優先交渉権者に決定した。 校舎は改修が必要で、体育館は耐震基準を満たしていないなどから、市は、今後必要になる校舎の改修費用や体育館の耐震補強費用などを差し引いて、最低売却価格を578万円として提示していた。公募でいくらの提示があったかは非公表としている。 今後については、11月ごろまでに利活用の提案内容について市と同社とで基本協定を締結し、年内に住民説明会を開催。さらに同小は市街化調整区域であることなどから、県の開発審査会の承認が必要となるほか、開発許可などの法令手続きに1~2年かかる見通しで、改修工事着手はその後になる。 新治学園義務教育学校の開校に伴って、新治地区では斗利出小のほか、藤沢小、山ノ荘小の3校が廃校となった。旧藤沢小は現在、体育館が地域の避難所となっているほか、日ごろ地域のスポーツクラブなどに利用されている。旧山ノ荘小は日立建機ICTデモサイトとして、情報通信技術を用いた建設機械のデモンストレーションや体験をする場に利用されており、旧斗利出小だけが利活用方法が決まってなかった。(鈴木宏子)