金曜日, 12月 19, 2025
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TX県内延伸で何が実現するのか 《茨城鉄道物語》23

【コラム・塚本一也】前回のコラム「TX延伸ルート選びに必要な視点」(4月8日掲載)では、国家プロジェクトの行方に迷いが生じたときには「そもそも論」に立ち返ることが重要であると述べました。そこで今回は、延伸先選びの視点をいくつか示してみます。

茨城空港を「国際空港」にするには?

第1の「そもそも論」は、首都圏の羽田・成田国際空港はいずれ「満杯」になることが予想されるため、第3の国際空港として、茨城空港の機能をアップすることです。TXが茨城空港に伸びるだけでなく、羽田との直通運転が可能となれば、首都圏の様々な航空需要に応える能力を備えることになります。

国際化が格段に進むであろう10~20年先を見据え、また甚大な被害をもたらす大規模災害を想定したバックアップ機能として、TXを首都圏の重要交通インフラに位置付ける視点です。

アジアの大手LCC(格安航空)会社に茨城空港を使ってもらおうと、県がその社長を現地へ招いた際、「TXでも乗り入れてくれるなら就航させてもいいですよ」といった発言があったそうです。彼らは、TXの茨城空港乗り入れが実現すれば、使い勝手が悪い成田便を茨城便に切り替えるのではないでしょうか。

しかし、この構想に問題がないわけではありません。茨城空港は航空自衛隊の飛行場ですから、現状では滑走路使用に制限があり、成田並みの国際便受入は無理です。でも空港の周辺には平坦な土地が豊富にありますから、やる気になれば滑走路拡張は可能です。

もう一つの問題は、競争相手として米軍横田基地があることです。元都知事の故石原慎太郎氏は、横田基地の軍民共用構想(首都圏第3国際空港化)をぶち上げ、同基地への高速鉄道乗り入れを準備しました。しかし、共用交渉は進んでいません(茨城空港にチャンスがあります)。

水戸を「東京通勤圏」にするには?

第2の「そもそも論」は、北部延伸によって県内経済を活性化するために、水戸市とつくば市をTXでつなぐというインフラ整備構想です。その沿線が活性化するだけでなく、常磐線とのコラボレーションによって、水戸~東京が「1時間圏内」になるでしょう。水戸地域がごく普通の「東京通勤圏」に入るということです。

TX延伸先絞り込みは関心を呼んでいますが、当事者の1人、つくば市長は関心が薄いと聞きます。TX延伸が都市機能を拡大すること(第3の「そもそも論」)が分かっていないようです。つくば市内には「県立高校が少ない」という声がありますが、土浦方面に伸びれば、土浦市内の高校への通学が容易になり、教育圏が拡大します。

政治や行政を担当する者にとって、インフラ整備と財政運営は基本中の基本です。視野を広く持ち、鉄道や道路で他市とつながり、自らも発展するという構想が必要ではないでしょうか。私事によりこのコラムを少しの間休載します。再開の際には、またTXの話をしたいと思います。(一級建築士)

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留学生の授業料値上げへ 筑波大 27年度入学から

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は18日の定例会見で、留学生の授業料を2027年度入学から値上げすると発表した。国立大学は日本人学生か留学生かで授業料に差はなかった。差を付けるのは同大で初めて。国内では東北大学などが留学生の授業料値上げを発表している。 筑波大の値上げ額は大学生、大学院生いずれも年間7万3000円で14%の引き上げとなる。同大の授業料は大学生、大学院生いずれも同額の年間53万5800円で、文科省が定める標準額と同じ。値上げ後の留学生の授業料は60万8800円になる。研究生や科目履修生などの値上げ額は3万6000円。2026年度までに入学した留学生の授業料は現行のまま。 一方、今回の値上げ額は現段階で、留学生の教育・生活環境の充実に必要な最低限の金額だとし、今後も留学生数や物価動向など状況に応じて見直しを行うとする。 留学生を より受け入れるため 値上げの目的について同大は、優秀な留学生の獲得競争が世界的に激化する中、留学生の教育・生活環境をさらに充実させて、優秀な留学生を確保するための値上げだと強調する。 値上げによる増収分はすべて、留学生の教育・生活環境をさらに充実させるために充当し、①各種支援体制の充実②多様な留学生に対応した教育・相談体制の充実③個々の進路に応じたキャリア支援体制拡充④英語コースの拡充ーなどに充てるとする。 同大の留学生数は約2500人。毎年800人程度の留学生が入学し、値上げ初年度の27年度の増収は約5840万円になる。留学生全員の授業料が引き上げられた場合の増収は約1億8250万円。 国立大の授業料は文科省の省令に基づき、標準額の2割増しまでが上限と定められている。一方留学生の授業料については、国の教育未来創造会議の提言を受けて、文科省が2024年4月の省令改正で上限を撤廃した。筑波大では1年近く前から留学生の授業料について議論を重ねてきたという。 永田学長は「かなり検討を重ねて、学習環境の充実のための積算をして、丁寧に説明をしながら学内のコンセンサスをとって今日に至っている」とし「留学生が増加するという前提でやっている。それなりの受益を受けている方々なのでご理解いただきたい」と述べ、加藤光保プロボストは「留学生を、より受け入れる方向で考えている。留学生に特化した学習環境の改善のために行う」としている。(鈴木宏子)