つくば市にある県営の洞峰公園リニューアル計画に対し、地元の五十嵐立青つくば市長が懸念を表明していることについて、大井川和彦知事は4月28日の定例記者会見で、「(市長の発言は)突然」であり「意外な感は否めない」と戸惑いを口にした。
洞峰公園リニューアルは今後どうなるのか。県都市整備課の担当者は「事実を確認しながら、市と調整しながらていねいに行っていきたい」とし、来年3月完成が予定されていたグランピング施設とバーベキュー施設などのオープン時期について「現段階では、はっきりしていない」との見通しを示した。
市「さらなる説明の場求める」
五十嵐つくば市長によると、市はこれまで、2020年から始まったリニューアル計画に関する事業者選定委員会にオブザーバーとして参加する中で、たびたび、計画に対する懸念点を伝えていたと4月13日の会見で述べていた。昨年12月の26項目にわたる質問は、それを含めた内容だったと県・都市整備課は述べている。
その上で県都市整備課は、昨年12月に寄せられたつくば市からの質問に、今年2月に回答した経緯を踏まえて、「つくば市の疑念点には2月の段階で全て回答している。その後、市から(公式な追加質問や反論は)なかったので、市は(洞峰公園リニューアルについて)納得しているという認識だった」と説明する。
五十嵐市長が3月に自身のSNSで、4月に記者会見で相次いで懸念を表明したのは、その後のことだった。
今後はどう展開するのか。つくば市は「現状、(事業者による改修のための)手続きはまだ始まっていない」とした上で、「3月に開かれた実施事業者による住民への説明会は満足とは言えず、更なる説明の場を県に求めていく」とし、市が要請している他の項目とともに、県がどうそれを実現するかが重要だと語った。
また、昨年12月に県に文書で伝えた「質疑事項や懸念点が改善されない限り、(リニューアル計画の)実現は難しいとの立場をとらざるを得ない」との発言については、「要望の細かい点が全て守られない限り、現段階で変化はない」と現状を語った。
県「市と調整しながら進める」
市によると、洞峰公園のリニューアル計画には、宿泊施設であるグランピング施設建設が含まれている。現在、洞峰公園は、宿泊施設が認められていない「第1種中高層住居専用地域」に指定されている。
都市計画法や建築基準法では、用途地域ごとに建築可能な建築物が定められている。一方で、定められた用途以外であっても、「良好な住居の環境を害するおそれがない」、または「公益上やむを得ない」と認めてられる場合、公開による意見の聴取(公聴会)を行い、市が設置する「建築審査会」の同意を得ることで、市長による「特例許可」を受ければ建築することができるとされている。
五十嵐市長は4月13日の会見で「(グランピング施設建設を)現在認める材料はそろっていない」と発言している。
これについて県は「現在、つくば市との下打ち合わせを通じた事前調整を進めている」段階にあるとし、当初、来年3月完成予定だったグランピング施設オープンの時期は現段階では未定であり、今後の手続きについては、あくまでも「市と調整しながら進めていく」と強調した。(柴田大輔)