水曜日, 4月 24, 2024
ホームコラム芋たこなんきん、茨城の芋、関西弁 《遊民通信》39

芋たこなんきん、茨城の芋、関西弁 《遊民通信》39

【コラム・田口哲郎】
前略

NHKのBSプレミアムで2006年に放送された朝の連続テレビ小説「芋たこなんきん」の再放送が始まりましたね。大阪の女流作家田辺聖子さんの半生を描いたドラマで、主演は藤山直美さんです。夫役のカモカのおっちゃんには國村隼さんという豪華ペア。毎日泣き笑いしながら楽しく拝見しています。

「芋たこなんきん」と言うタイトルは、江戸時代の上方の作家井原西鶴が、女性が好むものは、芝居、浄瑠璃、芋タコなんきんと書いたことからきています。

なんきんはカボチャのことだそうです。確かに、女性は芋が好きと言うのはよく聞く話ですし、「芋たこなんきん」の前に放送されていた「マー姉ちゃん」の原作者長谷川町子さんのマンガ「サザエさん」でもサザエさんは芋に目がなく、よく焼き芋を買うシーンが描かれています。

芋といえば、茨城は芋王国ですね。干し芋、焼き芋、スイートポテトと茨城産の芋製品が世間を席巻しています。「蔵出し芋かいつか」は人気店ですね。松野木にあるつくば店も、いつもたくさんの人が来ています。つくば店にも行きますが、たまにかすみがうら市の本店に買いに行きます。熟成芋のとろける甘さの焼き芋は衝撃的なおいしさです。

はんなり、やんわり、関西弁

さて、「芋たこなんきん」の話です。豪華俳優、おもしろいストーリーと魅力まんさいのドラマですが、もうひとつの魅力があると思います。藤山直美さんの関西弁です。

ご存じ名喜劇役者藤山寛美さんの娘で、大阪生まれの京都育ち。身についた自然な関西弁は聞いていて心地よいのです。関西弁はケンカしているように聞こえると言われますが、本当にそうでしょうか? 私は幼少期に大阪府で過ごしたことがあります。田辺さんがミナミに比べ文化が乏しいと述べた、北摂の阪急沿線の新興住宅地でしたが、関西弁が周りに溢(あふ)れていました。

子どもなりですが、関東とはタイプの違う関西の人情というものに触れた記憶があります。数年前に京都に旅行したとき、バスに「大原に行きませんか?」と大きな広告が載っていました。奈良線で奈良から京都に向かったときに、途中の木津駅に張り紙がしてありました。「いつもご利用ありがとうございます。すべてのお客さまに快適に鉄道をご利用いただけますよう、禁煙にご協力をお願いします。駅長」と。

これが東京なら、さしづめ「大原に行こう!」「終日禁煙」となるでしょう。慶應大学は関西出身の学生も多いのですが、よく聞いたのは「関東人の言い方はきつく聞こえる」というもの。「なになにじゃん!」と断定されると、ひるむと言うのです(じゃん、は神奈川方言と言われますね)。関西なら「なになにとちゃう?」と否定疑問で聞くそうです。ひとクッションかませる感じです。

ですから、私の関西弁に対するイメージは、はんなり、やんわりなのです。藤山さんの関西弁にあこがれます。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

「魔女のフェスタ」29日石岡の廃校で 妖怪仮装パレードも

筑波山麓で、アロマテラピーなどの知識や技術を学ぶ「魔女の学校」を主宰するいしざき緑子さんらが29日、石岡市柴内の廃校、朝日里山学校で第7回「魔女のフェスタ」を開催する。受講生らがマルシェ形式で手作り品やオーガニックの品を販売する。雑貨店のほか占いの店、飲食店など計約100店が出店する。 今回のテーマは「天球オペレッタ」。関東一円から様々なジャンルのアーティスト11組が参加し、音楽ステージが途切れることなく繰り広げられる。妖怪仮装パレードなども行い「楽しい所に人は集まる」「はじけたい」という気持ちを体現してもらう。いしざきさんは「母なる天球の中を回って巡る星々のように、共鳴し合い共振して、どんなエネルギーも豊かな愛で包んでいきたい」と話す。 いしざきさんは2021年からつくば市国松の古民家で「魔女の学校」を主宰し、春と秋の年2回、受講生らが出店する「魔女のフェスタ」を開催している。春は、ドイツ各地で毎年4月30日に開催される魔女まつり「ヴァルプルギスの夜」を手本に開催する。いしざきさんは4月30日が誕生日で、特別な日だという思いが強い。29日は同まつりの前夜祭にあたり、スペインでは魔女が春をお迎えするというおめでたい日だという。 同フェスタには受講生たちのほか、いしざきさんのネットワークで毎年、関東一円からたくさんの人が参加する。雑貨、オーガニック、タロット、占いなどの出店のほか、体育館ではつくば市国松で子供の交流施設「じゅんばあの家」(2023年12月14日付)を開設する関係者でつくる「チームじゅんばあ」による昭和の遊びなどが行われる。 主催者のいしざきさんは「魔女の学校はあるがままの自然を大事にしている。グレゴリオ暦(太陽暦)ではなく太陰暦を使うことによって、自然の営みに入ることができ、免疫力も上がる。天球オペレッタに参加してもらい元気になって欲しい」と話す。 ◆魔女のフェスタは29日(月・祝)午前10時~午後4時、石岡市柴内630、朝日里山学校で開催。入場無料。問い合わせは魔女のフェスタのインスタグラムまたはフェイスブックへ。今年度の魔女の学校は5月開講予定、春の受講生を募集している。

タオルの一生《短いおはなし》26

【ノベル・伊東葎花】 わたしは、ふわふわのタオルでした。かわいいお花模様の、ピンク色のタオルでした。上品な箱に入れられて、この家にやってきました。大人も子どもも、わたしに頬ずりして言いました。 「肌触りがいいね」 「ふかふかで気持ちいい」 「ずっとすりすりしていたいな」 そうです。わたしはタオルの中でもひときわ人気者でした。えへんと胸を張って、タオル掛けでみんなを待っていたのです。 しかし悲しいかな、月日は流れ、わたしは古くなりました。何度も洗濯されてごわごわになりました。ある日子どもが、ろくに洗わない泥のついた手を、わたしで拭きました。「あらまあ汚い」と、おばあさんがわたしを漂白しました。ちょっと待ってぇ~と叫んでも、声は届きません。私は漂白されてしまいました。 自慢だったきれいなピンク色は、白と薄いピンクのまだらになりました。お花模様は、もはや色とりどりのシミと成り下がりました。生地の繊維も弱くなり、いつ穴が空くかビクビクしていました。そしてついに、そのときがやってきたのです。 お母さんが、テーブルをわたしで拭いたのです。そうです。わたしは雑巾にされてしまいました。でも、テーブルの雑巾は、雑巾の中でも上位でした。台所の油汚れを拭かれたり、トイレの雑巾になるよりは、ずっとマシなのです。だからわたしは、たとえ食べ物のかすを拭かれても、じっと耐えました。 あるとき、子どもが言いました。 「お母さん、この雑巾、穴が空いてる」 が~ん。ついに、わたしに小さな穴が空いてしまったのです。 「あら、しょうがないわね。じゃあ、お台所の雑巾に格下げしましましょう」 格下げ…。嫌な言葉です。恐れていた言葉です。わたしは台所の油汚れを拭かれた上に、焦げた鍋やこびり付いたカレーを拭かれ、ゴミ箱に捨てられるのです。わたしの一生は、こうして終わりを迎えるのです。 しかしそのとき、子どもが言いました。 「お母さん、これ、絵の具拭きにしていい?」 「いいわよ」 ああ、なんとありがたいお言葉。絵の具拭きになるということは、子どもと一緒に学校へ行けるのです。格下げどころか、天にも昇る気持ちです。 わたしは翌日から、絵の具用の雑巾になりました。赤青黄色、たくさんの色で、わたしはとてもカラフルになりました。写生の時は、一緒に外に連れて行ってもらいます。太陽の光を浴びながら、水色や緑に染まります。わたしは今、とても幸せです。 子どもは、なかなか絵が上手でした。将来、有名な画家になるかもしれません。彼が有名な画家になったら『有名画家が使用した雑巾』として、美術館に展示されるかもしれません。わたしはその日を夢見て、今日も絵の具箱の中で出番を待っているのです。(作家)

「国際人となって世界へ」 13の国・地域 68人が入学 日本つくば国際語学院

つくば文化学園による日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が23日、同市小野崎の料亭、つくば山水亭で開かれた。13の国と地域出身の68人が、多様な民族衣装やスーツに身を包み、新たな一歩を踏み出した。 新入生を代表してあいさつしたアフリカ・マダガスカル出身のラコトベ・ラベヴィチャ・アンディ・エヴァンさんは「日本に来るための準備に苦労し、家族や友人からもとても心配された」という。しかし、来日してみると「風景はきれいで、覚えてきた日本語で日本人と話すことができた。『これは夢ではない。現実だ』と思うと心配はなくなった」と話す。夢はアニメーター。「いつか著名な日本人アニメーターと仕事を共にしたい。そのために日本語を一生懸命学び、毎日絵を描き、多くの方に作品を見てもらえるよう頑張りたい」と語った。 在校生を代表したネパール出身のタマン・マダン・クマルさんは「日本に来て一番困ったのは日本語ができなかったこと」だと振り返る。来日当初、コンビニのレジで支払い方法を聞かれたのに、「はい」と答えてしまい恥ずかしい思いをした。「わからない時には『はい』『大丈夫です』とは言わないでください。ここには皆さんを助けてくれる人がたくさんいる。わからないことは先輩や先生に聞いてほしい」と新入生たちに語り掛けた。 入学式に参加する息子を見届けた、バングラディシュ出身でつくば市在住のモハメドさんは「皆さんのおかげで(息子は)ここまで成長できた。今は安心しているが、ここから先は彼自身の責任で前に進まなければいけない。しっかり日本語を学んでほしい」と我が子にエールを送った。 東郷理事長兼校長は「異国の地での生活には不安もあると思うが、学校には様々な国籍の先輩がいる。困ったことがあれば先輩たちを頼ってほしい。これから留学生活の中で日本語を楽しく学び、何かをつかみ、大きく成長してください。皆さんが国際人となって世界へ羽ばたくことを期待しています」と話した。 今年度の入学生68人のうち、最も多いのはネパール出身者で37人。次いでミャンマー出身が8人、スリランカ出身が7人。その他、中国が3人、タイ、韓国、バングラディシュ、モンゴルが2人、香港、インド、ベトナム、マダガスカル、フィリピンから1人ずつとなっている。 ネパール留学生増え2位に 出入国在留管理庁によると、2023年末時点における在留外国人は341万992人で、前年末と比べて33万5779人増で過去最高を更新した。その中で「留学」の在留資格を持つ人数はほぼ1割の34万883人。国籍・地域別ではネパール国籍の留学生が5万5604人で、ベトナムを抜いて初めて2位となった。1位は中国で13万4651人。2024年3月1日時点のつくば市には、146カ国、1万2583人の外国籍住民が暮らしている。(柴田大輔)

杜の都と学園都市を結ぶ 日本国際学園大の橋本学長【キーパーソン】

つくば駅から徒歩7分の一等地にある筑波学院大学(つくば市吾妻)が、4月から「日本国際学園大学」に改称され、学びの場も「杜(もり)の都」仙台と「学園都市」つくばの2キャンパス制になった。同時に、理事長を務めていた橋本綱夫さんが新装大学の学長も兼務する。新名称+学長兼務+2キャンパスの狙いは何なのか、橋本さんに聞いた。 日本発の国際的人材を育てる 「新名称は、一言でいえば日本発の国際的人材を育てたいということ。自分の国、日本の文化を知ることが国際化の第一歩という意味合いも込めた。当然、外国からの留学生がたくさん来てほしいという思いもある」 「うちのような小規模な大学の場合、学長が理事長になるケースが多い。この5年半、理事長だったが、学長を兼ねることで教育と経営の一体性を図ることができ、大学経営のスピード感も高められる。理事長を引き受けてからの変革期が終わったので、学長を兼務することが適当と判断した」 仙台市で専門学校も経営する橋本さんは2018年秋、東京家政学院大学の姉妹校・筑波学院大の経営権を譲り受け、理事長に就任した。この5年半、大学再生の仕事にコロナ禍による留学生減が重なり、経営はハードだったようだ。これまでが大学再生の第Ⅰ期とすれば、大学名変更は第Ⅱ期への移行宣言ともいえる。 2キャンパス活用は来年から 名称変更に合わせ、大学はつくば市内と仙台市内の2キャンパス制になる。仙台キャンパス(仙台市青葉区)は仙台駅から徒歩10分の専門学校(外語系とホテル系)の建物を使う。 「仙台での授業は来年4月からになる。今の時代(ネットを使うなど)学びの地理的なハードルは低くなっている。うちでは、今年はつくば、来年は仙台といった形で学べる。今年度入学生は、1年時はつくばキャンパス、2年以降はコースによって両キャンパスに分ける」 1学部1学科(経営情報学部ビジネスデザイン学科)の学園大には、①国際教養②英語コミュニケーション③現代ビジネス④国際エアライン⑤国際ホテル⑥公務員⑦AI・情報⑧コンテンツデザイン⑨日本文化・ビジネス(対象は留学生)のモデル(コース)があり、この9コース構成は筑波学院大と専門学校の特性が生かされている。 来年度は200人定員充足へ 大学再生の最大の課題は「定員200人」の確保になる。今年度は126人(うち留学生は40人)にとどまったが、「来年度は仙台キャンパスが本格的に稼働することもあり、定員を充足できると思う。知名度では勝てないので、入学希望者にはキャンパスに足を運んでもらい、よい大学と思ってもらいたい」と語る。 また、専門学校を大学に統合する計画はないのか、新たな学部を創設する計画ないのか―との質問には「いずれも現段階では考えていない。仙台キャンパスの立ち上げで定員が不足することも予想されるので、まず定員を300人に増やすこと考えたい」と、2キャンパスの活用に意欲を見せた。 【はしもと・つなお】2005年、東北大学経済学部卒。あずさ監査法人、経営共創基盤(企業再生コンサル会社)を経て、10年、東北外語学院(外語観光専門学校、ホテル・ブライダル専門学校、幼稚園・保育園を経営)理事。13年から同学院理事長。18年9月から筑波学院大理事長。11~12年、イタリアのBocconi大学に修士留学。42歳、宮城県利府町在住。 【インタビュー後記】東北外語は旧満州のハルピン大学で数学教授をしていた祖父が創設した。綱夫氏は外語学院の経営者としては3代目。公認会計士の資格を持っており、大学再生には適任といえる。祖父は大学創立に強い関心があったそうで、孫の代でその宿願を達成した。(経済ジャーナリスト・坂本栄)