ミルキークイーンにプリンセス・ミチコときては、是非ともお姫様で-と阿見町がたってのお願い。東京農業大学(東京都世田谷区)や浦里酒造店(つくば市吉沼)などと産学官共同開発した純米大吟醸酒「桜翔(おうしょう)」は、ラベル担当のイラストレーターの応諾を得て、ようやく新デザインが完成、22日から同町内外の酒販店に並んだ。
諏訪原寛幸さん手掛けるイラスト
ラベルデザインを手掛けたのは、阿見町出身のイラストレーター、諏訪原寛幸さん(52)。「真・三国無双」「戦国無双」などのゲームキャラクターや歴史刊行物へのイラスト提供などで活躍してきた。町の観光大使(あみ大使)に就任している縁で、デザインを依頼した。
「桜翔」は、同町産の食用米ミルキークイーンが原料。東京農業大学がバラ「プリンセス・ミチコ」(品種名)から分離した花酵母「PM1」を用いて、浦里酒造店が醸した。産学官共同は20年に、町が同町商工会へ製造を委託する形でスタート。初年度醸造分はコロナ禍で疲弊する町内の飲食店への支援事業で造られ、小売りはせず飲食店だけで振舞われた。
ミルキークイーンの特徴である芳醇な甘みと、バラを想わせる華やかでフルーティーな味わいが特徴という。昨年行われたアンケートで好評価を得て、販売してほしいとの声が多数を占めたため、今年度醸造分から一般販売を行うことになった。まん延防止等重点措置の適用解除を待ち、満を持しての22日発売開始となった。
芳醇な甘みとほのかな香り
初年度醸造分はラベルのイラストに戦国武将らしい兜武者が描かれたが、「女性は苦手」と渋る諏訪原さんを説き伏せて、お姫様の絵柄が実現した。「桜翔」は町商工会青年部のネーミング。桜は阿見町の木になっており、町に伝わる昔話「姫塚」にもちなんでいるという。

「霧筑波」醸造元の浦里酒造店、浦里浩司代表は地元産米を使った地酒にこだわりをもっている(1月16日付)。浦里さんによれば、「ミルキークイーンは本来、酒造りには向かないコメだが、花酵母の使用が許されたことなどにより芳醇な甘みを活かした日本酒に仕上げることができた」という。酒造店には例年12月に3週間ほど、東京農大醸造科学科の学生が研修で蔵に泊まり込み、日本酒の仕込みを実践体験している。「桜翔」の酒造りにも参加した。
純米大吟醸「桜翔」は原料米に阿見町産ミルキークイーンを100%使用、精米歩合50%、アルコール度数15%。内容量720ミリリットル入り1980円(税込み)で発売中。阿見町内ではカスミ阿見店・荒川本郷店、菊水酒店などで取り扱い、ふるさと納税返礼品にもリストアップされた。つくば市内では浦里酒造店のほか、たがみ酒店、イオンつくば店などで販売される。(相澤冬樹)
問い合わせはあみ観光協会(阿見町役場商工観光課内)電話029-888-1111