男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)に昇格した茨城ロボッツは16日、今季のホーム初戦として、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナに宇都宮ブレックスを迎えた。茨城は66-88で宇都宮に敗れ、いまだ白星なしの5連敗。
2021-22 B1リーグ戦(10月16日、アダストリアみとアリーナ)
茨城ロボッツ 66-88 宇都宮ブレックス
茨 城|11|15|17|23|=66
宇都宮|21|22|28|17|=88
昨季準優勝の宇都宮は、B1リーグではトップ中のトップといえる強豪チーム。初昇格の茨城が挑むことで、上位とのレベル差を測る良い機会になると見られていた。結果としては大差での敗戦で、リチャード・クレスマンヘッドコーチは「自分たちの道のりはまだまだ長いと感じた。これまでの4試合もタフなゲームだったが、宇都宮は個々のプレーや、ハイレベルな守備、次々に交替できる選手層の厚さなど素晴らしいチーム。こういう相手に対し日々成長しながら前向きに戦っていきたい」と振り返った。
試合開始直後は茨城のアップテンポな攻撃が機能、平尾充庸やエリック・ジェイコブセンが3点シュートを決め、宇都宮と互角の戦いを進めていく。だが第1クオーター半ば、11-10のスコアから茨城の得点がぴたりと止まり、宇都宮に点差を広げられる展開になる。
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは「立ち上がりは茨城の早い攻撃をつかまえられず、うちの流れをつくれなかった。(宇都宮は)気持ちよくつながせないことや、いい流れでシュートを打たせないことを徹底し、ゲームが進むにつれて強度も上がり、相手のやりたい攻撃をさせなくなった」。
茨城は宇都宮のタイトな守備とハードなコンタクトに苦しみ、インサイドはもちろんアウトサイドでも、良い形でシュートを打てるような余裕を持つことができない。対する宇都宮はアイザック・フォトゥやジョジュ・スコットのポストプレーを中心に、茨城を上回るスピードとスケールの大きなパス回しで、着実に得点を重ねていく。相手に攻撃権が移るターンオーバーの数でも宇都宮の5に対し茨城は18と大きく差をつけられた。
「一人一人の判断が全然違う。偶然できるようなスキも一つもない。交替で入ってくる選手も自分の役割を理解している。さすがトップを走っているチーム。自分たちのバスケの通用した部分、通用しなかった部分が明確になった。修正を繰り返しながら積み上げていきたい」と平尾主将は、この敗戦を今後の糧としていく構えだ。
この日はB1昇格後初めて迎えるホームゲームとあって、観客数2205人とにぎわいを見せた。コロナ禍により5000人の定員に対し50%の収容率制限をかけているため、ほぼ満席を達成したと言える。
会場にも新たな趣向が凝らされた。昨季からの最も大きな変更点としては、長辺15メートルというリーグ最大級の大型4面ビジョンや、横幅約50mのリボンビジョンが設置された。場内の懸垂幕やライティングは、茨城のチームカラーであるブルーとオレンジで統一されている。
オープニングセレモニーではつくば市出身のソプラノ歌手、冨永春菜さんが君が代を独唱した。冨永さんは水戸三高音楽科3年時に全日本学生音楽コンクール全国大会で1位を獲得、2018年甲子園選抜高校野球大会の開会式にも出演した経歴を持つ。
「甲子園のときと同様、すごくドキドキした。会場は360度お客さんに囲まれ、すごく温かさを感じた。ロボッツはつくばでも水戸でも身近にあった地域に根付いたプロチーム。大役を終え、しっかり試合を楽しんで帰りたい」と感想を語ってくれた。(池田充雄)