月曜日, 10月 18, 2021
ホーム コラム 「怪人二十面相」と2・26の時代 《映画探偵団》48

「怪人二十面相」と2・26の時代 《映画探偵団》48

【コラム・冠木新市】昭和7(1932)年から昭和11年にかけ農村の貧困と陸軍の内部闘争を描いた高倉健主演の『動乱』(1980)、陸軍若手将校の4日間のクーデターを追った三浦友和出演の『226』(1989)、海軍と陸軍の攻防と昭和天皇の動きに迫ったNHK『全貌 二・二六事件 完全版』(2020)―これらを見直した。

江戸川乱歩の『少年探偵』シリーズ第1作『怪人二十面相』は、昭和11年(1936)、『少年倶楽部』1月号から連載が始まり人気を呼んだ。だが、2月には2・26事件が起き、東京に戒厳令が出された。当時の少年たちはどのような思いで読んでいたのだろうか。その気分を感じるため、2・26関係の作品を見てみたのだ。

乱歩との出会いは東映『少年探偵団/首なし男』(1958)である。シルクハットをかぶり、二十面相にふんした伊藤雄之助は、大人の演技を見せ真実味を感じさせた。その後、小学校の図書館で光文社版『少年探偵』を次々と読み、独特な世界に魅了されていく。私は長い間、このシリーズは戦後の作品だと信じて疑わなかった。

しかし、『怪人二十面相』『少年探偵団』『妖怪博士』『大金塊』の4作は「大東亜戦争亅へ突き進む戦前に執筆されたものだった。多分、戦前の少年たちにとって、『怪人二十面相』は強烈なリアリティを感じたように思える。

明智小五郎は第1作後半に、黒の背広、黒の外套、黒のソフ ト帽という、全身黒のいでたちでオシャレに登場する。満洲国(戦後版は某国)の依頼で新京に行き、重大な事件を解決し帰国したとの設定である。満洲国の背後には関東軍がいたのだから、明智は関東軍とつながりがあったと見るのが自然である。一体何を解決したのだろうか。

主人公の小林芳雄少年は、明智の助手で一緒に暮らしているが、両親をなくしている様子である。明智との関係はどこで結ばれたのだろうか。明るく理想的な少年として描かれるため、心中や自殺、東北農村での身売りがあった時代とは真逆である。

二十面相が狙うダイヤを所有する羽柴壮太郎は、麻布に屋敷を構える大実業家だが、なぜか長男の壮一が10年前に家出をしている。次男の壮二は二十面相に誘拐されるが、小林少年の活躍で助かる。壮二は少年探偵団の結成を提案する。探偵団を計画したのは裕福な少年なのである。羽柴家には何で財をなしたのかを含め謎が多い。

怪人二十面相は一層謎めいている。宝石や美術品を好み、現金に興味がなく、人を傷つけたり殺したり残酷なふるまいはせず、血がきらいなのだ。盗みを除けば、時代に逆流する極めて平和的な怪人で、悪役ではない。

謎だらけのセンタービル改造問題

いま『怪人二十面相』のような謎めいた世界が、つくば市に広がりを見せている。センタービル改造問題で、誰が要望を出したかも分からないまま広場に屋根やエスカレータが計画されたり、市民団体が2度にわたって要望書を出しても5カ月間も返事はなかったり、解体工事を進めながら意見を募集したり、プリツカー賞の意匠を可能な限り保存するといいながら、外壁と窓ガラスを壊すことはいまだ隠されたままだ。

昔は今で今は昔である。2・26のようなクーデターが起きたらどうするのだろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

<つくばセンタービル謎解きツアー>参加者募集
▽内容:センタービルに隠された建築の謎を解きながらビルを回る
▽日時:第1回=11月3日(水)、第2回=同13日(土)、第3回=同23日(火)、13時から約1時間、参加費無料
▽定員:10名、小中高生大歓迎
▽予約先:090-5579-5726( 冠木)

10 コメント

10 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
5年前
3 days ago

私にとって、一番大きな謎は、
国はこの改修を補助するための交付金を出す!と、つくば市は本当に考えているのか?だ。

名無しの市民
返信する  5年前
3 days ago

国からも、県からも、打率10割で取ってきている。と思っている。はずだ。自信満々だと思う。

5年前
返信する  名無しの市民
2 days ago

国は交付金を出すの?<その?>
広報つくば10月号によれば、エスカレーター設置の目的は、「働く人を支援する場の整備」などに伴う「利用者増への対応」となっている。
「働く人を支援する場の整備」は、一法人が行うシェアオフィスの整備。
そのシェアオフィスは、民間で行われている通常のシェアオフィスのビジネスとほとんど同じ。
そのようなビジネスのためのエスカレーター設置に、国は交付金を出すの?

名無しの市民
返信する  5年前
2 days ago

https://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/869/21.3.4zeninkyogikai.pdf.pdf

オフィスの総面積は 1,700平米ぐらい。 8.5平米/人で割れば 100人が適正な利用人数。多少の人の出入りはあるとしても、1日 200人ぐらいが最大じゃないかしら。しかもしかもも。その全員がセンター広場を横切った「対岸」のエスカレータを使うはずもない。実際には 20-30人じゃないの?

アイアイモールの時は、北側の階段を愛用していた。踊り場が広くてノボリ下りしやすい。そこに 170人ぐらいが集中するのでは。中央部分にはビル内の階段もあるけど、あんまり使いやすくない。南端にあるエレベータはバリアフリーのためにあり、健常者は1階分の移動には使わない。

この利用人数でエスカレータは必要って言えますか?答えは明らかだと思う。エスカレータには1日3万円ぐらいかかります。30人の利用者から、一人1,000円の利用料を聴取しますか?

名無しの市民
返信する  名無しの市民
2 days ago

適正利用人数は 200人です。もちろん。いろいろと間違えたぜ。

名無しの市民
3 days ago

<つくばセンタービル謎解きツアー>

▽日時: 第1回11月3日(水)、第2回11月13日(土)、
第3回11月23日(火)、 15時15分から16時30分

▽定員: 30名、小中高生大歓迎、参加費無料、予約無し

▽内容: ライトオンとBIVIとの間を沈みゆく秋の夕日が
センター広場の窓ガラスに反射し広場を照らす。 その姿を2階のテラスからカメラを構えて観察する。

窓ガラスが円形に配置されているので反射光は広場の中心の小噴水に向かって収束する。夕日が低くなると反射光も細長くなる。まるで日時計のようで美しい。

昔はライトオンもBIVIも無かったので、この日時計はとてもきれいだった。

名無しの市民
返信する  名無しの市民
2 days ago

イノベーション施設や市民活動拠点など検討 つくばセンタービル再整備
2020年3月9日
ttps://newstsukuba.jp/22269/09/03/

鈴木宏子さん撮影のこの写真の左側が明るくなっていることに注目して下さい。夕日が窓ガラスに反射して、明るい光りが広場中心に向けて伸びています。11月から12月はこの光が細長く伸びます。広場のタイル地が今ほど汚れていなかった時代はタイル地のデザインと光の動きが協働して万華鏡のようでした。

名無しの市民
2 days ago

>いま『怪人二十面相』のような謎めいた世界が、つくば市に広がりを見せている。

強引過ぎだろー、脚本家ってのはこんなに文章力無いものなのか。

いつぞやの、くっっっっっだらないミョウガ記事書いた筑波学院大学キョウジュ様と同レベル。

5年前
返信する  名無しの市民
2 days ago

>>謎めいた世界

つくば市議会は、エスカレーターの設置を承認した。
なぜ承認したのか?私には全く理解できない、謎だ!
従って、私にとっては、つくば市議会は完全に謎めいた世界だ。

名無しの市民
返信する  5年前
2 days ago

議長の力量かな

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

つくば学園都市は公立高過疎地 《吾妻カガミ》118

【コラム・坂本栄】困った数字がこのサイトで紹介されています。教育環境が自慢の学園都市には県立の全日制高校が少なく、つくばは公立高の過疎市だというのです。平均的な学力の中学生を私立よりも学費が安い公立に入れたいと思っている親にとって、つくば市は「住みにくいまち」のようです。 詳しくは「つくば市に県立高校新設を 市民団体が市議会に請願」(9月29日掲載)と「付属中併設は泣きっ面にハチ」(9月30日掲載)をご覧ください。 ▼市内の県立高に進んだ中学生は18%に過ぎず、46%が市外の県立高に、36%が市内外の私立高に行った、▼以前は6つあった全日制高が、近隣市の県立高への併合、定時制への移行、中高一貫への衣替えによって半減した、▼この20年間に減った全日制学級数は、水戸が2%、日立が21%、土浦が20%だったのに、つくばは61%も減った―などがポイントです。 つくば市は県全体の流れとは逆に住民が増えているのに、県は少子化に伴う学校・学級の整理整頓という方針の下、実におかしな対応をしています。大井川知事の経歴(経産省キャリア→IT企業役員)も影響しているのか、県はエリート教育には熱心ですが、平均的な学生を抱えた平均的な家庭の事情に鈍感ではないでしょうか。 優秀な学生を育てることには賛成です。私は、今春に中高一貫を併設した県立土浦一高の評議員を10数年やっています。その議論の中で、中高一貫を導入するよう歴代の校長に進言、現知事の1期目にやっと実現しました。競争環境を整え、突出した学生を鍛えることが日本はもちろん世界に必要と思うからです。

子どものころ 土浦の遊び ① 《夢実行人》1

【コラム・秋元昭臣】下高津小学校への通学は、「あきおみちゃん、学校へイーきましょ」の声で始まりました。今のように親が出ることもなく、田んぼや畑の中を仲間同士で登下校するのは楽しいものでした。菜の花を摘んだり、チョウチョを追いかけたり。麦の穂を友だちの袖に奥に入れてしまうイタズラはしましたが、イジメではなく遊びでした。 このころ、大人はハーモニカを吹いてましたが、子供は麦笛を吹いていました。花見は親に連れられて桜川に行き、土手に座ってたくさんの貸しボートを眺め、お弁当を食べました。これがボートとの出会いです。 エビガニの穴を掘ったり、農作業する牛を見たり、散った桜の花びらで首飾りを作ったり。毒があると知らず、学校裏のお寺に青梅を盗みに行き見つかり、廊下に立たされたり。しかし、花祭りにはお寺さんに甘茶を振る舞ってもらい、秋はイチョウの大木から落ちた実を土に埋め、冬にたき火で焼いて食べました。 夏になると、田んぼにはホタルが飛び交い、捕まえて蚊帳の中に入れて楽しみました。大人と一緒に夜の田んぼに行き、カーバイトランプを灯した「ドジョウぶち」では、眠っているドジョウを串刺にし、カーバイトの匂いと、くねるドジョウに興奮しました。エビガニ、ドジョウ、釣った魚、食用ガエルが、たんぱく源として食された時代です。 泳ぎと言ってもプールなどなく、ガキ大将に連れられ、ため池「高津池」に行き、親にばれないようにパンツを脱いで水遊びをしました。雑木林の「ターザンごっこ」では、木から木へ渡り歩き、ロープにぶら下がって遊びました。転落やケガもありましたが、今と違い、「落ちたほうがドジ」の一言。問題にはならない時代でした。

ロボッツ、ホーム初戦も B1開幕5連敗

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)に昇格した茨城ロボッツは16日、今季のホーム初戦として、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナに宇都宮ブレックスを迎えた。茨城は66-88で宇都宮に敗れ、いまだ白星なしの5連敗。 2021-22 B1リーグ戦(10月16日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 66-88 宇都宮ブレックス茨 城|11|15|17|23|=66宇都宮|21|22|28|17|=88 昨季準優勝の宇都宮は、B1リーグではトップ中のトップといえる強豪チーム。初昇格の茨城が挑むことで、上位とのレベル差を測る良い機会になると見られていた。結果としては大差での敗戦で、リチャード・クレスマンヘッドコーチは「自分たちの道のりはまだまだ長いと感じた。これまでの4試合もタフなゲームだったが、宇都宮は個々のプレーや、ハイレベルな守備、次々に交替できる選手層の厚さなど素晴らしいチーム。こういう相手に対し日々成長しながら前向きに戦っていきたい」と振り返った。 試合開始直後は茨城のアップテンポな攻撃が機能、平尾充庸やエリック・ジェイコブセンが3点シュートを決め、宇都宮と互角の戦いを進めていく。だが第1クオーター半ば、11-10のスコアから茨城の得点がぴたりと止まり、宇都宮に点差を広げられる展開になる。 今季新加入のエリック・ジェイコブセン(右)。この日は17得点のほか、ディフェンスリバウンドなどでも活躍した=同

「資金調達 現在進めている」改修工事費用でまちづくり会社 つくばセンタービル

つくば市が出資するまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が18日から工事を実施すると告知しているつくばセンタービル1階アイアイモールの解体と改修工事のうち、貸しオフィスなどにするための改修工事資金について、同社が現在も、資金調達を進めている最中であることが15日分かった。 同日開催された市議会全員協議会で、まちなかデザインの小林遼平専務が「資金調達を現在進めている」と答弁した。改修工事費がいくらになるかや資金調達の見通しなどについて複数の議員から質問が出たが、小林専務は「この場ではお答えを控えさせていただきたい。細かいデータがないのでお答えできない」「金融機関と守秘義務契約を結んでいる」などと繰り返した。 同社の工事スケジュールによると、アイアイモールの解体工事を18日から12月半ばまで実施し、貸しオフィスなどに改修する工事を12月初めから来年3月末まで続けて実施するとしている。解体工事の費用については「(元の借り主の)筑波都市整備からいただく」という。 小林専務は「(18日から)解体工事に着手する。新設(改修)工事は着手してない」とし、改修工事は「資金調達ができない限り着手しない」「資金調達が決定したらつくば市と協議しながら報告したい」などと答弁した。 同社の現在の資本金は当初の想定より2900万円少ない1億2100円。一方、市は昨年12月と今年3月に市議会に示した資料で、初期投資として改修費などに約2億7300円かかるとする見通しを示している。同じ資料の事業収支見通しでは、資本金を2億万円とし7000万円を借り入れる収支計画を示している。新たな収支見通しに対する質問も出たが、小林専務の答弁はなかった。 議会や市民に説明なしに工事を拙速に進めないよう求める決議を臨時議会に提案する山中真弓市議(壇上)=同