総合人材サービスのセキショウキャリアプラス(本社・つくば市、渡邊誠社長)は11月、「セキショウジョブフェア」をオンライン開催する。日本企業で働きたいベトナム人大卒予定者らへの合同企業説明・面接会。専門的な技術・知識を持つ人材を採用したい企業や、グローバルな展開を考える企業へ参加を呼び掛けている。
県内企業も熱視線
フェアは2016年からこれまでに7回開催され、次第に規模が拡大。最も盛況だった一昨年は参加企業が39社、学生・求職者の来場は2日間でのべ1089人に達し、うち101人が内々定を得た。このときは現地開催だったがコロナ禍により昨年からオンライン形式に変更された。「直接会って話すに越したことはないが、採用担当者が現地へ渡航しなくても、日本にいながらベトナムの学生と面接できるメリットもある」と、同社海外事業課の小田倉千明さん。
開催の背景には理系、特にシステム・IT系人材の確保が難しく、優秀な人なら国籍を問わず採用したいという企業が増えている現状がある。
今回参加対象のハノイ工科大学は、日本の東工大レベルと言われるベトナムきっての理工学系大学。ほかにハノイ工業大学、ハノイ交通運輸大学、ハノイ大学など。ベトナムにおいて筑波大など日本の大学が協力し、質の高いカリキュラムを提供している日越大学も含まれる。
参加者は、理系技術者では機械、電気電子、IT系など、文系では通訳・翻訳、貿易業務などで500~800人を想定する。オンライン化によりハノイ近隣以外からも参加しやすくなったため、さらに増えそうな見込み。昨年は日本に留学しているベトナム人学生や、現地日系企業からのステップアップを図る就業者の参加もあったそうだ。
出展企業は北海道から関西までと広域的だが、運営会社であるセキショウキャリアプラスのネットワークを生かし、約4分の1は茨城県内の会社だ。中堅以下の企業でも知名度や企業規模に左右されずフラットな目で見てもらえる。過去の説明会では大企業を上回る40~50人が着座した例もあり、国内学生向けの企業説明会でもなかなか見られない盛況だったという。
企業の将来性を広げる外国人材
「言葉の問題や住環境の提供、生活支援など、コストは日本人よりも正直かかるが、そこさえクリアすれば確実に優秀な人材が採用できる。5~10万円のプラスで、しっかりとした日本語教育を受けさせることもできる」と小田倉さん。
外国人材の受け入れは、組織のダイバーシティ(多様性)を高めるという副次的な効果もある。異なる価値観と接することで、従来は当たり前として見過されてきた企業文化や商慣習などが見直され、社内制度の改革につながった例もあるという。「今後ますますグローバル化が進み、人の行き来が盛んになる中で多様な文化を知り、新しいニーズをつかむことがビジネス展開上不可欠になる」と、同社営業部長の飯田理文さん。
新興国であるベトナムは、今後いっそうの経済発展が予想され、中国に替わる投資先として注目を集めている。企業からは新たなマーケットや海外拠点と見込まれ、また国内でのインバウンド需要の増大にも寄与しそうだ。その際にはベトナム人社員の存在が、大きな力になると期待されている。(池田充雄)

◆SEKISHO JOB FAIR(ベトナム高度人材合同企業説明会・面接会) 説明会が11月6日、面接会が12・13日。申し込みは9月30日まで。日本企業はZoomミーティング(事務局提供リンク)によるオンライン参加となる。詳細は専用Webサイトまで。