金曜日, 1月 3, 2025
ホームつくば大規模事業評価スタート つくば市 陸上競技場計画で

大規模事業評価スタート つくば市 陸上競技場計画で

つくば市の第1回大規模事業評価委員会が8日市役所で開かれ、10億円以上の大規模事業について必要性や効果などを客観的に評価する大規模事業評価が、陸上競技場の整備計画を対象に始まった。

委員は、東京大学大学院・横張真教授、筑波技術大学・生田目美紀教授、高橋博之公認会計士、筑波大学・藤井さやか准教授、堀賢介弁護士、国立環境研究所・松橋啓介室長の6人。横張教授が委員長、生田目教授が副委員長を務める。任期は今年8月から来年3月末まで。

上郷高校跡地に建設予定の陸上競技場について、必要性、妥当性、優先性、有効性、経済性・効率性、地域への対応の6項目を評価する。

現地視察なども含めて計4回委員会を開催し、11月上旬から中旬に答申をまとめる。答申に基づいて、市は事業を計画通り実施するか、見直すか、撤退するか検討する。

第1回委員会では、市側が事業の必要性など6項目について、委員に説明した。

必要性については、小中学生の公式記録がとれる陸上競技場が市内になく、市PTA連絡協やスポーツ団体から長年にわたる意向がある。妥当性については、未利用地の利活用に資する。優先性については、陸上競技場整備は市民要望の高い長年の課題であるにも関わらず、実現に至ってないため、これ以上先延ばしにすることなく早急に事業に着手することが適切だなどとした。

有効性については、スポーツ推進計画など政策目標が達成され、施設運営や植栽管理など雇用創出が見込まれる。集客に加え、利用者による地域の農産物、特産品の購入や飲食店、公共交通機関の利用が見込まれる、合宿の誘致により宿泊施設の利用が見込まれるなど経済波及効果があるとした。

経済性や効率性については、維持管理費は年間8000万円程度で、民間活力を導入するなどコスト低減を図る。地域への対応については、道路沿いのほとんどが農地であるため渋滞による周辺生活環境への悪影響は少ない、民家が点在するため騒音や光害などに配慮するーなどと説明した。

需要予測は年6回、維持管理費は年8000万円

委員の一人から「需要予想が年6回だとすると他の施設を借りても問題ないことになる。もう少し需要予測が立っていた方がいい」などの意見が出た。

需要予想については、小中学校の記録会や市陸上競技選手権大会の年6回と、そのほか、トラックの内側のインフィールドで、部活動、サッカー、グランドゴルフ、敷地内の園路や多目的広場でジョギングや日常の憩いの空間として活用されると説明された。維持管理費が年8000万円程度で、年6回の開催需要の場合、1回当たりの開催経費は維持管理費分だけで1333万円になってしまう。

陸上競技場の計画概要は、400メートルトラック8レーン、インフィールドは天然芝で投てき競技に対応できるようにし、メーンスタンドは1500席、芝生スタンドは2500席、日本陸上競技連盟の4種公認(整備内容は3種相当)とする。敷地内には多目的広場やジョギングコースなどを整備する、駐車場は400~500台でバス33台分に転用可能。付帯施設としてセミナーハウスを整備する。災害時は避難場所として活用する。

事業費は22億2200万円か22億3600万円。ただしセミナーハウスの整備費、校舎や体育館の解体費、周辺道路の拡張費などは明らかにされなかった。

整備スケジュールは2022年度に基本計画、23年度に基本設計と実施設計を策定し、24~25年度に建設工事、26年度から利用開始となる。

大規模事業評価は、住民投票で白紙撤回になった市総合運動公園事業を教訓に、五十嵐立青市長が2018年9月に要綱を定めた。

一方大規模事業評価をめぐっては、つくばセンタービルのリニューアル事業は10億円を超えるのに、大規模事業評価を行わないのは違法だとして、住民訴訟が起こされている。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

87 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

87 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

心を動かされるということ《ことばのおはなし》77

【コラム・山口絹記】今、大みそかにこの記事を書いている。いつももっと早めに書いておけば、などと思うのだが、あたふたと文章を書いている時間も嫌いではなかったりするので、始末に負えないタイプのライターである。 私の書いた文章は、毎月第1金曜日に掲載される予定で、その週の火曜日には提出にすることになっている。実際に掲載される日は前後することが多いので、あまり時節にこだわった文章を書くことも少なくなった。なので、今回も年末とか年始とか、そんなことは関係ない、とりとめのないおはなしをしよう。 先日、ストリーミングサービスで適当に誰かの作ったプレイリストを流しながら本を読んでいると、ふと何語だかわからない曲が流れてきた。当然意味がわかるはずもなく、何度聴いても口ずさむことも出来ないのだが、不思議なくらい心に響いて、しみじみと聴きいってしまった。 音を伴わないことば 私たちの身体には、空気の振動をとらえ、意味とは別の次元で感受する能力が備わっている。歌詞の意味がわからないのにも関わらず、なぜか心を動かされるという経験は、きっと誰にでもあることだと思う。 音楽をやっている人間からしたら、至極当然のことなのだろうが、ことばという観点だけからみると、かなり奇妙なおはなしである。ことばというものの使い道は、相手に何らかの意味を伝えるものであるはずなのに、ひとたびそのことばが音として発せられ、メロディーになると、私たちはその純粋な意味だけに反応できなくなる。これは、とても不思議で、素晴らしく、そして恐ろしいことだと思う。 私の書いたこの文章は、音を伴わないことばとしてあなたに届くだろう。これが幸いなことなのかどうかは、私にはまだわからない。(言語研究者)

地球環境問題、多様な意見《ハチドリ暮らし》45

【コラム・山口京子】私は2019年に初孫、24年に2人の孫を授かりました。孫たちが平均寿命を生きるとすると、2100年も生きていることでしょう。その時の自然環境はどうなっているのでしょう。都会で暮らしていると、リアルに見る生き物は、人間と犬や猫、数種類の鳥たちでしょうか。田舎では、川から水生生物がいなくなったこと、チョウやハチたちも激減しているのを感じます。 昨年のような酷暑や異常気象が今後も続くのかどうか…。自然環境については、専門家の意見も対策も分かれています。いろいろな意見の背後に、それぞれの思惑が見え隠れする場面もあります。難しいことはわかりませんが、自分ができることとして、余計なものは買わない。できるだけ国産のものを買う。無駄にしないなどを意識しています。 3つの見解や態度 環境問題について、次のような見解や態度があります。一つは、地球全体の自然環境なんて、大き過ぎて考えたこともないし、分からない。新聞やテレビを見ても、環境が深刻な気がしない。温暖化と言われているけど、まだ大丈夫ではないか。個人ができることは限られるし、このままが続くだろうと思って暮らしているという態度。 二つ目は、自然環境は著しく悪化している。気候危機、水質や土壌、大気汚染、生物多様性の危機が止まらない。この5~10年のスパンで、適切な対策を立て、かつ実行しなければ、後戻りができなくなる時期を迎える。国や国際機関に厳しいルールを設けるよう働きかけるとともに、個人もできることをしていくべきという、研究機関やジャーナリストからのメッセージ。 三つ目は、私たちの消費の在り方が環境危機に深くかかわっている。消費のあり方を見直し、経済活動や政治判断に働きかけることが重要ではないか。持続可能な環境と社会のために、消費のあり方を変えていくという、消費者団体、NPOなどの活動。 増える電力需要 先進国のエネルギー消費は過剰であるので減らすべきという指摘もあります。しかし、国際電気通信連合の調べによると、ITや通信関連などの企業の電力消費が急増、トップは中国移動通信とか。米国のマイクロソフト、アマゾン・コム、アルファベットの3社の合計電量消費がフィリピン1国分に相当するという記事もありました。 公的機関や環境に取り組むNGOなどの情報に触れ、事実に近づかなければ…。「環境」という2文字ですが、知るほどに不思議なワールドです。(消費生活アドバイザー)

つくば市在住のシニア女性2人 トライアスロン世界大会に出場へ

つくば市に住む水野美津子さん(63)と大貫千春さん(58)が、2025年10月ハワイで開催されるトライアスロン世界最高峰の競技大会「アイアンマン世界選手権大会」=メモ=に出場する。水野さんは60-64歳クラス、大貫さんは55-59歳のクラスに出場し、海外からの出場者と競う。 ワールドシリーズで優勝 2人は昨年9月、北海道北斗市と木古内町で開催された「アイアンマンジャパンみなみ北海道2024」(日本トライアスロン連合など主催)で、それぞれ年代別で優勝したことから出場が決まった。水泳が3.8キロ、自転車180キロ、長距離走42.2キロ、計226キロのコースで、9年ぶりに国内開催されたトライアスロン大会ワールドシリーズの一つだ。 水野さんは60~64歳部門で水泳1時間15分25秒、自転車ロードレース6時間18分49秒、長距離走4時間52分47秒、トータル12時間40分56秒を記録した。大貫さんは55~59歳部門で水泳1時間26分47秒、自転車6時間23分42秒、長距離走4時間6分22秒、トータル12時間11分46秒の記録で優勝した。ほかに55―59歳男子の部でつくば市の篠塚恭男さんが優勝し、つくばから計3人がアイアンマン世界選手権に出場する。 きっかけは「人との縁」 水野さんは東京都出身、トライアスロン歴はわずか5年だ。子供の頃、競泳をやっていて中学は平泳ぎで全国中学生大会出場、高校は国体やインターハイに出場し、ジュニアオリンピックで優勝した実績がある。たが子育てなどで34年間特に運動をしないままだったという。53歳になって久しぶりに水泳を再開。すっかり筋肉は落ちていたが徐々に勘を取り戻した。体を動かすことが好きで、ランニングも始めた。最初はなかなか長距離を走れなかったが、ランニング仲間ができたことで続けられたという。 フルマラソンや水泳大会に出るようになり「もしかしたらトライアスロンができるかもしれないと思った」。自転車を買いに行った市内の店にトライアスロンをやっている人がたまたまおり「人との縁で始められた」と語る。ただ自転車はなかなか上手くいかず、転んでけがをすることも多く「ヘルメットは3つ壊した」。 初めてのトライアスロン大会出場は2018年に開催された世界湖沼会議開催記念&りんりんスクエア土浦オープン記念 第1回霞ヶ浦トライアスロンフェスタ。そこでいきなり年代別クラスで優勝した。すっかりトライアスロンに夢中になり「毎月のように大会に出た年もあった」と笑顔で語る。トライアスロンだけでなく、水泳大会やマラソン大会、山などを走るトレイルランニングにも出場している。これまでつくばマラソンなどの国内大会のほかハワイのホノルルマラソンに3回出場、トレイルランは常陸國トレイルラン(石岡市)50キロと安達太良山トレイル(福島県二本松市)50キロでそれぞれ年代別1位、世界マスターズ水泳選手権2023九州大会では年代別個人メドレーで世界4位入賞した。 現在、水泳は週4日、土浦のスポーツクラブで2000~2800メートルを4種目泳いでいるほか、ランニングは自宅から洞峰公園をぐるぐる回ったり、赤塚公園から筑波大まで12~20キロを一人または仲間と走っている。自転車はスポーツジムでのバイク漕ぎのほか、日曜日は自転車仲間と土浦から茂木、霞ケ浦一周などを走っている。 運動は苦手だった 大貫さんは稲敷市出身、トライアスロンを始めて9年だ。トライアスロンに出合う前は「運動が苦手だが、運動不足を解消したくて自宅近くの洞峰公園でウォーキングを始めた」と話す。「もっと早く歩かないと効果が出ない」と思いランニングを始めてみたが、最初は1キロも走れなかった。たまたまランニング中、信号待ちで他の人を指導していたランニングコーチにランニングの体験に行ってよいか声を掛け、ランニングクラブに入会した。 大貫さんも、ランニングクラブにトライアスロンをやっている人が偶然いて勧められたのが始めるきっかけだった。ランニングだけをやっているときは「足が痛い」「タイムが伸びない」など悩みがあったが、泳いだり自転車に乗ったりすることが気分転換になったという。 現在、つくば市内のランニングクラブで週2日、朝6時から8~10キロのモーニングラン、別の週2日はスポーツクラブで1時間半くらいペースランニングなどをしている。さらに週4日、土浦のスポーツクラブなどで1.5キロくらい泳ぎ、ロードバイクは月4回くらいロングライドなどを実施している。 2024年のトライアスロン成績は、石垣島トライアスロン年代別3位、五島長崎トライアスロン女子総合8位、年代別1位、うつくしまトライアスロン年代別1位など好調だった。つくばマラソンなどマラソン大会にも積極的に参加している。足が痛いときは水泳で体を動かし、遠くに行きたいときは自転車に乗る。「自転車は100キロくらい走れる。ランニングより遠くまで行けるのがいい」と語る。 仲間がいるから トライアスロンを続けられるモチベーションは「一緒に頑張れる仲間がいるから」と水野さんも大貫さんも口をそろえる。大会が宮古島など南の島で開催されることが多いのも楽しみだという。2人は1年ほど前から千葉県我孫子市にある同じトライアスロンクラブに所属し、日にちが合えば一緒に練習することもある。初めての世界大会出場を決め、2人とも「目標は完走すること」と意気込みを語る。(伊藤悦子) ※メモ【アイアンマン世界選手権大会】1978年から開催されているトライアスロン競技大会。米国、カナダ、フランス、オーストラリアなどさまざまな国から参加する。2024年の同大会は55-59歳クラスに134人が出場、60-64歳クラスは74人が出場した。同大会に出場するには、各国で開催される大会で優勝するなど条件がある。

いろいろな秩序や構造が変わる年に《吾妻カガミ》199

【コラム・坂本栄】今年はこれまでの秩序や構造が大きく変わる年になりそうです。関税を引き上げて国内産業を守ろうとするトランプさん(自由貿易システムの破壊)、武力で政治目標を達成しようとするプーチンさん(古典的な戦争論の復活)といった政治経済の話だけではありません。メディアの世界も大きく変わるような気がします。 ネットにかじを切る新聞社 昨年12月、新聞を読んでいて納得した記事が2つありました。日本経済新聞の電子版有料読者が100万人を超えたとの告知記事(10日朝刊)と読売新聞が米ダウ・ジョーンズ社と提携して電子版有料経済ニュースサービスを始めるという告知記事(17日朝刊)です。前者はネット経由で経済情報を入手する人が大台に乗ったということ、後者は発行部数トップの新聞社もネットサービスを経営に組み込む時代に入ったということです。 国内の新聞部数はピークの半分以下に減っています。21世紀に入り、情報を伝える主役が新聞からネットに移りつつあることが主因ですが、新聞社も経営資源をネットに振り向けるようになりました。 7年前、本欄25「…部数10年で2割減…」(2018年2月19日掲載)の中で、新聞の部数は早晩「絶望的な数字になろう」と書きました。減少のテンポは予想よりも激しいようで、新聞社のネット・シフトは当然でしょう。新聞で育った団塊の世代(1940年代後半生まれ)が世を去り、新聞をあまり読まないネット世代の時代に入りますから、新聞社は業態名の変更を迫られるかも知れません。 新聞やTV業界にとってショックだったのは、YouTube、Facebook、X(旧Twitter)といったSNSの影響力が伝統メディアのそれを上回るようになったことです。都知事選挙(昨年7月)や兵庫県知事選挙(同11月)では、個人やグループがSNS経由で発信する動画や記事へのアクセスが増え、大手メディアの影が薄くなりました。 ニュースの伝達手段をペーパーに依存する新聞社、電波やケーブルに依存するTV・ラジオには、経営上の問題(有料購読者と広告収入の減少)解決のほかに、ネット上の記事や動画を好む有権者(伝統メディア離れ)にどう対応するかが新たなテーマになりました。 動画/音声コンテンツも大事 本メディアは、地域紙の血を引き継ぐ本サイトを発信の拠点にしながら、各種SNSや有力プラットフォーム(GoogleニュースやYahoo!ニュース)経由でも発信しています。 運営と編集の特徴は、①商業メディアでなく非営利のNPOメディア、②経費は法人の寄付や会員の会費などに依存、③取材にはアマチュア記者の参加も可能、④つくば・土浦エリアの話題を中心にリポート、⑤行政の監視も編集方針の柱、⑥識者による寄稿(コラム)を歓迎、⑦他の地域メディアとも連携―などに整理できます。 今年は特に⑦に留意します。本サイトは当初、地域紙のコンテンツ(情報内容)であった記事と写真だけでなく、苦手な動画や音声も展開しようと、地域のFM放送局、ケーブルTV局、ネットTV局などとの連携を図りました。ところが、コロナ禍でコンテンツの受託や提供が中止あるいは縮小に追い込まれたこともあり、動画と音声コンテンツが少ないからです。 ネットメディアの特性は、サイト内で記事や写真をまとめて閲覧してもらうだけでなく、記事1本1本をSNSやプラットフォーム経由でも伝えられることです。このサイト発信と分割発信を動画・音声コンテンツにも広げるため、動画・音声メディアとの連携を再度強めるつもりです。(NEWSつくば理事長、経済ジャーナリスト)