つくばカピオの敷地内にあるレストラン「カフェベルガ」(つくば市竹園)が17日に閉店する。25年間、障害者に働く場を提供するとともに、店内で近隣住民が演奏会を開催するなど、市民の憩いの場にもなってきた。「障害者の就労支援とカフェの両立が難しいと感じるようになった。今後はパソコンを活用した就労支援に力を入れていきたい」と代表の吉田美恵さん(71)は話す。
今後は障害者の就労支援に特化
障害者の親たちが1996年4月、障害者の働く場を作ろうと設立した有限会社「友遊舎」により、カフェベルガの営業が始まったのは同年8月1日、つくばカピオが開業した当日だった。メンバーは飲食店の経験がなく、最初は経営することで精一杯だった。学習障害の息子を持つ吉田さんは、開店当初は店長としてカェベルガに関わり、2005年に「友遊舎」の代表になった。
現在は発達障害者を専門としているが、当初はまだ「発達障害」という言葉自体が社会で知られておらず、引きこもりや不登校の人も店舗に通っていた。
同店には障害者支援のための特別なプログラムはない。皿洗いや接客などの仕事を通して、ビジネスマナーやコミュニケーションを身に着ける。吉田さんなど運営側は、障害のある店員に対し、一人ひとりの気持ちを尊重し、やってくれたことには感謝を伝えながら、自分の得意なことと苦手なことが理解できるように接してきたという。
引きこもり等の人の中には、店の手伝いをしているうちに、元気を取り戻し、学校に行けるようになったり、高齢者施設や一般企業に就職した人もいる。発達障害者が主な対象だったが、車いす利用者や知的障害者が働いていたこともある。これまでに30人以上が店員として働いた。

店舗運営と障害者支援の両立への葛藤
障害者自立支援法改正により、発達障害者も障害者福祉サービスの対象になったのを機に、2012年に発達障害専門の就労支援事業所として正式に県から指定を受けた。店舗での接客が苦手な発達障害者もいるため、13年にはパソコンでの作業を中心に行う訓練事業所「カフェベルガ・サポートオフィス」(つくば市天久保)を新しく立ち上げた。テープ起こし、動画編集等の作業や、パソコンを使った調べ学習を通して、コミュニケーション能力や問題解決能力をつけていく。就職に向けて自分の特性などを周囲に伝える練習もする。
「人間関係が苦手で、自分は仕事ができないと思ってしまう人が多い。しかし、パソコンを使えれば、世界中の人とつながることや、様々なソフトを使い、自分の技術を超えたものを作ることができる。社会に出るのが怖いと思っている人にも、パソコンを通して、自分にも働く力があることに気づいてもらえるような支援がしたかった」と吉田さんは話す。
レストランで働ける人数は制限されることもあり、現在は店よりもサポートオフィスに通い、パソコンを学ぶ障害者がほとんどだ。
閉店を決めた理由として、吉田さんは「就労支援として障害者一人ひとりと話し、個々人に合った仕事内容を提案したいが、カフェの場合、接客が優先になり、話を聞いてほしい時に聞いてあげられない葛藤があった」ことをあげる。障害者が働く中で、問題が起これば一緒に解決策を考えたいが、レストランでは時間的余裕がない。
吉田さんは「引きこもっている障害者もたくさんいる。これからは、もっと多くの障害者に対して、一人ひとりと向き合い、困ったときに相談できる力をつけてもらえるような支援をしていきたい」と意気込む。(川端舞)