新学期控え 22日、SNSでメッセージ
「学校に行きたくない」「死にたいと思うほど辛い」という気持ちを持つ子どもが、新学期を間近に控えるこの時期に増えるといわれている。学校に悩みを抱える子どもやその家族に向け、気持ちに寄り添うメッセージや、学校以外の居場所・相談先の情報をSNSで一斉発信するイベントが22日にオンラインで開催される。不登校の子どもを持つ親の会やフリースクール、支援活動をする個人など、県内を中心に活動する78の団体と、複数の個人が参加する「不登校・多様な学びネットワーク茨城」が企画した。
メッセージはハッシュタグで「#ここにもあります。あなたらしくいられるところ」「#不登校・多様な学びネットワーク茨城」とともに、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで発信される。
夏休み後半は危ない時期
「しんどい時は休憩していいんだよ」「今いる環境だけが全てではないよ」
辛さを抱える子どもにメッセージを伝えたいと話すのは、ネットワーク世話人で、不登校の子を持つ親の会「さなぎ 学校が苦手な子と親の会」(ひたちなか市)の共同代表を務める木村理恵さん(39)。
夏休みなどの長期休暇のあと、それまで抱えてきた悩みから学校に行けなくなる子どもは少なくないという。その時に、学校に行けない自分を責めてしまい、必要以上に自分を追い込む子どもたちがいる。
同じく世話人を務める、つくば市在住の石田佳織さん(42)はイベントを通じて「『学校に行きたくない』と思うことは悪いことじゃない」と伝えたい。そして「SOSを出せない子どもは多い。この時期が子どもたちにとって危ない時期だということを、周囲の大人たちと共有したい」と話す。
茨城にもネットワークを
「不登校・多様な学びネットワーク」ができたのは昨年12月。石田さんが木村さんらに声を掛けた。不登校が社会問題になるなかで、子どもの受け皿となるフリースクールや居場所づくりの団体が資金面で苦労するのを見てきた。関係団体がネットワークでつながり行政に働き掛け、状況改善に動く他県の様子を見て、茨城でもできないかと考えた。つくば市の「フリースクールTSUKUBA学びの杜学園」代表の中谷稔さん(55)もネットワークに参加し、世話人を勤める。「多様な立場の人が繋がることで、より多面的な情報共有、個人では難しい活動の広がりが生まれる」と話す。
親にも情報届けたい
「オンラインイベントでは、不登校の子どもを持つ親にも(支援団体などの)情報を届けたい」と木村さんは考える。
「不登校を自分の責任と捉え、悩みを人に言えず孤立してしまう親がいる。同じ境遇の人と繋がり話を聞いてもらえると元気になれる。親が元気でいれば、いい影響を子どもにも与えることができる」。心のケアを必要とする親同士がつながる「親の会」の意義をこう話す。
子どもが、フリースクールなど学校以外の場所を頼ろうとする時、子どもだけで判断するのは難しい。子どもの選択肢を増やす意味でも大人の理解は欠かせない。今後はネットワークを通じて、参加する団体や個人だけでなく、地域や学校、行政と連携して、より網目を密にしてサポートから抜け落ちる親子が少なくなるようにしたい。
「ネットワークには色々な活動をしている人や団体がいる。年齢層も様々。多角的な情報が、1人でも多くの方に広く届けられたらと思っています」
相談先・居場所情報やネットワークについての問い合わせは、「不登校・多様な学びネットワーク茨城」のメールアドレス(futamanet.ibaraki@gmail.com)で今後も受け付ける。
不登校に関する情報サイトとして、「いばらき不登校・多様な学び育ち応援サイト(https://ibaraki-futoukou.net/index.html)」が開設された。「不登校・多様な学びネットワーク茨城」が「かさま不登校ネットワーク all-unique」と協働したもの。順次、情報を増やしていく予定。(柴田大輔)