つくば市の五十嵐立青市長は4日開かれた定例記者会見で、失業したひとり親や学生を新たに雇用した市内企業などの雇い主に、市独自の雇用促進交付金を1人の雇用に付き最大15万円上乗せすると発表した。新型コロナの感染拡大により、就職が厳しくなっているひとり親や、アルバイト先が減少している学生の雇用を促進することが目的。4日から受け付けを開始した。
新型コロナ対策として同市は昨年6月から、失業者を雇用した市内の企業や個人などを対象に、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は一時金として1人雇用に付き最大20万円を交付してきた。週20時間以上、3カ月以上の期限付きで雇用した場合は1人最大10万円を交付している。学生アルバイトに対しては、週10時間以上勤務する学生を雇用した場合、1人最大10万円を交付している。
4日から新たに、ひとり親を週30時間以上、期限の定めありで雇用した場合は最大15万円、週20~30時間の場合は最大10万円を、これまでの交付金に上乗せして事業主に支給する。
学生アルバイトについては支給対象を拡大し、週10時間に満たなくても、週5~10時間勤務する学生を雇用した場合、1人最大5万円を事業主に交付する。
ひとり親を雇用する中小企業などへの支援については、国の制度として、ハローワークなどの紹介で、週30時間以上、期限の定めなしで雇用した場合は60万円、週20~30時間勤務の場合は40万円を企業に助成する特定求職者雇用開発助成金制度がある。
今回つくば市が拡充した制度は、国の助成対象にはならない、期限の定めありでひとり親を雇用する雇い主に交付するという。
市が昨年6月から実施している失業者を対象にした雇用促進交付金は、2020年度は121社が262人を新規雇用した際に利用し、交付金額は計約3300万円になった。今年度も事業を継続し、当初予算で1000万円を計上したが、7月30日時点で44社から93人を新規雇用する申請があり、交付金額は計1100万円と当初予算を上回った。6月補正でさらに交付金の予算を2400万円追加するに当たって、制度を拡充し、ひとり親と学生の雇用を支援する。
一方、市内の公園などで毎月欠かさず、大学生やひとり親などに食料や日用品を無料提供している市民団体からは五十嵐市長に対し、大学生への現金または商品券の配布など公的支援を求める要望書が6月に手渡されている(6月4日付)。五十嵐市長は「直接的支援はどういうのが可能か、すでに検討している」としたが、具体的な中身は示さなかった。(鈴木宏子)